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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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146部分:第十八話 炎の剣その三


第十八話 炎の剣その三

「戦いを愛するな」
「戦いたいが故にアーレスに仕えているというのか」
「この世を鮮血と戦乱で覆い尽くす」
 今バドの脳裏には戦乱と破壊、そして鮮血により彩られた世界が映し出されていた。逃げ惑い死んでいく人々のこともまたそこにはありそうした光景を思い浮かべて楽しげに笑っていた。
「その為にだ」
「シュラ様、やはりこの男」
「我等とは」
「わかっている」
 聖闘士達はバドの表情から彼の考えを読み取り嫌悪感を露わにさせたうえでシュラに対して囁いた。シュラもまたそれを受けて言うのであった。
「アーレスの治める世界では人は生きてはいけぬ」
「弱い者はな」
 バドは今度はシュラにこう告げた。
「確かに生きてはいけぬ。だがそれがどうした」
「弱い者は必要ないというのか」
「その通りだ。闘いは強い者だけが生き残るものだ」
 ここではバドは頭の中に人々が互いに争い合い殺し合う姿を想像していた。
「その中でどうして弱い者が必要なのだ。不要でしかない」
「つまり平和は不要か」
「如何にも」
 はっきりと言い切ったのだった。
「その通りだ。アーレス様の治められる世界ではな」
「よくわかった。貴様等の考えはな」
 シュラはここまで聞いてもまだ冷静さを全く失ってはいなかった。まさに剣の鋭さを見せそのうえで話を聞いていたのであった。
「よくな」
「では。どうするというのだ?」
「知れたこと。闘うまでだ」
 右手のその手刀を前に出しながら述べた言葉だ、
「今ここで貴様とな」
「ふむ。それでははじめるというのだな」
「このシュラのエクスカリバー」
 手刀に光が宿ったように見えた。
「切れぬものはないとだけ言っておく」
「では私も言おう」
 バドは右手に持つその鮮血の色の剣をシュラに突きつけて言ってきた。
「このハルパスのバドの剣で焼けぬものはない」
「全てのものを焼き尽くすというのか」
「その通りだ。ハルパスは炎の魔神」
 自らをこう名乗る。
「それに焼けぬものはないということだ」
「それでは。それを見せてみるのだな」
 シュラはバドの誇らしげな名乗りを聞いても動じてはいなかった。
「今ここでこのシュラにな」
「では。退かぬのだな」
「もとよりそのつもりはない」
 シュラは最初からそう決めているのだった。
「聖闘士が敵に背を向けることは有り得ないのだからな」
「それでは正面を向いたまま焼き尽くされるといい」
 バドの笑みは凄惨なものにさえなってきた。
「私の手によってな」
「!?この小宇宙」
「ああ、確かにな」
 アステリオンとトレミーがそれぞれバドの全身から湧き起こる小宇宙を感じ取り顔を見合わせて話す。
「尋常なものではない」
「闘いに餓えていて。それでいて」
 二人はそこまで感じ取りながらさらに言葉を続けていく。
「かなりの強さの小宇宙だ」
「これは。我等よりも遥かに上か」
「白銀聖闘士よりも遥かに」
「それでは」
 青銅の者達もここで気付いたのだった。
「やはり我等では狂闘士の相手はできないというのか」
「忌々しい話だ」
「ここはシュラ様にお任せするしかない」
 アステリオンはこう決断を下した。
「それしかな」
「我等では役不足か」
「忌々しいことだがな」
 実際にその感情を見せながらトレミーにも言葉を返すのだった。
 
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