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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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106部分:第十二話 ベルゼブブのカナンその七


第十二話 ベルゼブブのカナンその七

「何のことだかな」
「しかもだ。最初は九人を一度に相手にするつもりだったな」
「俺の実力じゃ当然のことだがね」
「どうかな。もっとも言うつもりはないようだがな」
「俺は別に何も言ってねえぜ」
 軽口は相変わらずだった。
「最初から言うつもりもねえがな」
「では聞かないでおこう」
 言葉と共に姿を完全に消した。
「もうわかっていることだしな」
「随分と買い被ってくれてるのか誤解しているのか知らねえがな」
「まあいい」
 話を切ってきたカナンだった。
「どちらにしろまた会うことになる」
「だからその時こそ決着の時だって言ってんだがな。手前がかなり変なこと言うからよ」
「言うから。何だ?」
「変なことになったんだろ。まあどちらにしろだ」
 姿を消してしまったカナンに対して最後に告げた。
「勝つのは俺達だからな」
 最後の言葉はカナンの耳には入っていなかった。カナンは何処かへと姿を消した。後に残ったのはデスマスクとサガの二人だけであった。
 その中で。サガはデスマスクの横に来た。そうして彼に声をかけてきた。
「とりあえずドイツでの戦いは終わりだ」
「ああ、ここではな」
「そして御前の任務も終わりだ」
「そうなるか。じゃあ聖域に帰っていいんだな」
「そうだ。初陣だが随分と活躍したな」
「実力ってやつさ」
 軽くサガに言葉を返すのだった。
「これがな。俺の実力ってやつさ」
「そうだな。これからもその実力を発揮する時が来る」
「あいつをぶっ倒すことか」
 言うまでもなくカナンについてのことだった。
「それならよ。何時でもできるぜ」
「それだけではない」
 しかしサガは今のデスマスクの言葉はこう言って否定する。
「この聖戦だけではないのだ」
「勿論これで戦いが終わりとは思ってねえぜ」
「最後の最後までだ」
 サガの言葉は少し厳しい感じになっていた。
「我等の戦いは続くからな」
「最後の最後までねえ」
「そうだ、少なくとも」
 サガの目が光る。
「この戦いだけではない」
「アーレスだけじゃないってことか」
「それはわかっていると思うがな」
「まあ頃合いかな」
 ふと思い出したように語るデスマスクだった。
「あの戦いの」
「先の聖戦から二百年が過ぎた」
 サガはまた言う。
「そろそろだな」
「もっともで。今度はどうなるんですかね」
「どうなるかというと?」
「いや、あれだろ」
 サガに顔を向けて問うてきた。
「前の聖戦じゃ残ったのは」
「教皇と五老峰の老師だけだ」
「十二人全員いた黄金聖闘士も他の奴等も全員戦死ときたもんだ」
 デスマスクの言葉は確かに軽い調子ではあったがそれでも言っていることは真剣そのものだった。彼としてもこのことに関してはいつもの態度とは違っていた。
「その時の蟹座の黄金聖闘士は随分活躍したそうだけれどな」
「その前の聖戦もな」
 さらに前の聖戦の話にもなる。
「蟹座の黄金聖闘士は見事な活躍をした」
「先の聖戦の教皇セージってわけだな」
「そうだ。だからこそ御前も」
「まあやるだけやってやるぜ」
 先輩であり歳も離れているサガにもいつもの態度だった。
 
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