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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第八十話 午前の練習その十一

「知り合いにイギリスの娘がいるけれど」
「ああ、イギリス人烏賊食べないよね」
「蛸もね」
「それで日本に来て食べて美味しいって言うんだよね」
「食べるとは聞いてるからね」
「烏賊はね」
 本当にそれこそだ、日本では。
「皆普通に食べてるけれど」
「蛸もね」
 こちらもだ、特に関西だとたこ焼きで皆好き好んで食べている。神戸ではそのたこ焼きに加えて明石焼きもある。
「いいよね」
「北海道は蛸は特に名産じゃないけれど」
「食べるよね」
「普通にね」
「美味しいね、特にたこ焼き」
「それでもイギリスではね」
 あとドイツもだ、学園には欧州各国からの留学生も来ている。だからドイツから来ている子も結構いたりする。
「どうもね」
「獲れないらしいね」
「そうそう、そもそも」
「あとフランス人もね」
 イギリスのお隣のこの国もだ、美食の国というけれど。
「蛸はね」
「食べないのよね」
「そうだよね」
「あれ不思議よね」
 美沙さんは首を傾げさせて言った。
「フランス人が蛸とか烏賊食べないのは」
「烏賊は食べる地域があるかもだけれど」
「日本みたいにおおっぴらにはなのね」
「うん、食べないのはね」
「それは間違いないわね」
「フランス人もね」
 海の幸もかなり食べる人達だけれどだ。
「食べないものがあるってことだね」
「そうなのね」
「フォアグラとかは食べても」
「ああ、フォアグラね」
「食べたことある?フォアグラ」
「一度だけね」
 美沙さんは僕にこう答えた。
「あるわ」
「まあ美味しいよね」
「まあね」 
 一応という返事だった。
「美味しいけれど」
「それでもって感じだけれど」
「私的にはあん肝の方がいいわね」
 あんこう、魚のそれの方がというのだ。
「ずっと安いし」
「あん肝美味しいよね」
「義和はフォアグラ食べたことあるわよね」
「うん、あるよ。とはいっても」
「とはいっても?」
「何かうちの一族美味しいものを好きでも」 
 あの親父を含めてだ、親父は確かに美味しいものが好きだ。けれどそれでもだ。
「どういう訳かそうしたものはあまり食べないんだ」
「フォアグラとかも」
「キャビアとかトリュフもね」
「八条家ってお金持ちよね」
 美沙さんは僕の話に首を傾げさせて問い返した。 
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