ドリトル先生の名監督
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第二幕その五
そうしたお話をしてこの日も学問に励む先生でした、先生にとって学問はやっぱり最大の楽しみごとなのです。動物の皆と一緒にいるのと同じだけ。
けれど次の日です、先生は休日でしたがお家に来た王子にこんなことを言われました。
「王子もなんだ」
「そう、今度の大阪場所をね」
執事さんを横に座らせたうえで先生にお話します。
「観戦しに行くんだ」
「そうするんだね」
「実は日本の宮内庁の方からね」
「お誘いがあったんだね」
「大阪に皇室の内親王様が来られて」
「あっ、それでなんだ」
「一緒にどうかってね」
観戦のお誘いが来たというのです。
「直接人が来てお話をしてきたんだ」
「凄いことだね」
「いや、日本の皇室からなんて」
それこそというのです、王子も。
「夢みたいなことだよ」
「そうだね、日本の皇室の方と一緒の観戦なんて」
「凄いよ、とはいってもね」
ここで王子は先生にこうもお話しました。
「僕これまでも何度かね」
「日本の皇室の方とだね」
「ご一緒させてもらったことがあるんだ」
「お誘いを受けてだね」
「来日して留学しているから」
それでというのです。
「そうさせてもらってるんだ」
「王子は王国の太子だからね」
「昔から日本の皇室にはよくしてもらってるよ」
勿論宮内庁にもです。
「凄くね、ただ」
「ただ日本の宮内庁はだね」
「あそこは厳しいね」
こうしたこともです、王子は先生にお話します。
「あんな厳しいところないよ」
「それは僕もそう思うよ」
「イギリス人から見てもだね」
「うん、あんなに凄く厳しいところはないよ」
先生から見てもです、本当に。
「ガードも固いしね」
「うちの王室とてもね」
「そちらの宮内省もだね」
「あんなに厳しくないし質素でもないから」
「日本の皇室は質素さでも有名だね」
「日本みたいな豊か国なのに」
それでもというのです。
「あんなに質素なんてね」
「そのことも凄いね」
「質素過ぎて」
「王子は日本の皇室ではだね」
「いられないね」
少し苦笑いになってです、王子は先生に言いました。
「とてもね」
「そこまで質素だね」
「僕にとってはね」
それこそという言葉です。
「無理だよ」
「厳し過ぎて質素過ぎて」
「あそこまでしなくても」
「いいね」
「そう思うけれどね」
「あの皇室は違うんだ」
「そうした考えなんだね」
王子は信じられないというお顔のままです、ぼやく様でしてそうしたお顔になっています。
「皇室たるものは」
「そう、教育は厳しくて」
「生活は質素なんだね」
「そうあるべきって考えなんだ」
「ううん、確かに王様だけが贅沢をしていたら」
王子もこのことはわかっています。
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