ドリトル先生の名監督
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第一幕その九
「若し僕が力士ならね」
「あはは、褌締めてね」
「土俵に立ってだね」
「そうなればね」
「本当に力士さんになるね」
「うん、まあ僕はお相撲はしないけれど」
実際にはです、観ることはしますが。
「観ることはするね」
「じゃあ力士さんじゃないね」
「実際にしないからね」
「それじゃあだね」
「先生が食べてもちゃんこ鍋にはならないね」
「水炊きも」
今実際に食べているお鍋もです。
「ちゃんこにはならないんだね」
「逆に力士さんが食べたら何でもちゃんこ」
「それになるんだね」
「ソフトクリームもピザも」
「それこそ何でもだね」
「そうなるね、そう思うと不思議だね」
先生もしみじみとして言います。
「力士さん達が食べたら何でもちゃんこになるのは」
「そうだよね」
「これも日本だけのことだね」
「いや、お相撲なんだね」
「そうなんだね」
「うん、本当に面白いよ」
また言った先生でした。
「このことは頭に入れておくよ、僕も」
「そうだね、じゃあね」
「皆で水炊き食べよう」
「それもお腹一杯ね」
「そうしよう」
こうお話してでした、この夜は皆で鶏の水炊きを食べました。そして次の日先生は登校してまずは研究室に入りました。
そしてです、研究室に入って来た学生さん達のぼやきを聞くのでした。そのぼやきはといいますと。
「いや、広島最近」
「そうだよね」
「どうも怪我人多いね」
「そこが気になるね」
こうしたことを言うのです、今日来たのは広島東洋カープのファンの人達です。
「やっぱり練習のし過ぎかな」
「うちのチーム猛練習が看板だけれど」
「その練習が過ぎるのかな」
「身体を痛め付け過ぎてるのかな」
「練習は必要だけれど」
それでもとです、先生も言います。皆に紅茶を出しながら。時間はまだ八時で講義がはじまるにはまだ時間があります。
「それもね」
「やっぱり過ぎたらですね」
「よくありませんよね」
「怪我の元ですね」
「そうなりますね」
「うん、僕も広島の話は聞いてるよ」
その広島東洋カープのです。
「それでやっぱりね」
「練習し過ぎですか」
「身体がそのせいで疲れてて」
「怪我につながってしまう」
「そうなんですね」
「それはあるね、だから練習した分は」
その分だけというのです。
「アフターケアをしっかりしないと」
「マッサージとかですね」
「身体をほぐすべきですね」
「広島の選手はそれがないんですね」
「練習をしても」
「うん、まあね」
こうも言った先生でした。
「巨人に選手を掠め取られることもね」
「巨人いつもやるんですよね」
「あそこそういうことしかしないですから」
「自分のところの選手を育てないで」
「金にものを言わせて」
「そうだね、あれはよくないね」
先生は人間として言いました。
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