逢魔
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第五章
「事実な、それで話をしてみるとな」
「その一つ目小僧さんとですか」
「実際に」
「するとこれが大層明るく人懐っこくてじゃ」
そうした性格だったというのだ。
「わし等はすぐに打ち解けて話が出来てな」
「お友達になれた」
「そうなんですね」
「そうじゃ、そして二人で話をしていると向こうから言ってきた」
その一つ目小僧からというのだ。
「仲間を呼んでもっと楽しく賑やかにしないかとな」
「妖怪さんって賑やかなのが好きなんですか」
「そうだったんですね」
「よく人を驚かせるとか聞いてますけれど」
「うちの学園そうしたお話の怪談ばかりですけど」
「実は妖怪は皆陽気で宴会好きでな」
そしてというのだ。
「集まって毎日どんちゃん騒ぎをしたり遊んだりするのじゃ」
「運動会したりですか?」
「お墓とかで」
二人はついつい伝説的な漫画を思い出した。
「そうしたことしたり」
「それで遊んでるんですか」
「そうなのじゃ、それで毎日わしに家に来てくれてな」
「遊んだり宴会したり」
「そうしてるんですね」
「そうじゃ」
まさにというのだ。
「これが随分楽しくてのう、家でテレビゲームやネットゲームも皆でしておる」
「ですか、そうした遊びもするんですか」
「人間みたいに」
「遊びと食べものは人間と同じじゃ」
妖怪達にしてもというのだ。
「楽しくやっておるぞ」
「そうなんですね」
「実はそうなんですね」
「明るく楽しく」
「そうしてるんですか」
「そうじゃ、暫く寂しくてこのまま死ぬかと思っていたが」
それがというのだ。
「もう変わったわ」
「明るく楽しく」
「妖怪さん達と遊んで」
「そうなのじゃ、面白い話じゃろ」
笑いながらだ、源田は美稀と晴香に話した。
「これも」
「面白いっていうか信じられない?」
「まだどうにも」
二人はきょとんとしながら源田に答えた、見ればお茶も羊羹も手をつけていない。そこにその驚きが出ていた。
「妖怪が本当にいて」
「しかも楽しく遊んでるなんて」
「何かもう」
「狐に頬を摘まれてる気持ちです」
「その狐も来るぞ」
話に出た彼等もというのだ。
「勿論狸もな」
「それじゃあ童話ですね」
「そんな感じですね」
「そうじゃな、しかし信じられんのなら」
それならとだ、ここで源田は二人にこうも言った。
「今日も皆が来てくれるからな」
「私達もですか」
「一緒にですか」
「遊ぶか、ただわかってると思うが」
好々老爺そのものの顔でだ、源田は二人の少女に言った。
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