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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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328部分:第四十四話 無限の剛力その五


第四十四話 無限の剛力その五

「行くぞ。いいな」
「来るがいい」
 アルデバランはここでまたドーマの言葉を受けて返した。
「貴様のその力。見せてもらおう」
「では。今からだ」
 その剛の小宇宙がさらなる高まりを見せる。それは。
「むう・・・・・・」
「俺の技の一つ」
 言いながらドーマは両腕をかざしてきた。まるで牛の角のように。
「それがこれだ」
「剛の力か」
「受けてみよ、この技」
 その両腕に強大な小宇宙が宿り。そこから放つのだった。
「インフィニティホーン!」
「むうっ!!」
 その強大な剛力がアルデバランを襲った。それは凄まじい衝撃となり彼を正面から撃つ。
「これだけの力があるというのか」
「そうだ。どうだタウラスよ」
 ドーマは技を放ったうえでアルデバランに対して告げてきた。
「このインフィニティホーンの力は」
「剛力をそのまま放ったものか」
「その通りだ」
 まさにそれだというのだった。
「これこそがだ。どうだ」
「確かに凄まじい威力だ」
 アルデバランもそれは認める。
「これまでの狂闘士のどの技よりもな。遥かに」
「あの者達の仇も取らせてもらう」
 ドーマはこのことも忘れてはいなかった。
「同胞の仇は何処までも追いそのうえで討ち取る」
 言葉に剣呑なものも宿っていた。
「それが狂闘士の掟だ」
「それもまた、か」
「そういうことだ。狂闘士は互いに強い絆を持っている」
 彼はアルデバランにこのことを話してきた。
「だからこそ。仇は必ず取るのだ」
「では。取ってみるのだな」
 アルデバランはその衝撃を正面から受けながら言葉を返した。
「このアルデバランからな」
「それももうすぐだ」
 ドーマは今勝利を確信しようとしていた。
「タウラス、貴様はこれで倒れる」
「いや、そうはいかん」
 だがアルデバランはここでこう言うのだった。
「そうはな」
「その状態で言えるのか」
 ドーマは技を繰り出したままアルデバランに問うた。
「貴様にはまだ技があるのだな」
「如何にも。確かに貴様の力は強大極まる」
 このことは充分過ぎる程感じ取っていた。
「だが」
「だが。何だ?」
「剛には剛だ」
 これが今のアルデバランの言葉だった。
「ならば俺は」
「貴様は」
「この技を出そう。見よ」
 今ここでアルデバランは言った。
「貴様のそのインフィニティホーンに対する技」
「まさかそれは」
「そうだ。その通りだ」
 見ればアルデバランはもう腕を組んでいた。その組む理由は。
「グレートホーン!」
 腕を組みそのうえで技の名を叫んだ。すると彼からも凄まじい衝撃が起こりそれがドーマから放たれている衝撃を打ち消してしまったのだった。
 双方の衝撃は完全に消えた。もう何処にもなかった。ドーマはそれを見てすぐに察した。アルデバランはそのグレートホーンで何をしたのかを。
「そう来たのか」
「剛には剛だ」
 実にアルデバランらしい言葉であった。
「そういうことだ」
「確かにな。やはり貴様は恐ろしい男だ」
 ドーマはアルデバランのその力を見たうえで述べた。
「俺のこの技を打ち消したのは貴様がはじめてだ」
「俺もはじめてだ」
 そしてアルデバランも言うのだった。
「俺の技が完全に打ち消されたのはな」
「全くの互角か」
 ドーマはここでお互いの実力を完全に見極めた。
「面白い。完全に互角ならばだ」
「どちらが勝つかわかりはしない」
「いいことだ。ではタウラスよ」
 またしてもここで言葉を出すドーマだった。
「今よりそれをはっきりさせよう」
「どちらが勝つのかな」
「力と力」
 やはりドーマが求めるのはそれだった。
「剛と剛。どちらが勝つのかな」
「それがはっきりする」
 二人の対決は正念場を迎えようとしていた。空中庭園は二人の凄まじい小宇宙で完全に覆われていた。バビロンでの戦いは最後の局面の大詰めを迎えているのだった。


第四十四話   完


              2009・8・7
 
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