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おぢばにおかえり

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第三十三話 明治の中でその五

「女の子に袴ってなくて」
「そういえば着物ではないわね」
「それに靴でしたから」
 足の決め手のそれもというのです。
「言うなら女の子が作業服とかガテンの服で歩いてる感じだったらしいですよ」
「そうなの」
「セーラー服とかも」
 女子学生のそれもというのです、天理高校はブレザーですが天理中学校はセーラー服です。私もセーラー服は好きです。
「あれも元々水兵さんの服ですし」
「それは私も知ってるわ」
「男装ですよね」
「言われてみればそうよね」
「水兵さん自体昔は罪人をそうしてたりしてましたから」
 水兵さんはそうだったというのです。
「人を無理矢理引っ張ってきたりとか」
「無理矢理?」
「イギリスとかじゃそうだったらしいんですよ」
 あのヨーロッパの島国のお話にもなりました。
「どんな人でも無理に連れて行って船でこき使って」
「どんな人でもって」
「体格のいい人だとぶん殴って気絶させたり飲み屋に連れて行って良い潰してから船に放り込んだり病人を拉致みたいにして」
「無茶苦茶ね」
「そうして水兵さんにしてたらしいですよ」
「そうだったの」
 私も聞いてびっくりでした。
「昔はそんなやり方で水兵さんにしてたのね」
「凄いですよね」
「水兵さんはそんな感じだったので」
「リアル犯罪者みたいな人も多かったみたいだし」
「そう聞くと」
 私はあのセーラー服についてこう思いました。
「囚人服みたいね」
「そう思えますよね」
「ええ、どうもね」
「ちなみに僕が今着ている詰襟も」
 その黒い制服もというのです、天理高校は女の子は濃紺のブレザーで男の子はオーソドックスな黒い詰襟の制服です。
「元は軍服なんですよね」
「そういえば」
 私も言われて気付きました。
「映画の軍服に似てるわね」
「こっちは陸軍なんですよ」
「あっ、そうね」
 色が黒だから気付きにくかったですが本当に言われてみればでした。
「映画で高倉健さんも着てた」
「帝国陸軍の軍服ですよ」
「そうよね」
「ブレザーもそうですよ」
 私が今着ているそれもというのです。
「元は軍服ですよ」
「そういえば自衛隊もね」
「ブレザーですよね」
「ええ、学校の制服は軍服からなのね」
「トレンチコートもフロックコートもですよ」
「軍服って結構色々な服の元になってるのね」
 私は自分の制服を見ながら思いました。
「ブレザーもなんて」
「凄いお話ですよね」
「ええ、今まで知らなかったわ」
「まあ僕は軍隊には興味ないですけれど」
「ちょっと天理教とはね」
 教えが、です。天理教のそれと軍隊といいますと。
「ぴんとこないわね」
「そうですよね」
「無関係って言ってもいい位よ」
「そこまで縁がないですよね」
「そうね」 
 阿波野君にもこう返します。 
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