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ソードアートオンライン 黒紅の騎士と紫紺の剣姫

作者:ルキウス
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黒の剣士

 
前書き
時間が結構飛んでます。 

 
   ???サイド

「で、キリトはその()の使い魔とやらを蘇生させるのに47層に行くと」
「ランも、同じだろ?」
 私たちの前で、2人の少年がテーブルを挟んでなにやら言い合っている。
「ラン君、こっちの2人固まってるよ。いい加減状況説明した方がいいんじゃないかな?」
ランさんと一緒にいた女性プレイヤーが2人の間に入って仲裁して「・・・すまん。ユーリ、熱中し過ぎた」と、ランさんが彼女に頭を下げていた。

「えっと、シアさんだっけ?・・・ちょっと、タブーかも知れないんだけどレベルいくつかな?」
「えっと、とりあえず55です。47層に行く最低限ですけどね・・・一応、ランさん達からいくつかアイテムを融通してもらったので大丈夫かと」
 ネットに於いて相手のリアルを聞くことはタブーなのだが、キリトの問いにシアは正直に答えていた。
「キリト部屋取りよろしくなー」
「なっ!?ラン、どーゆうことだ!説明しろよ」
 ランさんは、後は任したかのようにテーブルに突っ伏して眠ってしまった。キリトさんは、がっくりと肩を落としてため息をついていた。


 シリカside
「じゃあ、とりあえずおさらいしようか。・・・えっと、キリトさんアレ持ってますか?」
「ミラージュ・スフィアでいいんだよな」
 その夜、一旦男子と女子で別れた後「シアさんの、予習しましょう。予習」ということで私たちは、キリトさんの部屋で予習することになりキリトさんが出したミラージュ・スフィアというアイテムで47層について勉強中です。
「・・・ここが、47層フローリア。通称≪フラワーガーデン≫って、呼ばれていてな。その名のとおり、主街区どころか層全体が花だらけなんだ。時間が、あるなら北にもある巨大樹の森にも行けるんだが今回は、時間がないから最短で・・・ここ思い出の丘を目指す。この道を通るんだが・・・・・・この辺にゃ、ちょっとメンドーなモンスターが・・・」
 口下手なキリトさんに変わってランさんが、地理について解説してくれます。私たちは、地図を見ながらその半透明だけど綺麗な景色に目を奪われていた。
「で、この橋渡れば・・・・・・」
不意に、ランさんが声が途切れて顔を上げた瞬間キリトさんとランさんが、稲妻のような速度で移動し、ドアを引き開ける。
「ちっ、逃げられた」
「・・・・・・話を聞かれていたな・・・・・・」
 2人がドアを閉めて戻ってきたので、シアさんが疑問を投げかけた。
「え?でも、ドアって、ノックの後30秒以外は声聞こえないはずですよね?」
「通常ならな。聞き耳スキルが高いなら別だが……そんなもん上げてるやつは、中々居ねえけど―まっ、すぐに解る。なぁ?キリト」
「あぁ、いまメッセージ打ったところだ」
「そんじゃあ、今晩は俺が歩哨するか。どーせ、暇だし。ユーリ二人を頼んだぞ」
 そう言って、ランさんがドアの前に立ち私たちは、部屋に戻って翌朝を迎えたのでした。

「そんじゃ、行くぞっと、その前にキリトーシリカにアレ渡しとけよ。ほい、シアにもな」
ランさんが、ポケットから青い結晶”転移結晶”をシアの手の中に落とした。
「予定外のトラブルが起こったら使え……俺たちのことは心配すんな。いいな?」
「はい」
 向こうでも、恐らく同じやり取りが行われていたのであろう。
「じゃあ、行こうか。ピナちゃんとクーちゃんを取り戻すために」
 私は、腕を高く上げて出発の音頭を取った。

 しかし。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。き、気持ち悪いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃー」
 私たちは、事あるごとにエンカウントするモンスターたちが名状しがたき者どもじみた歩く花や巨大イソギンチャクに逆さづりにされたり粘液まみれにされりしながらも工程を消化しているのだがいまだに私は、慣れることができずにまた逆さ吊りにされてされしまった。
「……はぁ、ったく仕方ねぇな」
 ランさんが、敏捷力と筋力補正値で軽くジャンプして左手に握った長剣で切り落とす。
「も、もういやぁぁぁぁ」
 落下しながら両手剣ソードスキルを放ちその胴体を両断。同時に、斬り分かれた体がポリゴンに変わり消失し私は着地した。
「いい加減、慣れろよー」
「むむむむ、無理ですよー(´;ω;`)。あんなに気持ち悪いのいるなんてー」
「そうですよねー。私も、いまだにちょっと苦手です」
「あー、ハイハイ。もうそろそろ着くから我慢しろー」

