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IS―インフィニット・ストラトス 最強に魅せられた少女

作者:伊10
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第10話 私、観戦します。

IS学園内第二アリーナ。私はその観客席にいる。理由は………言うまでもないか。

いよいよクラス代表対抗戦、その第一試合、一組対二組だ。つまり織斑対鈴だ。二週間前なら鈴の瞬殺だっただろうけど、今は………さて、どうかな?

意外な事に下馬評はほぼ互角、鈴の実力が未知数なのと、あの織斑千冬の弟というネームバリューがかなり効いてるらしいね。まあ実際の所は2:8で鈴だろう。

これでも織斑に勝機が無い訳じゃない。機体で言えば織斑の《白式》の方が総合性能は高い。

鈴の専用機、《甲龍》は安定性と汎用性に優れたパワータイプのISだ。どんな状況下でも常に一定以上のパフォーマンスを発揮する代わりに、他国の第三世代機に見られる様な極端な長所も無い。そういう意味では玉鋼に近い。

第三世代兵装の衝撃砲《龍哮》も、搭乗者の能力に依存するイギリスのBT兵器やドイツで開発中の“アレ”と違って、どんな搭乗者でも使うことが出来る。

玉鋼もそうだが、主力機として量産化を狙う以上、どうしたってその辺りは画一化する必要がある。パイロットによって性能が変化する機体は競技用としては問題無いけれど、兵器としては問題外だ。

そう考えれば、白式も制式化には向かない、完全競技用の一点物(ワンオフ)だろう。私は候補生の立場上、天津風の性能も知っているが、アレに関しては適正A+以上じゃなきゃそもそも作動しないのだから、必然、次期主力機は私の玉鋼か、あの子の機体になる。

…………………って誰でも分かりそうなモノだけど実際は白式を推す声が強いらしい。ネームバリューなのかそれ以外の何かがあるのか………

ま、そんな事はどうだっていいか。





既に二人はピットから出ている。ピンクがかった赤い装甲の甲龍と名前の通り純白の装甲の白式。恐らく先に突っ掛けるのは………。

試合開始。それと同時に織斑が突進する。この二週間基礎を徹底して鍛えただけに、そのスピードは中々のものだ。

対する鈴は二振りの大型の青竜刀を取り出す。あれは……検索、ヒット。《双天牙月》ね。二刀流以外にも連結してブン回したりブーメランみたいな使い方も出来るみたい。

因みに私はこっそり玉鋼を部分展開してたりする。何故って?この戦いを録画して、後で徹底的に舐め尽くすためさ!

落ち着いて待ち受ける鈴、織斑の一撃目を左の剣で受け流し、右の剣で反撃の一撃を繰り出す。が、織斑はそれを読んだように回避、雪片弐型による連撃を加える。

雪片にはバリア無効化攻撃がある。だから大振りの一撃よりも、連撃の方が効果的だ。だから訓練でもそっちを中心にやって来た。それでも本人が一撃必殺を好むのは血の為せる業か。

ともあれ、篠ノ之さんにミッチリしごかれた織斑の近接戦闘は、既に候補生と渡り合えるだけの力を持っている。才能って恐いね。

鈴も負けてはいない。上手く弾いて一瞬の間隙を作ると双天牙月を連結。力任せの一撃で無理矢理距離を抉じ開けた。そのまま退がる鈴。織斑はチャンスと見たか追うけれど………鈴のが一枚上手かな?

甲龍の特徴的な非固定浮遊部位(アンロックユニット)が一瞬強く発光する。次の瞬間、轟音と共に織斑が弾き飛ばされた。織斑の顔には明らかな困惑の色がある。そんな隙を鈴が見逃す筈もなかった。

ドゴゴゴゴゴゴゴォォォン

…………いや、撃ち過ぎじゃない?

空間にエネルギーを加え、仮想砲身を形成、余剰エネルギーを用いて圧縮した空間その物を不可視の砲弾として射出する、甲龍の第三世代兵装、衝撃砲《龍哮》。その連射が白式を全弾捉え、シールドエネルギーを大きく削った。

恐らく半分を割り込むかどうかといった所か。吹き飛ばされつつも、何とか体勢を立て直したら織斑の目の前には、瞬時加速で距離を詰めた鈴と、振り下ろされつつある双天牙月の刃があった。

間一髪、雪片弐型を割り込ませる事に成功する織斑。しかし、衝撃までは防げず、ノックバックの勢いを利用して距離を空ける。すると追撃で飛んでくる双天牙月。回転しながら突き進むそれを危うい所で回避する。

完全に鈴のペースに呑まれたね。殆ど無傷の鈴に対して後がないじり貧の織斑。元の実力差もあるが、これだけ大差が開くと精神的にもかなり厳しい。あらゆる勝負事で当たり前の事だが、勝てないって思った瞬間敗けは確実になる。

……………ま、あのいっそ無神経とでも言うべき図太さを持つ織斑に、そんな普通の可愛げのある反応が期待できるかと言えば全くの否なんだけど。

案の定というか何というか、織斑は一瞬たりとも萎縮せず、それどころか瞬時加速を使って一気に勝負にでた。当然、そんな直線的な動き鈴が衝撃砲で…………いや、アレは!!?

なんとビックリ。織斑は零落白夜を盾の様に制御して発動。衝撃砲の砲弾をすべてかき消したのだ。よくもまあそんな事思い付くね。

しかし、鈴も黙って見てる訳じゃない。衝撃砲を撃ちつつも全力で後退している。元々距離が離れていたのも幸いして、どうにか間合いの外側を維持出来そうだ。

けれど織斑は止まらない。届かないと分かってる筈の剣を振り下ろす……………いや、違うわね。成る程、雪片弐型は確かに届かない。でも、零落白夜はエネルギーの刃だ。つまり………“間合いをのばせる”。

当然、エネルギーの消費は比べ物にならないだろうけど、織斑には……正確には白式の零落白夜には関係ない。何故ならあれは、一撃で試合を決めることが出来るのだから。

驚愕に目を見開く鈴に、光の刃が迫る。そして、そのシールドバリアーをかき消し、甲龍の装甲を捉えようとした瞬間だった。

私がソレに気付けたのは、玉鋼を部分展開していたのと、試合中の二人と違い一歩引いて観察していたからだろう。アラートと共に玉鋼が視界に表示した内容はこうだ。



『警告!正体不明のIS反応を検知。方位、直上。高エネルギー反応を探知!』 
 

 
後書き
次回、あの黒いヤツとの戦いです! 
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