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魔法少女リリカルなのは innocent ~海鳴に住む鬼~

作者:88打
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鬼、挑戦する

 
前書き
チーム名はある漫画からの流用になります。自分のネーミングセンスのなさを痛感しました…… 

 
~明星高校 中庭~

先日の約束通り、俺はもう一人のチームメイトを賢斗達が連れてくるのを待っていた

「幹太さーん、お待たせしました」

声のする方へ顔を向けると、賢斗達以外にもう一人の人影が見える。どうやら女子の様だ、腰まである長く艶やかな黒髪、宝石のシトリンを思わせる力強く美しい黄色の瞳、他の女子と比べると少し背が高く、プロポーションもいい……

「紹介しますね、この娘が僕の友達の"舞川 静(マイカワ シズ)"ちゃんです」

「初めまして!私、舞川 静と申します!特技は歌とダンス!将来の夢は歌って踊れるシンガーソングライター!よろしくお願いします!」

なんか……清楚な見た目に反してかなりぶっ飛んだ娘が来たな……

「よ……よろしく」

あまりの勢いに少したじろいでしまった

「菓 幹太だ。高校一年…一応お前の先輩になる」

「幹ちゃん先輩ですね!」

「おいまてコラ」

コイツ今、なんと言った……

「その呼び方は止めろ……」

「じゃあ!くるみん先輩!」

「それもダメ!」

なんでコイツ俺の愛称知ってるんだよ……

「えぇ~!絶対この呼び方の方がいいですよ!」

「スミマセン……静ちゃん、昔からこんな感じで。人を愛称で呼ぶのが癖みたいになってるんです」

賢斗の説明で少しは納得したが、それでもこの呼び方はだけはいただけない

「てゆーか、なんで皆は先輩のこと先輩って呼ばないの?」

「む、確かに……」

「そう言われてみれば……」

「僕達、ずっと幹太さんって呼んでましたよね……」

静の言葉で少し考える仕草をする。桜馬、宗輝、賢斗の三人……

「学校では先輩なんだから、ちゃんと先輩って呼ばないと!」

「うん……そうだね、此からは僕も先輩って呼びますね。幹太先輩」

「ワシもじゃ!宜しくのぉ先輩!」

「そうですね……私もそうしますよ。くるみん先輩」

「ちょっとまてコラ」

賢斗と桜馬はいい……だがな

「さっきも言ったけど、その呼び方は止めてくれ」

「えぇ~なんで~可愛いじゃないですか~」

「そうですよ、親しみは大事ですよ」

静はともかく宗輝は完全に悪ふざけでやってるな……

「…………もう好きにしろ」

「ヤター!」

「ありがとうございます」

これ以上は疲れるだけなので此方からおれることにした。まぁ、クラスの奴等も止めろって言っても毎日言ってくるし……いいか

「……さて、今後の方針について話し合うんだよな?」

「そうですね、折角チームを結成したのですから。何か目標を持ちましょう」

「ハイハイハーイ!」

開始早々、静が全力で挙手している

「……はい、静」

「ブレイブグランプリ優勝!」

「イヤ無理だろ」

グランプリまであと一ヶ月半しかないんだぞ……

「流石に優勝は無理だけど、ベスト8くらいはいきたいよね……」

「確かに、賢斗さんの言う通り。大会で何かしらの戦績を残すのは、大きな目標になります」

「しかし……今のワシらの実力では難しいのではないのか?」

「だからこそ!特訓するんだよ!」

俺を差し置いて後輩達がどんどん話を進めていく……

「チームとしての特訓は勿論、くるみん先輩以外の個人戦力を上げないといけませんねぇ」

「もう、その呼び方確定なんだね…………」

「いいじゃん!可愛いし!」

「男に可愛さを求めてるのはどうじゃろう……」

「お前ら一回俺の話聞いてくんない?」

気を取り直して話を再開する

「それで……当面の目標なんだけど、今から一ヶ月半後に行われるブレイブグランプリに出場していい成績を残す……これが目標でいいな?」

俺の言葉に後輩達が頷く

「で……特訓についてなんだけど、俺は基本的に平日は実家の手伝いで忙しい時が多いから……」

「手伝い?幹ちゃん先輩の家って何やってるんですか?」

そういえば、コイツらには教えてなかったっけ?

