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魔女に乾杯!

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76部分:第七十五話


第七十五話

                  第七十五話  優しい兄
 春奈の兄夏雄は彼女にとって自慢の兄である。美男子で優しく、おまけに頭もいいしスポーツも万能である。彼女にとって非の打ち所のない兄である。
 だが人間というものは必ず何かしらの欠点があるものである。当然この夏雄にも欠点はあった。
「それ本当!?」
 華奈子達はそれを聞いて思わず耳を疑った。
「うん、凄いの」
 春奈は塾で困った顔をして華奈子達に語っていた。
「お兄ちゃん、物凄く甘いのが好きで。いっつもなのよ」
「よくそれで太らないわね」
「体質らしくて」
「糖尿病は?」
「それも体質らしくて。けれど毎日食べる量が凄いのよ」
「どれだけ?」
「御飯の後に絶対果物かお菓子食べて。その後も食べて。お茶やコーヒーにも角砂糖十個入れたりするのよ」
「十個」
「それはまた凄いわね」
 四人もそれを聞いて流石に呆れた。
「聞いてるだけで虫歯になりそう」
「本当」
「時には一ダース入れるのよ。クリームもドバって入れるし」
「うわあ、もうベタベタしてきた」
「それは確かに凄いわね」
「そうでしょ?それでお兄ちゃんクラスの女の子達にも引かれてるらしいのよ」
 春奈は困った顔をして述べた。
「妹として何とかしたいけれど。どうしたらいいかな」
「そうね」
 まずは梨花が考えた。
「徐々にお砂糖とかを少なくしていったらどうかな」
「けど入れるのはお兄ちゃんよ。ホットケーキだってシロップでビシャビシャにしちゃうし」
「聞いてて気分が悪くなりそう」
「私はもう慣れてきたけれど。このままじゃ」
「それじゃあ別の考えがあるわ」
「別の考え?」
「ええ」
 梨花はここでにこやかに答えた。どうやら策があるらしい。
「それは何なの」
「まずはね」
 梨花は春奈だけでなく他の四人にも語りはじめた。それが終わってから五人はにこりと笑って顔を見合わせた。
「それでどうかしら」
「いいと思うわ」
 料理上手の美樹がまず笑って返した。
「それじゃあそれで」
「料理とはちょっと言えないかも知れないけどね」
「あら、切ったり盛り付けたりしたらそれでもう立派な料理よ」
 美樹は笑って言った赤音にそう返した。
「サラダだってそうだし」
「言われてみればそうね」
「じゃあ明日春奈ちゃんのお家で」
「たまには魔法を使わずに女の子らしく」
「華奈子ちゃんには向いてないかも知れないけれど」
「放っといてよ」
 最後に華奈子の言葉が締めとなった。こうして五人は夏雄の甘党をなおすべく動きはじめたのであった。

第七十五話   完


                   2005・12・22

 
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