レインボークラウン
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第三百五十七話
第三百五十七話 見ているだけ
とにかく梨花は徹底してだった、梨奈を見た。だが決してジロジロとして見るのではなく日常の生活の中で見るのだった。
そのうえでだ、ピエールとジュリエッタに彼女達だけになった時にこう言った。
「こうしてね」
「見ていくのですね」
「じっくりと」
「そうして見ていき」
「冷静にですね」
「分析するってね」
こう言うのだった。
「それも魔女っていうから」
「見て考えて確かめる」
「それもですか」
「探偵みたいだけれど」
くすりと笑ってだ、愛読書の少年探偵団のシリーズも思い出した。
「そうすることもね」
「魔女ですか」
「まさに」
「ええ、そうだからね」
それでというのだ。
「見ていくわね」
「そしてどうなのか確かめていく」
「見るだけで」
「私思うに理想はね」
「理想?」
「理想といいますと」
「それはエルキュー=ポワロなのよ」
この探偵だというのだ。
「考えるだけで答えを出す」
「ただお話を聞くだけで」
「その場所から動かずにですか」
「答えを出す」
「それが魔女の理想ですか」
「頭を使うって意味だとね」
まさにというのだ。
「そうなるわね」
「あの髪の毛のない探偵ですね」
「お洒落なお髭の」
二匹も知っているポワロのトレードマークだ、猫の様な目で小柄であるが服装に非常に気を使っているという特徴もある。
「座ったまま考え答えを出す」
「それが理想ですか」
「そうみたいだからね」
こう考えるからだとだ、梨花は二匹に答えた。
「じっくり考えるわね」
「見たうえで」
「それに徹しられますか」
「動かずにね」
「では」
「私共」
「お願いね」
こう言って実際に動かない梨花だった、ただ妹を見てそのうえで彼女が明るくなった理由を確かめるのだった。
第三百五十七話 完
2016・7・7
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