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おたく☆まっしぐら 2016年の秋葉原

作者:本郷明
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見知らぬ改札前

 
前書き
ゼオパルドンエンドを迎えたが、本郷の居た世界は崩壊し、彼はいろいろな次元を超え、再度アキバに戻ってきた…… 

 
目を開けるとそこはアキバだった。いや、アキバだと本郷は感じた。魂の共鳴だ。
明「俺は一体……」
そこは確かにアキバであった。
千代田区外神田から末広町まで広がる一大オタク拠点。電気街。
通称『アキバ』
明「俺は……あのとき、世界の崩壊に巻き込まれて」
死んだと思っていた。それは2006年のことと記憶している。
明「なぜだ、なぜ俺は……ここは?」
本郷の頭の中に流れてくる走馬灯。それはこの世界の記憶であった。
明「くそっ、頭が割れそうだっ! ファッキン!」
頭の中がSEKAIのKIOKUと接続され、本郷は引継ぎデータを手に入れた!
てっれーてれー(ファンファーレ)
明「ここは……別の世界のアキバか……」
彼は一人、この世界。2016年の秋葉原に迷い込んだのだ!
引継ぎデータは勿論、住民情報から銀行のお金も家もすべて引き継がれた。すべては次元連結の賜物だ。秋葉原から歩いて10分程度の安いマンションの一室。彼はまたここに住むことになる。
明「結局またここからか」
ラップトップパソコン(新品)とネット環境を整え、だが棚にはフィギュアも同人誌もゲームも存在しない。明のオタク道は一からのスタートとなったのだ。
明「働く場を手に入れよう」
彼は求人情報誌をめくる。ひたすら鬼の形相でにらみつけ、見つける。
「ジャパニメイト秋葉原店! アットホームな職場で、オタクな君なら一押し! ぜひ応募してね! 時給900円 社員割あり」
明「世界は変わってもここは変わらずか」
彼は新たにスマホを契約しており、求人の電話をかける。
前の時代にないじゃないかって? オタクな彼はデバイスなど3秒で理解する。
店員「はい、ジャパニメイトです」
明「求人を見た」
店員「店長に代わりますね!」
経験者だというと怪しまれたが、店員しかしらない情報を言えば全てが万事まかり通った。
明「この世界でも変わらないのか」
オタクはどこの世界でも変わらない。オタク保存の法則だ。
働くのは一週間後、少し遠いが、店の都合である。本郷は納得する。
明「それよりも……」
本郷には気になっていたことがあった。
秋葉原はどうなったのか。そしてこの”秋葉原”は一体どうなのか。
明「探索するしかないな」
腰を上げ、本郷は秋葉原の街へと出向く。

本郷は末広町側から中央通りを歩き、旧ヤマギワソフトで現ソフマップを曲がっていくと彼の世界にはなかったものがあった。
明「これが……完成した世界なのか」
UDXビル、秋葉原クロスフィールド。秋葉原再開発は彼の世界では頓挫していたのだ。
明「あの老人なら……と思ったが、ここにはないんだな」
クロスフィールド跡地に異世界と戦うアキバ防衛の要となる地下組織が存在したが、この世界ではそのようなものはないようだ。
明「平和な世界か、なら俺は……」
人通りの多さに辟易しながら本郷は秋葉原の街を歩く。
そこは彼の知る秋葉原とは違う。
2016年の秋葉原だ。
リアル社会でいい思いをしなかった男達の世界ではない。
明「ならば漢の道を極めるだけだ! 別の世界の二次元を知れるなんてなっ!」
不動産ビルの前で咆哮する本郷。その裏で彼を見つめる謎の影があった。
明は颯爽と次々にとら、めろん、ソフ、メッセ、メディオなどのオタクショップに入り、次々に気になったものを買い込んでいく。
明「すべては次元連結の貯金だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
彼のお金はすべてオタク文化へと注ぎ込まれていく。
明「萌えに世界線など関係ねぇぇぇぇぇぇっ!」
駆け回る本郷。ここはオタクの街、秋葉原。
地形効果は抜群だ。
たとえ世界が変わろうとも彼はオタクの道を究めし者。
明「がははっグッドだ!」
オタク文化に接続された本郷は瞬く間に情報を仕入れていった。

時刻は20:00。秋葉原の店もほとんど閉まっていく。彼は一休みとパーツ街を抜け、
公園のベンチに座る。両手には買い込んだアニメ、漫画、ゲーム、同人誌、エロゲ、なんでもあった。
当時よりも便利になったネットもフルに活用し、amazonの購入履歴は既に100件を超えていた。
明「……ここはまさに、進化した世界だ。オタク文化の頂点だな」
そういう彼の額には汗が流れていた。
明「これだけ創作物があると追いきれない……しかし俺は漢。見逃すなんてあり得ない」
社会的地位を捨ててでもオタクになると決めた彼に不可能はない。
明「……それで、なんで俺を追い掛け回すんだ?」
本郷はベンチから立ち上がった。彼は歴戦の戦士であり、地形効果を受けるオタク。
???「みつかったんかぁ」
萌え声プラス関西弁(美少女ボイス)で語りかけてくるはフードを被った女であった。
フードから見える銀髪はおそらく日本人ではない。薄いパーカーにセーラー服。
明「奨学生(小学生ではない)か……学校は終わってるだろう。こんなところで何してる」
???「この時代にはない魂の濃さを感じて」
明「こいつ……」
本郷は感じ取った。以前のアキバにはあった変異のもの。アキバが特別区となり異形の者や、明らかにいてはいけない者たちが存在していても許されていた世界。
しかしこのアキバにはそんな奴はいない。二次元の世界ではないのだ。
???「こんなに濃密な匂いさせてあるいてんやから……アタシ、我慢できひんっ!」
本郷との距離はおよそ10メートルはあったであろうか。
わずか一秒で懐に飛び込まれる。人の動きではない。
本郷は初めて、驚きの表情が出た。
明「なにっ……美月を越えるのか!」
反復跳躍するが、逃れ切れない。
すがりつかれるように本郷は押し倒される。
???「はぁ……はぁ、いいよぉ……すっごくいい匂いやん」
明「くそっ……離せ! 幼女! 事案になる!」
???「うち、気に入ってもうたんや……」
明「悪いが俺は三次元には興味がない」
幼女の手が本郷の顔を掴む。
明「くそっ……うごけなっ!」
本郷は幼女に口付けされる。それはこの世界に来た本郷にとって始まりを意味していた。 
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