「甘味処だよ、赤子庵って店なんだけど……」

「あ、知ってます。僕の母がよく水羊羹を買いに行きます」

「ワシの親父もよくそこの煎餅を買いに行ってるの」

まぁ……その話は一旦置いといて……

「それで、提案としては俺が暇な時はチーム練習。俺が忙しい時は個人練習か俺抜きでチーム練習をするのはどうだ?」

「そうですね……それがいいですね」

宗輝や他の皆も納得した様だ

「そんじゃ……今週末位なら時間大丈夫だと思うから。その時にチーム練習するか」

「その間に僕達も自分の特訓をしないとですね……」

「折角ですから、チームだけでなく。個人の目標も決めましょうか……」

「個人目標かぁ……何がいいかな?」

「まずワシらの場合はグランプリ開催までに通り名を取るってのはどうじゃ?」

通り名ねぇ……

「いや、俺はもう通り名持ってるけど……」

「え!そうなの!」

静が俺の発言に驚いている

「そうだよ、幹太先輩はロケテスト時の全国ランキング50位で"灰被りの戦鬼"の通り名を持ってるんだ」

「ふぇ~そうなんだ!」

賢斗の説明に感心する静……確か、静以外は俺が通り名持ちであることは前の戦いで知っているはずだ

「くるみん先輩以外の我々後輩一同の目標はブレイブグランプリ開催までに通り名を取得する……でよろしいですか?」

「そうなると……先輩の方はどうなるんじゃ?」

「俺の目標かぁ…………そうだ……」

俺は携帯端末を取り出して画面を操作した

「何をしてるんですか?」

「今の自分のランキングを調べてる…………あ、あった」

え~と順位は…………

「…………216位」

正式稼働が始まってからランキング戦に殆んど出ていなかったとわいえ……これは少し下がりすぎだ

「…………よし、俺はともかく順位を上げる。」

「上げるって……どれくらい?」

「とりあえずは……100位以内で、それから少しずつハードルあげてくよ」

できれば……グランプリ開催までにロケテスト時の順位までにはいきたいな……

「各々の目標が決まったところで、今日はもう解散にするか……店の手伝いがあるし」

そろそろ店が混み始める時間帯だ……

「そうですね……私はこの後、特に予定はないので……桜馬と二人でT&Hに行くつもりなんですが、賢斗さんや静さんはいかがですか?」

「僕も大丈夫……静ちゃんは?」 

「ダイジョーブイ!」

後輩達はこれか特訓をするらしい

「それではくるみん先輩、私達はこれで失礼します。」

「じゃあの、先輩」

「さようなら幹太先輩」

「じゃーねー!幹ちゃん先輩!」

四人が手を振りながら学校を後にした。俺も急いで帰るとしよう





~赤子庵~

いつも通りに帰宅してすぐ店の手伝いにはいる。今はひたすらかき氷を量産中だ、そろそろ腕が疲れてきた

「幹太~、抹茶餡蜜と白玉栗ぜんざい出来たからお願い」

「あいよ~」

出来た品を次々と運んでいく、前日と変わらない位の忙しさだ。猫の手も借りたい……兎の手ならあるが

「あずきちゃん、抹茶パフェとお団子セットを奥のお客さんにお願いね」

「わかった!」

目が回る忙しさ………昼時の定食屋みたいだ

「あんた、苺大福と豆大福のセットとお饅頭三点セットお持ち帰りだから。箱に詰めといて」

「……ん」

お袋の指示のもと、皆がせっせこ働いている。お客が来なくなる頃にはすっかり日が落ちていた

「あ"ぁ~疲れた~」

「つかれたー」

「幹太もあずきちゃんもお疲れ様、もう暖簾下げるから。晩御飯まで休んでなさい」

「「はーい」」

俺は自分の部屋で休もうと部屋に向かった

「ん~~~」

何やらあずきが店の壁にある棚をじっと見つめている

「どうした?なんかあったか?」

「あれ何?」

あずきの指差した方向には毛糸で出来たぬいぐるみ……所謂、編みぐるみが置いて有った

「ペンギンの編みぐるみだな……あれがどうかしたか?」

「可愛い~あれどうしたの?何処かで買ったの?」

「あずきちゃん、あれはね……幹太の手作りなのよ~」

そう……店の装飾として置いてあるぬいぐるみや編みぐるみ、ちょっとした小物なんかは全て俺の手作りだ。手先が器用なだけが取り柄だった俺は小さい頃から父方の祖母にこういった裁縫などの技術を仕込まれた