「「これが、≪プネウマの花≫(なんですね)(なんだー)」」
「ああ。……そいつの花の中の滴を心アイテムに振り掛ければいいんだよなぁキリト?」
「ああ、そうだ……」
 キリトさんの声が途切れて、ランさんもいままでよりも厳しい表情(かお)になっていた。
「―そこで待ち伏せてる奴、出てこいよ」
「ひい、ふう、みい……ざっと、40人くらいいるだろ?」
「えっ?」
 私たちは慌てて木立に目を凝らすも、人影もなかったが数秒後。がさりと、茂みが揺れた。プレイヤーカーソルが2個、色はグリーン、犯罪者(オレンジ)ではない。
 茂みから出てきたのは、私とシリカの知っている顔だった。
 炎のように真っ赤な髪、同色の唇、光沢のある黒いレザーアーマーを装備し、片手には細身の十字槍を携えている。
「ろ、ロザリアさん。なんで、こんなところに?」
 もう一人は、白い髪に、動きやすそうなレザーコートを羽織り、腰には幅広な片手剣を吊っている。
「え、ネロさん・・・なんで」
 瞠目するシリカさんや私の疑問には答えず、ロザリアはニヤリと笑った。
「あたし等のハイディングを見破るなんて、なかなか高い索敵スキルね、剣士さん。侮っていたわ」
「その様子だと、首尾よく花は、取れたようだねシア……では、その花を渡してもらおうか」
 ネロさんの言葉に、私は絶句してしまいました。
「何言ってるんですか?どうして?どうして、なんですか」
 それまで、口を開かなかったランとキリトが進み出て、口を開いた。
「そうは行かないな、ロザリアさん。いや―犯罪者(オレンジ)ギルド≪タイタンズハンド≫のリーダーさん、といった方がいいかな」
「そういうこったな。ネロ=アーヴィング≪トライエッジ≫のリーダーさん」
 彼らの、顔から笑顔が消失した。
 SAO内において、システム上禁止されている窃盗、傷害および殺人をおこなったプレイヤーはカーソルカラーがオレンジに変化する。それゆえ、犯罪者プレイヤーをオレンジプレイヤー、その集団をオレンジギルドと通称する。―という知識は、彼女らも持ち合わせていたが、実際に見た経験は一切なかった。
 だが、眼前の2人のカーソルカラーはどう見ても緑でしかない。
(どうして、カーソルがグリーンのままなの?)
「……シア。俺らはな、オレンジギルドと言えども全員が犯罪者カラーじゃねんだよ。全員が、それだと町や村にすら入れず衛兵(ガーディアン)NPCに強制的に死亡(ゲームオーバー)だ。ちなみに、昨晩盗聴してたのはうちのやつらな」
「……渡さないっていうんなら、ヤっちゃいましょう。出てきな」
「仕方ないなぁ。クヒヒヒ」
 ネロがフィンガースナップするとぞろぞろとPCカーソルが出てくるが、ほとんどが禍々しいオレンジ色―その数38。
 新たに出現したプレイヤーたちは、銀色のアクセサリーやサブ武装をじゃらじゃらと音が出るくらいぶら下げている。
「き、キリトさん。無茶ですよ逃げましょうよ」
「大丈夫。心配しないで」
「はぁー。こんだけ見事に嵌ってくれると笑えるねー・・・じゃ、ユーリ危なくなったらシリカとシア連れて逃げてね」
 隣に立っていたランさんもキリトさんに続いて進んでいく。
「キリトさん」「ランさん」
その声がフィールド上に響いた途端。
「キリト・・・?」
その言葉を聞いた賊の一人が呟いた。そして、記憶を探るように米神に指を添えて考え出した。
「その恰好……盾なしの片手剣……黒の剣士?ラン?そのコートと右差しの片手剣……黒紅の騎士?」
顔面を引き攣らせ、男は数歩後退し呟いた。
「や、やばいよ、ロザリアさん。こいつら、ベータ上がりの攻略組だ。」
 男の声を聴いた全員が顔をこわばらせている。ロザリア、ネロも開いた口が塞がらないようだ。
実際、シリカもシアも同様だったがユーリは、ニコニコしていた。
「こ、攻略組がこんなとこをウロウロしているわけないじゃない!」
「名を騙っているいるコスプレ野郎のはったりかもしれんぞ。もし、本物だとしても2人ぐらい楽勝だろう?」
 彼らの言葉に、勢いづいたのか戦闘の斧プレイヤーも叫んだ。
「そ、そうだぜ。攻略組ならレアアイテムや金をたんまり持ってるはずだ。オイシイ獲物じゃんか」
口々に同意の言葉を喚きながら男たちは抜剣した。無数の金属が狂気を孕んで光る。
 ランもキリトも、その場から動きもせず剣すら抜かず微動だにしなかった。
それを、諦観と受け取った男たちが一斉に走り出し彼らに襲い掛かった。
 槍が剣が斧が、次々と彼らを切り刻んでゆく。
シリカやシアが叫んでも、数の暴力は終わらないだろう彼らがHPを全損するまでそのあとは、自分たちがやられる番になる。
 しかし、ユーリが二人に小声で「HPバー見てみなよ」と言って、あることに気づいた。
彼らのHPバーが減っていない。
 否、実際には減っているのだが次の瞬間には右端まで戻っているのだ。
「なにやってんだ。さっさと―」

