剣の世界の銃使い
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
黒の剣士との戦闘
前書き
更新遅くなってすいませんでした!
テストも終わって、一段落ついたので、再開していきたいと思います。
では、どうぞ!
レイトがデュエルを申し込んで、キリトがそれを承諾してから、四人は一目のつかない下層に降りてきていた。レイトのユニークスキルの存在にこそ驚いたものの、それ以外は何の問題もなく、事は進んでいった。
双銃と双剣を構え向かいあう二人。
あれ?とシリカは思った。レイトの構えに何か違和感を感じたのだ。双銃を構える姿ははたから見たら何の疑問ももたないだろう。なにせ銃というもの自体が無いのだから。いつも近くで見ているシリカだからこそ気づけた小さな違和感。
「あ、分かった」
「え、どうかしたの?」
隣で見ていたアスナが聞き返す。
レイトの双銃の構えている位置がおかしいのだ。銃口が相手を狙っていない、レイトは開始直後に銃撃をしないのか?
「レイトさんの構えがちょっとおかしいんです」
銃口がキリトの方を向いていないことを説明すると、アスナもああ、と納得した。
ただ単に忘れている?いや、レイトが、レイトに限って、間接攻撃というアドバンテージを忘れるわけがない。
緊張している?それもありえないだろう。それに、油断もしていない。
じゃあ何か別の目的が・・・?
「確かに、頭のいいレイトくんがそれをしないわけ無いわよね。まさか、銃自体がフェイクな訳無いだろうし・・・」
フェイクという言葉が頭の隅に引っかかった。どこかで前見たことあったような・・・・・。
「あ、あれですか!」
「何か分かったの?」
「はい、レイトさん、結構本気です。初見であれを避けるのは無理だと思います」
シリカは少し驚いていた。出せる手は出し惜しみなく初めから使いきる。レイトがこれからやろうとしているのは、そっちの、レナと戦う時とかに見せる姿勢だ。いつもは使わないその姿勢をとっているレイトにシリカは驚いた。つまり、それだけキリトの実力を認めているのだろう。
とはいえ、あれは少し忠告した方がいいが。
「キリトさーん、上下には気をつけてくださいー」
離れているレイトとキリトに聞こえるように言う。これで伝わっただろう。
「シリカ、ばらすなよ!」
非難の声が飛んで来ましたけど、あの攻撃は忠告無いと決着ついちゃいますって。
レイトさんなら、あれくらいのハンデ、あっても勝ってくださいね?
「おまえの彼女、ああ言ってるけど?」
「その通り、気をつければいいんじゃないの?全く・・・」
レイトが苦笑混じりに返してくる。
こうしている間にもカウントダウンは進んでいく。あと十秒、というところでレイトが動いた。
無造作にメニューウインドウを開いて、何かを操作し始める。何かの仕掛けだろうか?そう考えているうちにカウントダウンは進んでいった。三、二、一、スタート。
タァン
「なっ!?」
何を仕掛けてくるか分からない以上、レイトの一挙手一投足を見逃さないように目を凝らしていたつもりだった。しかし、開始直後にレイトの姿が消え、それと同時に発砲音と共に俺の体力が削れる。
上下・・・下から何か来る!?そう気づいたときにはもうレイトは急接近していた。そこで俺は今までに何があったのかを理解した。これは一筋縄じゃいかないな・・・。
「せぇぇぇぇい!」
もう回避不可能な距離からの切り上げ。片方の長剣で迎撃されるものの、体全体を使った一閃はキリトを押し戻すことに成功した。
先手は取れた、このまま押し込む!
開始直後、俺は隠蔽スキルを発動。どんなに索敵スキルが高くても、突然使われれば一瞬、俺の姿は相手から消える。その後、双銃を腰に仕舞いながら体術スキル《スライディング》を使い、その名の通り体制を低くしながらシステムによるブーストを受け、スライディングする。これでキリトからは消えたと思い込ませ、そしてアイテム欄から狙撃銃、クリムゾンフレアをオブジェクト化し狙撃。すぐにクリムゾンフレアを投げ捨て、双銃を再び抜いた時にはもうキリトのすぐそばまで接近している。そのまま、切り上げてこちらに有利な体制を作る。
「ああもう、シリカが言わなきゃ終わってただろうに・・・」
「ほんと、お前の彼女のおかげだな」
今の一連の動作で削れたのは全体のHPの3割。最後の切り上げが決まっていれば勝っていたのに。まったく、どっちの味方なんだよシリカ。
これで、隠蔽スライディング不意打ちは使ってしまった。あと、打てる手は・・・・。
「いきなり、近接戦闘に持ち込むとは思わなかったぞ?銃だからてっきり遠距離から撃ってくるもんだと思ってたんだけどな」
「思いっきり壊してる俺が言うのもなんだが、あくまでもこの世界は《剣がプレイヤーを象徴する世界》だからな。それにこの双銃じゃ、弾もそこまで飛ばないし、正確な狙いも付けられない。一応、近接戦闘用の銃だぜ?」
