英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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外伝~”灰の騎神”ヴァリマール~
~オルキスタワー~
「しかし”風の剣聖”を連れ戻す話はともかく……大統領の関係者達はどこに消えたのだろうな?」
部屋を出たリィンはロイド達を見回して呟き
「やはりキーアさんもいないみたいですし……」
エリゼは考え込んでいた。
「そうだな……」
「……伝言を残したという事はひょっとしてタワーには――――」
そしてエリィが呟いたその時、ロイドのエニグマが鳴りはじめた。
「おっと……(スピーカーモードにするか。)」
鳴りはじめたエニグマに気付いたロイドは通信を開始した。
「ああ、ロイド君達!直通エレベーターのセキュリティ、やっと解除できたよ~!」
「本当ですか!?」
「よかった、これで……」
ロバーツの話を聞いたロイドは声を上げ、エリィは静かな笑みを浮かべた。
「ただ、どうも他のフロアにはほとんど人が残っていないんだ。こちらのサーチから逃れて隠れているとも思えないし。」
「それは……」
「おいおい、そんじゃあキー坊たちは一体どこに……」
「……………」
ロバーツの意外な情報を聞いたティオは真剣な表情になり、ランディは目を細め、キーアは複雑そうな表情で黙り込んだ。
「ただ一箇所……オルキスタワーの屋上に”誰か”いるみたいだね。あの白い人形と一緒に。」
「……!」
「ほう?たった一人で俺達を待ち受けているとはいい度胸じゃねえか?」
ロバーツの話を聞いたロイドは真剣な表情になり、ギュランドロスは好戦的な笑みを浮かべ
「……エレベーターで屋上に行く事は可能か?」
ヴァイスは真剣な表情で尋ねた。
「ああ、ロックは解除したからそのまま上がれるはずだ。行くのであれば気を付けて!」
「了解です。」
「それでは失礼します。」
そしてロイドは通信を止めた。
「”結社”の博士か、それとも……」
「わからん……行ってみるしかねえだろ。」
「近くにある直通エレベーターが使用可能になっているはずです。必要なら1Fまで戻って準備を整えておきましょう。」
「ああ……!」
ロイド達が先に進もうとしたその時、またロイドの通信が鳴りはじめ
「おっと、またか……………(今度もスピーカーモードにするか。)」
ロイドは再び通信を開始した。
「ロイド君か?オレや。今、大丈夫か?」
「ケビン神父……!はい、大丈夫です。もしかしてそちらでは”神機”を……?」
「ああ、何とか破壊できたわ。―――それよりエイドスさんがロイド君達に聞きたい事があるらしくてな、今代わるわ。」
「空の女神が俺達に……?」
「一体何なのかしら……?」
ケビンの言葉を聞いたロイドとエリィは不思議そうな表情をした。
「皆さん、ご無事で何よりです。」
するとその時ロイドのエニグマからエイドスの声が聞こえてきた。
「はい、何とか……!それで俺達に聞きたい事とは一体何ですか?」
「………話を聞くところ私達が戦った”神機”というとてつもない人形兵器と高確率で戦う事になりそうなのですね?」
「……はい。」
「その話を聞いてその”神機”に対抗できる古の人形兵器に心当たりがあり、その事を皆さんに教えておこうと思いまして。その兵器なら”神機”とまともにぶつかり合え、互角……いえ、ひょっとしたら互角以上に戦えるでしょう。」
「ほ、本当ですか!?」
「ほう?」
「一体どんな兵器なのか気になるな……」
エイドスの話を聞いたロイドは信じられない表情で声を上げ、ギュランドロスとヴァイスは興味深そうな表情をした。
「唯難点が一つありまして……”起動者”がいなければ、その兵器を動かす事はできないのです。」
「”起動者”………?」
「言い方からして、操縦者みたいですけど………その兵器を動かせるのはその”起動者”とか呼ばれている人でないと無理なんですか?」
エイドスの話を聞いたロイドは不思議そうな表情をし、ティオは考え込んだ後尋ねた。
「……………!?」
するとその時、身体の痣がある部分がドクンドクンと鳴りはじめた事に気付いたリィンは驚いた後痣がある部分を押さえ
「兄様……?」
リィンの様子を見たエリゼは不思議そうな表情をした。
