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ドリトル先生の名監督

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第四幕その十一

「そう呼んでくれるかな」
「監督ですか」
「どうかな」
「先生がそう言われるなら」
 こう先生に答えるのでした。
「それで」
「うん、じゃあね」
「少しの間宜しくお願いします」
「こちらこそね、ただ」
「はい、ただ?」
「聞いたことによるとね」
 先生は尋ねる感じで相撲部の人に言うのでした。
「角界ではよく厳しい稽古があって」
「相撲部屋とかですね」
「竹刀で叩いたりとかあるというけれど」
「うちの部活ではないですよ」
「あっ、そうなんだね」
「八条大学は体罰は禁止されてますから」
 それでというのです。
「うちの部もないです」
「それはいいことだね」
「体罰なんかしたら」
 それこそというのです。
「人も来なくなってすぐに問題になりますよ、それに何より」
「受けた相手が痛いからね」
「心も身体も」
「そう、どちらもですから」
「そう、禁止されているからしないんじゃなくて」
「最初からしたらいけないことですね」
「体罰はね」
 本当にと言う先生でした。
「そのことがわかっていたらね」
「いいんですね」
「僕は絶対に暴力は振るわないから」
 先生が誰かにそうしたことはありません、その相手が人でも生きものでもです。そうしたことは何があってもしないのです。
「そして怒鳴ることもね」
「先生はそうした人じゃないですね」
「うん、暴力はね」
 先生にとってはです。
「絶対に否定するものだからね」
「そうですよね」
「そんなことをしたら」
 本当にというのです。
「相手が痛いからね」
「心も身体も」
「どちらも傷ついた人も見てきたからね」
 お医者さんとしてそうした患者さんも見てきたのです。
「あまりいいものじゃないよ」
「やっぱりそうですよね」
「相手は傷つけない」
 その心も身体も。
「そうしないとね」
「やっぱりよくないですね」
「それが人としてあるべき姿だと思うから」
「先生は暴力は振るわれないですね」
「このことは約束するよ」
 確かな声で、です。先生は部員の人に本当に約束しました。
「何があってもね」
「しろと言われてもですね」
「僕はしたことがないから」
 それこそ生まれてからです、先生が誰かを殴ったり罵ったりしたことはありません。相手が誰であってもです。
「竹刀も持たないよ」
「わかりました、それでは」
「そのこともね」
 約束すると言ってでした、そのうえで。 
 相撲部の人は先生に一礼してから研究室を後にしました、そして。
 その先生にです、動物の皆が聞きました。 
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