おぢばにおかえり

「ずっとその人と一緒にいたいから」
「じゃあその相手見付けなさいね」
「あの娘ならあの娘で」
「それならね」
「しっかりするのよ」
「色々言われるけれど」
　私は少しむっとして返しました。
「私はそう考えてるの」
「だからその考えはね」
「かなり古いわよ」
「明治？」
「かろうじて戦前？」
「明治でも戦前でもよ」
　私は眉を顰めさせたままでした。
「それでいいの」
「ううん、ちっちって」
「結構可愛いのにね」
「今まで彼氏いなかったのも納得ね」
「そんな考えだとね」
「？だって一生ものじゃない」
　私には皆の方がわかりませんでした、それで眉を顰めさせたまま皆に尋ね返しました。
「交際って」
「結婚までいって」
「それからもっていうのね」
「一生」
「そうでしょ、軽い気持ちで付き合うものじゃないから」
　この考えも言いました。
「一生よ」
「その発想がね」
「もうね」
　皆苦笑いです。
「ちっちっていうか」
「古いっていうかね」
「らしいけれど」
「ちょっと、ね」
「ちょっとも何も」
　私も自分で意固地になってると思いながら言いました。
「そういうものでしょ」
「交際はっていうのね」
「一生だって」
「そうよ、真剣によ」
　本当に一生です。
「そう思わない？」
「それ相手にもよるし」
「酷い奴だったらね」
「別れたいし」
「絶対いいことになりたいから」
「まあそういう人はね」
　私も言います。
「別にいいわ」
「相手は選ぶのね」
「つまりね」
「そこはなのね」
「当然じゃない、変な人だったろ」
　本当にそれこそです。
「後で大変なことになるから」
「じゃああの子はね」
「やっぱり、かもね」
「やっぱりって何よ」
　どうも映画村でのことは変なことになってしまいました、しかもこの時からです。私と阿波野君は妙に色々と顔を合わせることになりました。


第三十三話　　　完


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０１６・１・２０