Three Roses
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第九話 若過ぎる死その六
「これは結婚してからこそ出来るものだ」
「だからですね」
「ここは太子御自らですね」
「民達の中に入り親しまれ」
「そして支持を高めますか」
「そこからこの国の為になるものを見付ければ」
民達の中、そして彼等のいる市井や田園に入りというのだ。
「それを妃に話してだ」
「マイラ様のお考えとしてですね」
「政治に出され」
「それもまたマイラ様の人気を高める」
「それにつなげられますか」
「マリー王女も確かに民に人気があるが」
だがそれでもというのだ。
「しかしだ」
「それ以上の人気をですね」
「お妃様に備えて頂く」
「今からその為に動きますか」
「そうだ、そしてマリー王女の側近達だが」
彼等のことも話した。
「出来る限りだ」
「マリー王女から遠ざける」
「そうしていきますか」
「それが出来なければマリー王女自身をだ」
その彼女をというのだ。
「出来る限りな」
「この国に置かない」
「少なくとも王宮には」
「そうしたい」
こうも言うのだった。
「彼女をな」
「何とかですね」
「退ける」
「そうしますね」
「命を取ることは基本は流儀ではない」
太子はこうも言った。
「手段としてあることは確かだが」
「はい、ロートリンゲン家の流儀ではです」
「暗殺は最後です」
「それはしますが」
「最後ですね」
「その後で戦争だ」
これは最後の最後だというのだ。
「敗れるかも知れないがな」
「はい、そうです」
「戦争はリスクが大きいです」
「敗れる可能性は常にあります」
「そのことを考えますと」
「どうしてもですね」
「戦争はしないに限ります」
「まさにですね」
「そうだ、だから戦争は最後の最後でだ」
太子はさらに言った。
「暗殺もだ」
「最後ですね」
「それはあくまで」
「我々も何度かしていますが」
「毒にしても」
「私にしても命を奪うことはだ」
自分の考えもだ、太子は己の側近達に述べた。
「好きではない」
「だからですね」
「マリー王女もですね」
「暗殺は最後で」
「しかもそれが難しいなら」
「しないに限る、要はだ」
それこそという言葉だった。
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