「ティオさんの言う通り、その”起動者”と呼ばれる一族の者でしか古の人形兵器――――”騎神”は操縦できません。私の力で本来なら”試練”を超えて”封印”が解けるはずの”騎神”を近くまで召喚する事は可能なのですが…………”起動者”が”騎神”の名を呼ばなければ”騎神”は応えないのです。」
「おいおい。それじゃあ宝の持ち腐れじゃねえか………」
「私達の中にその”起動者”という一族の人がいるとはとても思えないし……………」
エイドスの説明を聞いたランディは疲れた表情で溜息を吐き、エリィは考え込み
「………その”起動者”という一族には何か特徴みたいなものはないのですか?」
ロイドは考え込んだ後真剣な表情で尋ねた。
「……そうですね……………”起動者”の一族の者は皆、人が持つ”力”とはとても思えない超越した力を持っているのですが………後はとてつもない禍々しい”気”をさらけ出し………”魔人”と似た風貌―――――銀髪と紅い瞳が特徴ですね。」
「へ……………」
「そ、それって………」
エイドスの説明を聞いたロイドは呆け、ティオは信じられない表情で仲間達と共にある人物に視線を向け
「に、兄様………」
エリゼはティオ達が見つめる人物――――リィンを心配そうな表情で見つめ
「……………多分、その”起動者”は俺かもしれません。昔から獣じみた”力”が俺の中に眠っていて……”力”を解放すればエイドスが仰ったような風貌になりますし、超越した”力”を震えます。」
リィンは静かな表情で答えた。
「!!!………そうですか。では最後に確認しておきたいのですが、身体のどこかに痣のような部分はありますか?もしあれば特徴を教えて下さい。」
「あ、はい。胸にあるのですが――――」
そしてリィンは自分の胸に刻み込まれてある痣の特徴を説明した。
「………………………その痣の特徴ですと”灰の騎神”ですね。」
「”灰の騎神”?」
エイドスの言葉を聞いたリィンは不思議そうな表情をし
「詳しい説明は今は省きますが”騎神”は数体存在し………”灰の騎神”もその一体です。今から”灰の騎神”を召喚しておきますので、戦になればその名を呼んで下さい――――”灰の騎神”ヴァリマールと。きっと”灰の騎神”自体も”契約者”の資格がある”起動者”が側にいれば呼びかけて来ると思います。」
「……………わかりました。おかげで自分の事が少しだけわかりました。」
「お役に立てたのなら幸いです。――――それではご武運を。」
そしてエイドスは通信を切った。
「兄様……………」
エイドスとの通信が終わるとエリゼは心配そうな表情でリィンを見つめた。
「………大丈夫だ。例え俺が何者であろうとエリゼや父さん達の家族である事は違いない……―――そうだろう?」
「……はい!それに例え兄様が何者であろうと愛し続けます……!」
そして静かな笑みを浮かべて自分を見つめて言ったリィンにエリゼは頷いて微笑んだ。
「ハハ………」
「リィンとエリゼ、ラブラブだね♪」
「こんな所でイチャつくんじゃねえ!!」
その様子を見ていたロイドは苦笑し、キーアは無邪気な笑顔を浮かべ、ランディは悔しそうな表情で二人を睨み
「ほう?いつの間にそんな関係になるとは………やるじゃないか。」
ヴァイスは感心した。その後ロイド達はエレベーターに乗って屋上に向かい始めた。
同日、11:50―――――
~アルモリカ古道~
「―――――我が呼びかけにてその封を解き………我が前に顕れよ………!―――――”灰の騎神”!!」
ロイド達が屋上に向かい始めたその頃、エイドスはケビンとリースが見守る中強く祈り始めた。
~エレボニア帝国・トールズ士官学院・旧校舎・第七層~
エイドスが祈ったその頃、エレボニア帝国のある士官学院の旧校舎の奥深くに地面に膝をついていた巨大な白き人形兵器は目に光を宿した後立ち上がって歩き出し、そしてエレベーターらしき場所に乗り、エレベーターが上へと昇って行く途中、人形兵器は空高くへと飛び上がり、天井を突き破ってどこかへと去って行った!
~トールズ士官学院・本校~
「!!そ、そんな………!」
一方その頃、エレボニア帝国の”貴族派”の兵士達―――領邦軍の兵士達の見張りによって教室に閉じ込められている生徒の一人である眼鏡の女子は目を見開いて信じられない表情をし
(一体どういうこと!?”起動者”が”試練”を終えていないどころか、”導き手”である私達の前に現れてもいないのに”アレ”の封印が解けるなんて……!)
