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ドリトル先生の名監督

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第七幕その七

「ははは、僕にはそれはないよ」
「またそう言われますけれど」
「先生は絶対にいい人と結婚出来ます」
「このことは間違いないです」
「もう近くにそうした人おられるかも知れませんよ」
「とてもいい人が」
「皆そう言うけれどね」
 それでもというのです。
「僕には一番縁がない話だからね」
「そうしたお話は」
「今もそう言われますけれど」
「それでもですよ」
「先生にはいい人が来てくれますから」
「やがては結婚されて」
「幸せな生活を営んで下さいね」
 今以上にというのです、こうしたお話をしてでした。
 先生に結婚のお話を勧めますが結局先生はその話題は笑ってないよと言うだけでした。ですが相撲部の土俵に向かう時にです。
 先生にです、今度は動物の皆が言いました。
「先生、本当にね」
「お洒落のことはいいとして」
「結婚のことはだよ」
「絶対に大丈夫だから」
「いい人傍にいるからね」
「皆もそう言うけれど僕に結婚はね」
 先生はこのことは変わりません、お考えが。
「一番縁がないからね」
「恋愛自体がだね」
「本当に縁がないっていうだね」
「他の何よりも」
「そうだっていうんだね」
「そうだよ、そんなことはないから」
 やっぱりこう言う先生でした。
「結婚はね」
「やれやれ、これはね」
「先生が気付いたらすぐだけれど」
「その気付くまでもね」
「大変だね」
「お見合いをしろってことかな」
 全く以て的外れなことも言った先生でした。
「つまりは」
「全然違うわよ」
 ガブガブも言います。
「先生、それは勘違いもいいところよ」
「本当に恋愛はね」
「先生駄目よね」
 チープサイドの家族も呆れる始末でした。
「恋愛小説は読んで論文書いても」
「先生自身の恋愛は駄目ね」
「誰が見ても駄目過ぎるよ」
 ジップもお手あげな感じです。
「気付かないにも程があるよ」
「僕でもわかるのに」
 こうしたお話では動物の皆の中でも一番縁がなさそうなダブダブも言います。
「先生のこのことはね」
「そう、誰でもわかることよ」
 ポリネシアも言うのでした。
「それこそ」
「それで気付かないとはね」
 ホワイティも困っています。
「やれやれだよね」
「青い鳥かな」
 トートーはこの童話を思い出しました。
「幸せはすぐ傍にある」
「というかそのままじゃない?」
「先生の場合もね」
 オシツオサレツも青い鳥と聞いて二つの頭で頷きました。
「幸せは傍にある」
「そのことに気付かないってことだね」
「先生は無欲ですぐに満足する人だけれど」
 老馬は先生のその資質はよしとしましたが。
「かえってそれが気付かなくさせてるんだよね」
「困ったことだよ」
 最後に言ったのはチーチーでした。 
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