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平成ライダーの世界

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第二十一章

 織田は風間達と共にネオゼクトを結成し己の理想を目指していますがそれも同志である風間達がいてこそでしょう。彼は仲間のことを一途に思っています。その為に戦い理想を追い求めていると言っても過言ではありません。その彼をかつての同志として何とか連れ戻そうとする大和は彼とのかつての絆を取り戻そうとしているのではないでしょうか。こうしたものを見ていても彼等は絆に関わるライダーなのです。
 そして黒崎はゼクトという組織そのものに絶対の忠誠を誓っています。その為にあの世界で天道と戦います。ゼクトに何を求めているのか、やはり絆でしょう。そしてその為に彼はゼクトにいるのです。人ではなく組織そのものに絆を求めていることに間違いがあると思いますがそれでも彼もまた絆に関わっています。このことはかなり重要です。
 僕は拙作においてこの三人をゼクトのライダーとして出しました。ゼクトがワームやネイティブの影響から脱したならば彼等は普通に本来の意味でのライダーになると思いああしたふうに書きました。田所の部下としてスサノオと戦うライダーにです。描写としては剣劇場版の三人と同じようなものにしています。それがいいかどうかはわかりませんが。
 カブトにも女性陣がいますが重要な人物を二人あげろと言われると前述のひよりと岬だと思います。まずはこの二人、特にひよりがいないとカブトの世界は成り立たない程重要な人物です。
 ひよりは前述の経緯によりワームになっています。そしてそれにより兄である天道、ひいては人間の下を去ろうとします。その際にダークカブトが重要な働きをしています。
 このダークカブトもまたストーリーの後半を非常に盛り上げてくれました。その経歴は被害者でありその為に歪んだ経緯もあります。完全に天道の当て馬であり必然的に彼とは闘う宿命にありました。
 その為天道とはひよりを巡って激しい攻防を繰り広げました。彼はネイティブでありワームの立場からひよりを手に入れようとしていました。ネイティブとワームを同じ存在とするならばそうなります。ワームとネイティブは対立していましたが結局のところその目指すものは同じでしかもスサノオに踊らさせられているという点において同じだと思います。ただ彼等はそれには気付いていません。もっと言えば気付こうともしていないのです。 
 そのダークカブトも最後になりネイティブとは何か、人間とは何か、そして己とは何かを知り天道に後のことを託して根岸を道連れに炎の中に消えます。僕はそれを見て可哀想に思ったので切削では生きていてダークカブトのベルトも天道に託してそのうえで戦いから去るように書きました。彼は犠牲者であり束縛から解き放たれて幸せになってもいいと思ったからです。
 ひよりに話を戻すとです。彼女は絵を愛し他人を寄せ付けない性格でした。自分を閉ざしていることが目に見える少女でした。
 その彼女が天道や加賀美達を知り変わっていったのでしょう。しかしそこでダークカブトと会い己のことを知りです。一旦天道の下を離れます。
 しかし天道は己の全てを賭けて彼女を取り戻そうとします。そしてその熱意によって遂に人間の世界に戻りました。この経緯はヒーローショーでも描かれています。彼女はワームの女王になる予定だったとも言われていますが彼女はそのワームになろうとしました。しかしそれでもです。天道との絆から人間の世界に戻ることができました。たった一人の為に全てを捨てる、天道のその心を見た結果です。それによって人間であることを自覚できた彼女は非常に幸せです。
 そして岬ですが彼女は一見すると立ち食い蕎麦が好きなキャリアウーマンです。外見もそんな感じです。しかしその彼女は神代との出会いによって変わります。
 神代の的外れもいいところですがそれでも一途で純粋な愛を見ていってです。遂に彼を選びました。この愛は最初から実らない、少なくとも神代が一度死なないと成就しない愛でした。そうした意味では悲しい愛なのですが神代は自分のことを知らずあくまで人として岬を愛していました。その愛は本当に美しいものでした。それが為に岬も最後は彼の愛を受け入れることにしたのです。
 愛は一途であり純粋であればある程美しいものです。神代の愛はそうした意味で平成ライダーの中でもとりわけ美しいものでした。それに応えない岬ではありませんでした。そのうえで神代が死んだ後でその心を守り味を伝えることを選んだのです。神代は蘇り愛はまた戻りましたが岬はそのことを誰よりも喜んでいるでしょう。自分を究極に愛してくれる人が戻ってきてくれたのですから。神代も素晴しいですがそれを受け止められる岬もまた素晴しいです。平成ライダーにおいてもこの二人は最高の愛を見せてくれた一組でした。
 カブトのことはこれで終わりにしまして次は電王です。この作品は常に新機軸、既存の打破を念頭に置いて作られる平成ライダーにおいてもかなり画期的でした。
 まず電車に乗りそのうえで時を移動しています。時を移動して事件を解決し人を救っていく、またイマジンという存在が憑依してライダーとなり戦う、ここまで斬新な作品でしたので最初は成功するのかどうか不安になりました。
 しかし観てみるとこれが面白い、小林靖子脚本の安定感のあるストーリーに愛すべきキャラクター達、童話をモチーフにした登場人物やイマジン達、どれも非常に生き生きとしていました。
 結論から申し上げまして電王はいい作品でした。コミカルでそれでいてシリアスな部分も生きていてです。イマジン達のキャラクターも主人公の頑張りもです。どれもがいい作品でした。おまけにヒロインも美人揃いで演出も成功していました。手放しで楽しめる作品です。 
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