『零と先輩』
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『強い想い』
零の過去を知っても、先輩は今迄と変わりなく接してくれた。
腫れ物に触るそぶりもなく、下手に気を遣うでもなく、それがすごく居心地良かった。
たまに女の子扱いされる時は変な感じだった。
慣れてないから。
女を利用して男に復讐することはあっても、女を生かした幸せとやらは無縁だった。
零は、世の中の人間に深い怒りと憎しみと悔しさを抱いていた。
女で在ることそのものに対する嫌悪感。
女を性欲の捌け口に使う玩具、もしくは、それ以下のモノと捉えてる男への殺意。
世の中の人間に対する不信感が拭えた時は無い。
ごく少数の人間以外には...。
先輩とは出逢ってすぐ、その少数の心開ける関係性に在った。
先輩は、笑顔が絶えない優しい人。
周りへの配慮が行き届く気遣いが出来る人。
でも、やっぱり心の底には深い何かを感じてた。
少なくとも零は心を開いた。
何もかも洗いざらい話したわけではない。
言っては成らないこともあった。
自分の為ではなく、守りたい者の為に...。
先輩にも、何かあるなら打ち明けて欲しい。
でも、其の気持ちがエゴだと解ってるから何も言わない。
今はこの関係を絶対に壊したくない。
そう強く想った。
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