平成ライダーの世界
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第十九章
僕はカブトでは神代が一番好きなキャラクターなのですがそれは爺やとの絆からです。彼は常に爺やを頼りにしていると共に気遣い、爺やもまた常に彼を心配し気にかけていました。二人は常に、どれだけ離れていても傍にいている間柄でした。だからこそクリスマスで神代が死ぬ時にあの美しいやり取りになったのです。最初公式サイトにおいてクリスマスに奇跡が起こります、とありました。しかし神代は死にました。これの何が奇跡なのだろうかと考えたのですがある人に人間神代剣として死ねたことが奇跡なのだと言われそうだったのか、と納得したことがあります。爺やは彼が人間、人の心を持っている紛れもない存在だからこそサソードワームとなってからも共にいたのです。そしてその死を優しい笑顔で見取りました。神代も人間の姿で死ぬことができました。サソードワームとしての姿ではなく彼の本来の姿で、です。彼もまた今は間違いなく蘇り完全に人間としてスサノオと戦っているでしょう。しかしそれができるのはやはり彼が最後の最後まで人間であった時があったからです。
次にゼクトの重要人物である田所修一と三島正人です。二人は共にゼクトに所属し尚且つネイティブですがその行動も考えも選んだ道も全くの正反対でした。
まず田所は人間味溢れる人物であり仲間を大切にしています。その為加賀美や岬とも最後まで共にいられましたしヒーローショーでは仮面ライダーザビーとなっています。ザビーはゼクトの象徴でありそれと共にその適合者を選ぶライダーシステムでした。矢車も加賀美も影山もなっていましたがゼクトに所属し尚且つ仮面ライダーは人間であるとするならば田所は最適者であるでしょう。実際に僕もヒーローショーを観て彼をザビーにしました。
彼もまた姿形なぞどうということではないという事実を見せてくれる人でした。彼がいなくてはゼクトは非常に機械的な組織になっていたでしょうしワームやネイティブとは何かもわからなかったでしょう。彼もまた人間なのですから。
その田所とは対象的に三島は人間味の薄い人物でした。組織を優先させますし極めて冷酷です。彼の正義はゼクトの正義でした。そうした意味で主観性も乏しいのではないのかとも思いました。
彼は次第にゼクトの統率者である加賀美陸に不信を抱きネイティブである根岸と結託し自身もネイティブとなります。そうして人類全体をネイティブにしようとします。彼は人間を捨てたのです。
それが正解だったかというと結論から言いまして間違いでした。彼は人間というものもワームやネイティブもわかっていませんでした。根岸は天道に人間もネイティブも何もわかっていない、その程度の存在でしかないといったことを言わればっさりと切り捨てられあえない最期を遂げていますが彼もまた同じでした。根岸は見ていて器の小ささを感じさせましたが三島は結局のところ人間がわかっていなかったのでしょう。非常に冷たく何を考えているのかわからない人間でしたが末路を見る限り権力志向は強いのですが人間がわかっていないのではないかと思いました。そうした意味で田所、ひいては根岸と合わせて天道と対比になり誤った道を見せてくれるキャラクターでした。
ここまで書いてからいよいよ主人公である天道に入りたいと思います。まず彼は非常に傲慢に見えます。俺様キャラの最たるものです。まさに自分が太陽であり全てだと言います。モデルは脚本家の井上敏樹氏だということはかなり知られていますがよく言われている井上氏そのままの発言や行動によりストーリーを構成していきました。カブトはまず天道がいてからはじまる部分が多かったのではないでしょうか。
彼は知力においてもかなりのものでありとあらゆる謎を解いていきます。その超然的な性格ともあいまってカブトの前半は非常にさくさくと進んでいました。
果たして彼に弱みはあるのか、何か弱点はあるのか、こう考える程でしたがやがて実の妹である日下部ひよりとの絆が出てきます。
天道は後半あくまでひよりを救い出そうとします。そのうえでもう一人の自分であるダークカブトとも多くの死闘を繰り広げます。ハイパーカブトにもなりそのうえで死闘を繰り返します。そのうえでひよりを完全に救い出し彼女を人間の世界に人間として置くことに成功しました。
彼はこの中でワーム、ネイティブもまた人間であることを完全に理解しました。その結果ワームの中で倒すべき相手も知りました。それは即ち人の心をなくした相手です。そうした存在こそが倒すべき相手なのだとわかったのです。
だからこそ彼は根岸を下らない男と断定しました。その彼にとって最早根岸の言っていることは非常にスケールの小さなことだったのです。そして多くの戦いの中で絆を知り友人を知りました。その友人の存在もまた重要でした。
その友人こそが加賀美新です。
彼は一見して平凡な人物です。天才タイプの天道ややたら目立つ神代や風間大介、矢車想等と比べるとかなり地味です。ゼクトでも当初目立たない存在でした。どちらかというと影山瞬と同じような立場でした。
しかし彼は地道に努力する人間であり確実に成長していきました。天道を追う形ですが仮面ライダーガタックにもなりワームと本格的に戦うようにもなります。
その中で多くのものを見てきましたしさらに成長していきます。LORD OF THE SPEEDは彼の曲と思われますが彼はこの曲通りに生きています。天道の後を追う形ですがそれでも彼は彼の道を歩み確実に成長していきます。平凡ですが人間として間違っておらずその平凡を受け入れてさえいます。
そうした意味で彼の器は大きいです。決して小さいものではありません。天道を井上氏とするなら彼はプロデューサーである白倉伸一郎氏でしょうか。そんな気がします。やがて天道を支え共闘していく彼を見ていると天才でなくともその天才に比肩できるようにもなる、そのことがわかります。
天才は確かにいます。しかし凡人はその天才に勝てないのか、比肩できはしないのか、そうしたことを考えて加賀美を見ると非常に興味深いのではないでしょうか。才能が天才に負けていてもそれでも努力、確実な成長で天才に比肩できるのです。もっとも天道は実は超人的な努力をしている人ですが。少なくともテニスの王子様の様に才能だけで勝て努力を否定するようでは何にもならないでしょう。何かになるのは努力をしている人だけです。加賀美はそのことを教えてくれる大切なキャラクターです。
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