「スゴーイ!ねぇねぇ幹太!アタイにも作って!」

「まぁ……いいけど。何がいいんただ?」

「え~と…………ゴマフアザラシ!」

また随分とマニアックな…………

「一週間ちょっとで出来ると思うから……それまで待ってろ」

「わかった!」

毛糸……予備有ったかなぁ……
 





~菓家 リビング~

只今、家族で夕飯を食べている。あずきのご飯は相変わらずの山盛りサラダだ……

「そういえば……来月にはスイカが来るわよ」

「あぁ……もうそんな時期か」

家の店でお世話になっている農家や果樹園の方々から此からも宜しくお願いしますという意味を込めて何かしらの贈り物を貰う事がある。特に果樹園から夏にスイカが送られてくるのは毎年の恒例である

「今年も御近所に配らないとなぁ……」

「そうねぇ……中島さんの所には多めにあげましょう」

しかし、三人家族で食いきれる量では無いので、毎年御近所に配るのもまた、恒例である

「親父、お袋、今週末……配達が終わったら、出掛けるから」

話を切り替えて今週末の予定について話し合う

「いいけど……何処に行くの?」

「T&Hに行くつもりだよ。最近ブレイブデュエルでチームを作ってさ……大会もあるから、練習しようと思ってな……」

「チームで大会に出場か~なんかカッコいいね!」

「そうか?」

あずきの発言に俺は首を傾げる……

「チームで参戦ってことは、勿論チーム名とかあるんだよね?」

「……あ」

あずきの言葉で思い出した……

「そういや……考えて無かったな、チーム名……」

「大丈夫なの?大会にエントリーするのに必要なんじゃないの?」

お袋の言う通り、チーム名が無ければエントリー出来ない……

「明日……皆で考えるか……」






~明星高校 中庭~

翌日の放課後、何時もの如く中庭に集合した我々五人は中庭のベンチに座っていた

「という訳で……チーム名を考えよう」

「チーム名……ですか?」

「そう言えば……考えてませんかでしたね、私達のチーム名が無ければグランプリには出場出来ませんし……早く考えましょう」

「そうは言うが……以外と難しいのではないのか?余りふざけた名前だと今後の活動にひびくかもしれんぞ?」

俺、賢斗、宗輝、桜馬が頭を悩ませていると……

「ハイハイハーイ!」

静がものすごい勢いで挙手をしてきた

「……どした?なんか思い付いたのか?」

「じつは私!昨日からチーム名を考えておりました!」

そう言って、静はメモ帳を取り出した

「どうぞ!」

「どれどれ……」

静のメモ帳を四人で確認する……

「…………却下」

「これは…………ちょっと……」

「無いですね……」

「無理じゃろ……」

「えぇ~!なんで!」

四人の感想に納得のいっていない静、何処が駄目なのか皆に質問してきた

「なんと言うか……全体的にキラキラしとるんじゃよ……」と桜馬

「女子だけのチームならともかく……このチームでこの名前は……」と宗輝

「女子でもこれは恥ずかしと思う……」と賢斗

「幼稚園の女の子が付けそうな名前だな……」と俺

「ガーン!」

俺達の指摘にショックを受けたのか、静は落ち込んでしまった

「とりあえず……一回皆で意見を出しあうか」

全員でチーム名に関するアイデアを出しあうことにした

「やっぱり……そのチームの特長を捉えた名前がいいですね……」

「特長って言っても……僕ら全員、個性的ではあるけど統一感はないよね……」

「個人的にはあんまり気取り過ぎない名前がいいのぉ」

「絶対に私の考えた名前がいいのに……」

後輩三人が意見を出しあうなか、静は今だに不貞腐れている

「ショップチームとかだと……店の名前を付けられるんだけどな……」

「あぁ……それですよ!」

『??』

宗輝が何かを思い付いたようだ