言い終わる前に動き出す。再びスライディングを使い、キリトに急接近する。余談だが、体術スキルは銃衝術と相性がいい。体術スキルは攻撃、だけではなくスライディングのようにプレイヤーの移動や行動を補助するものが多く、ほかのスキルと組み合わせて使うことができるからだ。実際、体術スキルはほかの戦闘スキルとも相性がいいのだが。
相手の得物の射程に入る直前でスキルを中断し、キリトの真上に向かって跳躍。ほとんど敏捷力にパラメータを振っているため、そこまで高くは飛べないが、今回は特に問題ない。キリトのちょうど真上に来た時に引き金を引き、銃弾をばらまく。開始直後と今ので、下から攻めるという事を印象づけ、それを裏切って上から攻める。さらにさっきの会話で間接攻撃は無いと思い込ませ、間接攻撃で一気に削り取る。この二段構えの戦法、レナにも通用した数少ない戦法で、普通ならば十分片付くのだが・・・。
「やっぱり避けられるよねー・・・・」
「そりゃ、なっと!」
シリカの忠告があったのと、キリトの冷静な判断の所為で、全く釣られず簡単に避けられる。さらに、こちらが着地する場所で待ち構えられ、逆に一撃をもらってしまう。
守備力は全くというほど無いに等しいので、一撃当たっただけでHPバーがぐいっと持っていかれる。自分の守備力の無さに泣けてくる。臆病な殺戮者、その由来の相手の射程に入らないというのは、逆に言えば入られると簡単に堕ちるということだし。
もうこちらの自由な距離での銃撃もさせてくれないはずだ。今も必死にキリトの斬撃をいなしているが、いつ集中力が切れて一撃もらうかも分からない。そんな中で、勝つための道を捜索していく。
攻撃力も守備力も相手の方が上。パラメータ的な速度ではこちらの方が上だが、反射速度と言われれば勝っているかどうか怪しい。
銃衝術の中で最大威力のスキルを出す?キリトのことだ、簡単とは言えぬまでも、捌かれて終わりだろうし、あれは今じゃ状況が悪い。
一度距離を取る?少しでも後ろに意識が行った瞬間、ばっさり切られておしまいだ。
短剣や投剣を使う?そもそも持ち変える隙がない。
どうする?近接戦闘においてはあっちの方が何枚も上手だ。
「なんで、そこまで強いんだよ!?レベル差はあんまり無いはずなのに!」
「それでも、その守備力で今まで打ちあえてるだけでも驚きなんだが・・・」
「そりゃ、昔色々有りましたからね!」
あー、一つだけあるか・・・・?
とある理由から全く使っていないソードスキルを思い出す。確かにあれなら意表は付けるし、攻撃力は勝負を決着させるには十分ある。この状況は打破できるだろうが・・・。
「しゃくなんだよなぁ・・・・・・」
「は?なんか言ったか?」
しゃくなのだ、本当に。奴の思惑通りになることが。だけど、このままだとジリ貧。しょうがないか・・・・。はぁ・・・。
「何でもないです、よっと!」
一度キリトをギリギリで引き離し、ステップで後ろに下がり距離を取る。残りHPはほぼ同じ。
「次の一撃で終わらせてもらう。そろそろ疲れてきたし」
「疲れたってな・・・・ま、レイトらしいっちゃレイトらしい」
軽口を叩き合いながらも、相手の隙を窺う。とはいえ、もう一年以上前線で戦い続けてきたのだから、隙なんてものはなく、あったとしてもフェイクだろうが。
速度では勝っていても、威力では負けている。後は反射速度の問題だ。
俺の行動は基本的にヒットアンドアウェイだ。いつも先手にまわり、相手の行動をする前に離脱。これを繰り返して動く。だからこそ今だって先に動くのも俺。
移動にもフェイクを折り込みながら距離を詰め、キリトの射程内に真正面から踏み込む。右の銃での下からの切り上げ。ほぼ同時にキリトからの迎撃、武器同士が交錯しどちらも弾かれる。だけど、本命は左だ・・・!
「っらぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
後ろに引き絞った左の銃の先端に、突如としてオレンジのライトエフェクトの刀身が現れる。銃火器スキル《サティスファクション》。簡単に言うと、銃の銃身がソードスキルによって伸ばされ、そこからの一閃、続けて左から右に流れる切り払い。リーチの長さを長剣と平等にできる、銃衝術の中で唯一のソードスキルだ。
これで、どうだ・・・・!
自分の全集中力を乗せた斬撃がキリトに届く。だがしかし、手応えを感じると同時に、自分の体にも相手の攻撃が届いていた。
ソードスキルが終わり、数秒の膠着時間に入る。俺もキリトもその体制のまま止まり、その直後に二人の間に現れるウィナー表示。
そこに出たのは・・・・・・・・・
キリト、だった。
後書き
疾輝「あーあ、結局負けちゃったね」
レイト「書いたのお前だろうが。というか、さらっとここ再開してんじゃねぇよ」
疾輝「えー、別にいいじゃん。いつかは再開しようと思ってたんだし」
レイト「はいはい、で?これからはちゃんと定期更新できんのか?」
疾輝「・・・しばらくはね・・・」
レイト「はぁ・・・頼りないな」
疾輝「ま、これからもよろしくお願いします」
ページ上へ戻る