眼鏡の女子の側にいた黒猫は厳しい表情をしていた。
「エマ?どうかしたの?」
その時眼鏡の女子の側にいた金髪の女子は不思議そうな表情で尋ね
「い、いえ……何でもありません……」
尋ねられた女子は冷や汗をかきながら答えた。
「う、うわあ!?何だあれは……!?」
その時窓で外の風景を見ていた紅毛の少年は声を上げ
「機甲兵……!?」
青髪の女子は厳しい表情で呟き
「いや、あれは……………」
「クロウが操っている”機甲兵”に似ているな…………」
「………大方クロウの仲間が”革命派”との戦闘の援護にでも行ったんだろうさ………」
金髪の男子と褐色の長身の男子は真剣な表情で呟き、眼鏡の男子は厳しい表情で答え
「けど、一体どこに行ったんだろうね~?」
帽子を被った少女は不思議そうな表情で首を傾げていた。
~屋上~
「あれはまさか……………チッ、まさかこんな所に隠してあったとはな。しかし一体どこに向かっているんだ………?」
一方その頃学院の屋上にいる漆黒の外套を身に纏った銀髪で紅い瞳の青年は飛び立って行く人形兵器を目を細めて見つめた後舌打ちをし、考え込んでいた。
「同志”C”、大変だ!!」
その時”帝国解放戦線”のテロリストの一人が慌てた様子で青年に近づき
「どうした?”革命派”の連中が攻めてきたのか?」
テロリストの様子を見た青年は目を細めて尋ねた。
「ち、違う!メンフィルが……メンフィルが攻めてきた!!それも大規模な軍団だ!」
「何だとっ!?」
テロリストの答えを聞いた青年は厳しい表情で声を上げ
「飛行艇と戦艦の軍団が進路からしてこちらに向かっている!その事に気付いた”貴族派”の飛行艇の軍団が迎撃に当たったが……次々と殲滅され、撃退された!メンフィルの飛行艦隊のスピードを考えると約3時間後にこちらに到着する恐れがある!しかも既にメンフィルによって制圧された都市が次々と出始めたらしい!」
「………”大陸最強”を謳っている癖に内戦のどさくさに紛れてエレボニアを奪い取りに来るとは随分と卑怯な真似をしてきたじゃねえか………!”V”や”S”にも知らせろ!”機甲兵”や”騎神”で返り討ちにしてやるぞ!領邦軍の連中は士官学院の連中を見張らせておけ!」
テロリストの報告を聞いた青年は怒りの表情で声を上げた後指示をし
「了解!」
指示をされたテロリストは答えた後その場から去り
「――――来い、”蒼の騎神”オルディーネ!!」
テロリストが去ると青年は叫んだ!すると蒼い巨大な人形兵器が青年の前に着地して地面に膝をついた。すると青年は光につつまれ、人形兵器の中に入って行き、蒼き人形兵器はその場から飛び去った!
~アルモリカ古道~
エイドスが祈り続けていると空より巨大な白き人形兵器が顕れてエイドスの前に降り立った!
「な、何やこの人形兵器は……!?”パテル=マテル”や”神機”ともええ勝負やで!?」
「まさかこの人形兵器が先程の話にあった……?」
人形兵器を見たケビンは驚きの表情で叫び、リースは真剣な表情でエイドスを見つめ
「―――はい。”騎神”の内の一体―――――”灰の騎神”ヴァリマールです。後は武器も用意しておかないと駄目ですね………」
見つめられたエイドスは静かな表情で答えた後、その場で再び祈った。すると人形兵器――――ヴァリマールの片手に魔力や神力でできた巨大な光の刀が握られた!
我ヲ求メヨ、ソノ身ニ”焔”ヲ刻ミシ”起動者”ヨ……………
~オルキスタワー~
「…………!?(今の声は一体……………)」
ロイド達と共にエレベーターで上に向かっているリィンは頭を押さえて考え込み
「リィン?」
「兄様?どうかしたのですか?」
リィンの様子を見たロイドは不思議そうな表情をし、エリゼは尋ね
「いや……何でもない。」
尋ねられたリィンは苦笑しながら答えた………………………
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