レインボークラウン
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第三百六十四話
第三百六十四話 博士にも
小田切君はタロとライゾウから聞いた八条百貨店のステーキハウスでの食べ放題の話を博士にもした。そのうえでこう博士に誘いをかけた。
「一緒にどうですか?」
「ステーキハウスでか」
「はい、食べ放題を」
こう誘いをかけるのだった。
「ワインも飲み放題とのことです」
「そうか、しかしな」
「しかし?」
「飲み放題のワインはのう」
博士はそちらを問題視していた。
「今一つな」
「安いからですか」
「飲み放題だとどうしてもな」
「安いものですね」
「そyじゃ、ワインは安いとじゃ」
そうしたワインはというのだ。
「どうもな」
「お口に合いませんか」
「ワインについては五月蝿い」
博士は美食家で特にワインについては好みが激しい、貴腐ワインや上等のシャンパンを好む傾向にある。
「だからな」
「いいですか」
「肉もじゃ」
こちらもというのだ。
「好みがあるからな」
「だからですか」
「別にいいわ」
「行かれないですか」
「食おうと思えば幾らでも食える」
こうも言った博士だった。
「金なぞ幾らでも作られるからな」
「ステーキ、ワインを買うお金を」
「伊達に賢者の石を持ってはおらぬ」
無限に金や宝石を出せる石だ、博士はそれから出した金銀宝玉を売ってそのうえで生活の糧も研究費も手に入れておるのだ。
「松坂牛も飛騨牛も何でもな」
「好きなだけ買って」
「ワインもそうしてじゃ」
そのうえでというのだ。
「好きなだけ食えるからな」
「食べ放題飲み放題はいいですか」
「特にな」
こう小田切君に答えた。
「気持ちだけ受け取っておく」
「じゃあ僕だけで行ってきますね」
「思う存分食って飲んで楽しんでくることじゃ」
「それじゃあ」
「ではな」
博士は笑って自分はいいとしてその笑顔で小田切君を送り出した、かくして小田切君は一人でそのステーキハウスに行くことになった。
第三百六十四話 完
2016・8・3
ページ上へ戻る