「無理だよ。あんたりゃには、俺らは殺害(ころ)せない。あんたらの、武器は大抵市販品か殺したギルドの装備品、俺はプレイヤーメイドの装備品。ましてや、オレンジプレイヤーに鍛治スキルを取るやつはいない。そして、たいして能力も大して高くないだろ?今し方あんたらが俺に与えたダメージは10秒で450前後…STR-AGIビルドに20人で450しか与えられない。戦闘時回復(バトルヒーリング)スキルで回復する量は10秒で700加えて俺のレベルは79、HP14,800だ。何時間やろうが絶対無理だよ。キリトも同様だろ?」
 男たちは、絶望したように立ち尽くし。
「むちゃくちゃだ。そんなんアリかよ」
「そうだ」
吐き捨てるようなキリトの言葉。
「たかが、数字が増えるだけでここまで絶対的な差が着くんだ。これがレベル制MMORPGの理不尽さなんだよ」
 キリトの、抑えがたい何かを孕んだ言葉に、男たちは気圧され後ずさった。
「チっ」
不意にロザリアとネロが舌打ちすると、腰から転移結晶を掴み出した。宙に掲げ、口を開く。
「転移ー」
その言葉が、紡がれる前に飛来した何かが転移結晶をピンポイントで命中し砕け散った。
「さてと」
 腰が抜けたロザリアとネロの襟首をキリトが掴んでズルズルとこちらに引き摺って男たちの間に放り込む。ランは、腰から、転移結晶よりも色の濃い結晶を取り出した。
「さて、これはさるギルドから渡された回廊結晶だ。出口は、黒鉄宮の牢獄エリアに設定してある。これで全員牢屋に跳んでもらう。軍がちゃんと3食、簡素だが飯も出してくれるさ」
 地面に座り込んだロザリアは、キリトを睨みつけながら。
「嫌だと言っー「容赦なく()る」
笑顔が凍り付く。
「と、言いたいところだけど流石に、ヤっちゃまずいからレベル5麻痺毒で動けなくして放り込まれるのと自分で飛ぶのか選べ」
 死刑宣告を、受けた死刑囚のような表情で全員が黙りこくったのを確認してランは、結晶を掲げて叫んだ。
「コリドー・オープン」
結晶が砕け青い渦が出現する。
「……それでは、シア。さようなら」
 最初に、ネロが跳び次々に、悪態や雑言を吐きながら光の中に消えていく。盗聴役のグリーンプレイヤーも続き、一人ロザリアだけが残った。
 赤毛の女盗賊は、仲間が全員回廊に跳んでもキリトを挑発的に睨みけてその場から動こうとしなかった。
「…やりたきゃ、やってみな。オレンジにー」
言葉が、終わらないうちにキリトはロザリアをコリドーに頭から放り込んだ。
 そして、青い渦は消えた。


 
 

 
後書き
 やっと書き終わりました。これ書くのに、6時間以上かかりました。改変したり、キャラ考えたりセリフ弄ったりととにかく作業が大変でした。一応、エピローグ的な奴を次話に書こうかなと思ってます。亀更新さ―せんした。

オリキャラ

・シア
 性別:F
 メイン:両手剣
 
 シリカと同じビーストテイマー。シリカとは別の階でクーと名付けたテイムモンスターを失った。
 
・クー
 シアのテイムモンスターで、種族名≪ラビットウルフ≫ ホッキョクウサギが立った状態ににたような感じのモンスター。 
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