「チームとしての特長ではなく、チームの象徴となるもので名前を考えるんですよ」

「チームの象徴って……やっぱりチームのリーダーだよね」

賢斗の言葉にふと、疑問が浮かぶ

「ウチのチームのリーダーって誰だ?」

俺がポロリとそんな言葉をこぼすと……

「くるみん先輩ですよ?」

「幹太先輩ですよね?」

「先輩じゃろ?」

「幹ちゃん先輩でしょ?」

四人が口を揃えて俺を名指しする……

「え!俺なの!?」

「むしろ貴方以外に誰がいるんですか……」

宗輝は若干呆れ気味に返した……

「なんで俺?」

「いや……だって年長者ですし……」と宗輝

「頼りになりますし……」と賢斗

「強いしのぉ……」と桜馬

「面白いし!」と静

「……まぁいいよ」

この事で言い争ってたら、チーム名なんて決まりはしない

「それで?俺でチーム名考えるって……具体的にはどうすんだ?」

「そうですね……名前を入れるのが一番簡単ですが……先輩の場合、名前も苗字もチーム名にするには少し使いづらいですね」

確かに……菓と幹太なんて、チーム名に使えるわけもない

「となると……外見的特長で付けるのはどうでしょう?……皆さんは、先輩の見た目でまずは何を思い浮かべますか?」

「和装じゃろ…」

「背が高い……かな?」

「人相が悪い!」

それをどう使えと…………

「くるみん先輩と言えば、やはり鬼の面だと私は思いますが……」

「鬼か……」

「鬼兵隊とかどうじゃ?」

「カッコいいけど……それだと僕達も鬼みたいにならない?」

やはり……何かチームで統一感をだすべきか……

「いっそのこと、皆でお面被っちゃえば?」

静のその一言に俺はある事を思いついた

「そうだ……全員で仮面を付ければチームとしての特長がつくんじゃないか?」

確か、簡単なアクセサリーのようなカスタマイズならすぐに出来たはずだ

「仮面ですか……面白そうですね……」

「僕……人前で顔だすの苦手だし……いいかも」

「仮面か……カッコいいのがいいのぉ」

「私可愛いのがいい!」

全員賛成のようだ……

「それで……肝心のチーム名はどうするんですか」

「あぁ……それなら」

宗輝の問に俺はメモ帳を取り出し、スラスラとペンを走らせた

そこにはvisoredと書かれていた

「……なんて読むの?これ」

「ヴァイザードですね……ヴァイザーの過去形で仮面で覆い隠すという意味です」

「よく読めるたのぉ……うん、ワシは悪くないと思う」

「響きもカッコいいし……僕はこれがいいかな」

「じゃあ……チーム名はヴァイザードでいいか?」

全員が頷いた。決まりのようだ……

「それじゃ今日から俺達は、仮面の集団……ヴァイザードだ」

「まだ仮面なの先輩だけですけどね……」

賢斗、いらん突っ込みをするな

「んじゃ各員、今週末までに仮面のアクセサリを付けてくること、あんまりふざけたのは止めろよ?」

「「「「はい」」」」

こうして、俺達のチームとしての挑戦が始まった 
 

 
後書き
~赤子庵 メニュー~

・抹茶餡蜜:お年寄りに人気のメニュー、特性の抹茶寒天がみつまめと絶妙にマッチしている

・白玉栗ぜんざい:噛みきりやすくもしっかりと弾力のある白玉と知り合いの農家から貰った栗で作る栗きんとんが子供達に人気

・抹茶パフェ:女性人気の高いメニュー、上には特性の抹茶アイスと餡子、干し杏など。中には抹茶寒天や抹茶のスポンジケーキが入っている

・お団子三点セット:粒餡、こし餡、胡麻、みたらし、胡桃、ずんだの中から三つ選べる。

・大福セット:苺大福と豆大福が三個づつ入った持ち帰り用の商品

・お饅頭セット:茶饅頭、草饅頭、薄皮饅頭の三種が四個づつ入った持ち帰り用の商品 
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