Blue Rose
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第十九話 療養所その十一
「パソコンは」
「それはだね」
「はい、しています」
「そちらはだね」
「楽しんでますけれど」
それでもというのだ。
「テレビは観ていません」
「ううん、最近テレビ観る人が減ったね」
「僕は元々です」
「まあテレビのマスコミが一番悪質だしね」
岡島が言う悪質な者達の中でも特にというのだ。
「品も知性もないし」
「昔ドラマは観てましたけれど」
「そちらもだね」
「今はもう」
観ていないというのだ。
「面白い番組なくなって、ネットでアニメ位です」
「そんなものだね、実際僕も」
「岡島さんもですか」
「うん、野球とかスポーツもネットで観る様になったね」
そうした番組もというのだ。
「ほら、巨人の試合とか特にそうじゃない」
「あっ、巨人贔屓で」
「関東に行くと凄いんだ」
その巨人贔屓がだ。
「もう北朝鮮の放送みたいにね」
「そんなに酷いんですね」
「関東に出張して驚いたよ」
憎むべき球界いや日本ひいては全世界の癌である巨人を賛美する、これこそがマスコミのモラルである。
「あんまりにも酷くてね」
「そういうことがあってですか」
「うん、テレビよりもね」
「ネットなんですね」
「そっちの実況を観てるよ」
「そうなんですね」
「公平に観たいからね」
スポーツ観戦にしてもというのだ。
「だからなんだ」
「もうテレビは観られてないですか」
「そうだよ」
実際にというのだ。
「観ると頭が悪くなるとさえ思ってるよ」
「確かに時々おかしなこと言う人出ますね」
「むしろおかしな人ばかりだよ」
岡島が思うにだ。
「だからね」
「岡島さんはもうテレビはですか」
「殆ど観なくなったよ」
「そうですか、僕は面白くないので」
実際に観ていてだ。
「そうですが」
「とにかく君もテレビは観ないんだね」
「最近はもう」
「わかったよ、それじゃあね」
「観ないならですね」
「別にいいよ」
そこは優花の自由だというのだ。
「好きにしてね」
「わかりました」
「とにかくリラックスして過ごしてね」
ここにいる間はというのだ。
「ゆっくりと」
「絵も描いて」
「好きな絵を描いてね」
「そうさせてもらいます」
絵のことを言われるとだ、優花は自然と笑顔になった。そして実際に描き続けた。白く静かな世界の中で。
第十九話 完
2016・4・27
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