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Fate/kaleid night order

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第1節: A.D.2006 〜ロンドン その始まりは、突然に〜

2006年3月某日
イギリス〜ロンドン市内の何処か〜

とある1人の若き魔術師と、とある1人の若き魔術使いが、ある魔術の実験を行おうとしていた。


「なあ遠坂、もう止めとけって、ルヴィアさん、昨日は珍しく朝から機嫌が悪かったし、ほんとは言うつもりはなかったけど、無意識に八つ当たりする形で言っちゃったんじゃないか?」

「士郎、それ本気で言ってるの?」

「今この状況で嘘を言ってもしょうがないだろ、じゃあ遠坂はどう思ってるんだよ?」

「私は違うわ。どうせあいつのことよ、本心で言ったに決まってる‼︎」

「遠坂はほんとにそう思ってるのか?」

「 ええそうよ、それにね、仮にあの成金女がほんとは言うつもりがなかったんだとしてもよ、私にとっては大問題よ‼︎私の魔術師としての一番の特徴である宝石魔術を今までのなかで一番ムカつく形で貶してくれたのよ、腹が立たないわけないじゃない! 寧ろあの時、たまには士郎に迷惑をかけないようにしなきゃって思って、あいつが私を貶してた間、キレないようにずっと冷静なふりをして我慢して、いつもみたいにあいつに跳びかからなかった 自分をブン殴りたいって思ってるくらいよ‼︎」

(この状況における俺の扱いが酷いことになってるってことは ひとまず置いておいて、遠坂、過去に例を見ないレベルのヤバさで 怒ってるな。下手なことを言って火に油を注ごうものなら、ガンドの乱射で全身蜂の巣にされかねないぞ。ここに桜かアーチャーがいてくれたらなあ・・・って嘆いていても仕方ない。今のままだとかなり難しいけど、 とりあえず実験を止める気があるのかどうか 話を聞いてみよう。それで、ないって返事が返ってきたら黙って実験を見守ることにしよう。)
そう考えた俺は実験を始めようとしている
遠坂に再び話しかけた。
「遠坂、最後にもう一度だけ聞くけど
この実験を止める気はないのか?」

「しつこいわね、ないわよ。当たり前でしょ、
さっさと実験を始めるわよ!」

「そうか、わかった。悪かったな、しつこく聞いて。さ、実験を始めよう。」

(無理だったか、仕方ない、こうなったら
後日、遠坂が ルヴィアさんに
この実験の成果を見せつけ終わった後で
俺が2人の間にはいって2人が喧嘩しないように
仲を取り持つしかないか。)
そういう考えに至った俺は、今は黙って
この実験を見守ることにした。


*****


ーside Rinー

(この宝石剣は試作品で、大師父《キシュア• ゼルレッチ•シュタインオーグ》が持っていたとされるオリジナルにはまだ及ばない部分もあるけど、私の考えが正しければ、それでもかなりの魔力を全時空から集束できるし、 持続時間だけならオリジナルと同じはず。だからこの実験でその性能を完全に発揮•確認•証明できればオリジナルの完璧な再現に大きく近づける!)

「ふっふっふ、見てなさいルヴィア、
最近いつもよりも調子にのってた分も兼ねて、
明日はアンタが泣いて土下座して謝るぐらいまで
ギャフンと言わせてやるわ‼︎」

*****

(心の声がだだ漏れだぞ遠坂、あと最初らへんは
最早私怨としか言いようがないな。)


俺は実験中の遠坂を見ながら、そのようなことを考えていたがそこでふと、何かを言い忘れているような感覚に襲われた。
だが、
(まあいいか。少しだけ気になるけど、言わなきゃならないことは全部言ったはずだし、もし絶対に言わなきゃならないことなら絶対俺の脳が覚えてるはずだしな 。)
と、思った俺はそのまま実験を見続けることにした。
だが、数十分後、早くも俺は思い出さなかったことを後悔することになった。


*****


「ふー、今のところは全くもって順調ね。この様子なら問題なくこの実験は成功しそ『ピキッ。』・・・う、ね?」

(ウソ⁈)

「おい、遠坂、いったいどういうことなんだ、試作品でのところどころにヒビ割れがおきて、そこから魔力が漏れ始めてるぞ。コレは持続時間だけはオリジナルの宝石剣と同じはずって俺に自信満々に言ってたよな⁈」

「そ、そうよ、その通りよ。」

「ならなんでこんな事になってるんだよ⁈」

「わ、私に聞かれたってわかんないわよ!この試作品は、遠坂の家に代々引き継がれてきたオリジナルの設計図を入念にチェックしながら製作したのよ⁈間違いなんて 起こるは・ず・が・・・・・・・」

この瞬間、俺は試作品の宝石剣のなかを分析するのと同時に、約数十分前に思い出せなかったことの内容を完全に思い出していた。
「遠坂、まさかお前・・・。」
「しっ、しろぉ〜〜〜。(泣)」
その内容とは、
「私、また、ヤッちゃったみたい・・・・・。」
遠坂は、いつも物事をあと一歩というところでしくじってしまう、というものだったのである。
「なんでさーーーーーーーーーーーー⁈」
俺の叫び声が辺りに響き渡ったその瞬間、
ヒビ割れがほぼ刀身全体にまで広がっていた試作品の宝石剣がとてつもなく目映い光を刀身から放ち、俺と遠坂はそれから生じた渦に呑み込まれ消えていった。 
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