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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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35部分:第四話 八大公その一


第四話 八大公その一

                    八大公 
 アイオリアの前に姿を現わした八人の男達。彼等は恐ろしいまでの禍々しい小宇宙を放ちつつ彼と対峙している。アイオリアはその中で彼等に対して問うた。
「聞こう」
「何だ?」
「何故地上を狙う。オリンポスにいればいいものを」
「オリンポスだと?」
 中の一人がオリンポスと聞いてせせら笑う声を出してアイオリアに応えた。
「オリンポスが何だというのだ」
「あの様な場所」
「あの様な場所か」
「そうだ。アーレス様はあの様な場所には興味はおありではない」
「アーレス様に相応しい場所。それは」
「地上だというのだな」
 アイオリアが彼等に対して問う。
「そうだな」
「その通り、この地上だ」
「戦いに明け暮れ血に染まっているこの地上こそがアーレス様に相応しい」
 彼等の弁ではそうである。
「だからこそ君達聖闘士は邪魔なのだよ」
「わかったな」
「悪いが俺は物分りの悪い男でな」
 アイオリアは目を閉じた姿勢で彼等に応える。
「はいそうですかとわかるわけがない」
「ほう」
 八大公は彼のその言葉を聞いて面白そうに声をあげた。
「レオのアイオリア。力はかなりのものだが」
「聞いた話程分別があるわけではないようだな」
「分別なぞ俺にとっては不要だ」
 アイオリアはまた言葉を返す。
「それよりも俺に必要なものはアテナへの忠誠心」
「アテナへのか」
「そうだ。その為に今ここにいる」
 今度は狂闘士達を見据えての言葉だった。
「このローマにな」
「生憎だがこのローマはアーレス様の地」
「知らぬとは言わせぬぞ」
「ロムルスとレムスか」
 これについてはアイオリアも知っていた。ローマの伝説である。
「そうだな」
「如何にも」
「わかったならばそこをどけ」
 彼等は口々に言う。
「今は捨て置く。いいな」
「嫌だと言ったらどうするのだ?」
「ほう、やはり貴様は分別がないな」
「ならば」
 八大公は散ってアイオリアを半円状に取り囲んだ。そのうえで彼に対峙する。
 しかしアイオリアは彼等に囲まれても臆するところはない。闘志をそのままに見据えたままだった。
「八対一だ。勝ち目はないぞ」
「それでもいいのだな」
「誰が一人だと言った?」
 アイオリアは強い目で彼等を見据えたままこう言い返す。
「何っ、それでは」
「御前達も」
「この小宇宙、感じている筈だ」
 アイオリアは言う。
「御前達も」
「むっ、これは」
「この小宇宙は」
「その通りですよ」
「その声は!」
「やはり!」
 彼等がその声に気付いたその時だった。まずはムウの声がした。
 そしてその声と共にアイオリアの周りに七人の男達が姿を現わした。アイオリアと同じ黄金聖闘士達だった。
「黄金聖闘士、やはり」
「ここに来ていたのか」
「アイオリア、先に行くなと言った筈ですが」
 ムウはアイオリアの横でまずは彼を注意した。
「何故先に行かれたのですか」
「放ってはおけなかったのだ」
 アイオリアはこうムウに答える。
「敵の雑兵達がローマに攻め入ろうとしていた。それを防いだのだ」
「そうでしたか」
「そうだ。見ろ」
 ここで回りに転がるインプ達の躯を指し示す。
「この者達を倒した。その為に先に向かったのだ」
「そうでしたか。それは失礼しました」
「言っておくが我々はこう見えても同志を大事にする」
 八大公の中の一人が黄金聖闘士達に告げてきた。
「この言葉の意味が。わかるな」
「面白い。ならやるか」
 デスマスクが不敵な笑みを浮かべて前に出た。
「何なら俺一人で御前等全員を葬ってもいいんだがな」
「キャンサーのデスマスクだな」
 八大公の中の一人がデスマスクの姿を認めて彼に名を問うてきた。
「確か」
「その通りだ。俺がデスマスクだ」
 デスマスクも自分からそれを認めた。
「それで御前は誰だ?八大公の一人なのはわかるんだがな」
「カナン」
 彼は自身の名を名乗った。
 
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