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機動戦士ガンダム0091宇宙の念

作者:むらたく
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宇宙編
月決戦編
  第37話 白い悪魔

月面外周宙域ー
「3時02分か…」
黄土色の船体をから月を見下ろし、静かに呟いた。
このエンドラ級八番艦ロンドラは、型自体は旧式だが、現役のネオジオン製の巡洋艦だ。
行動を共にしているエンドラ級六番艦、ムンドラのこの二隻が、シャドウハウンド隊の母艦となっている。
「イ艦長、我が方の第二波が遅れているようだが?」
「連絡はない。恐らく敵の防衛隊に手間取っているのだろう。我々はここで待機していればいい」
無気力な顔をしたイ少佐を、メイソンは快く思ってはいなかった。
敵部隊を見事粉砕し、月面の補給基地を確保したシャドウハウンド率いる第一陣。
しかし多くの機体が被弾し、兵も疲弊している。
「こうしている内にも…敵部隊が迫っているかもしれんというのに…!」
「まぁ慌てるなメイソン少佐。たった今連絡が取れた。イリアの率いる艦隊がこちらへ向かっているそうだ」
「ふん…女が戦場にいてなんになる…」
踵を返してブリッジを降りようというその時、艦の索敵兵より声が上がった。
「センサーに感!高熱原体接近中‼︎数は推定4機‼︎」
「来たか…艦長!出撃の許可を」
「ふぅむ…迎撃の任を頼む」
待っていたとばかりにMSデッキに向かうメイソン。
「ドリー、モニカ!出撃だ‼︎」
二人はメイソンのザクIIIの随伴機を務めるガルスrのパイロットだ。
「いつも通りだ。ジャックの二番隊は後方援護!いいな!」
耳にタコができるほど聞いた確認だ。
それほどに俺たちは場数を踏んできている。
「ザクIII、メイソン・ローレンツ出るぞ」
カタパルトのロックが解除され、グリーンに信号が変わったの同時に灰色の機体が飛び立つ。
「こちらロンドラ。ミンドラと共に砲撃による支援を行う。味方に墜とされるなよ!」
「了解!」
右にロールしながらデブリを避け、それを蹴り上げた機体が真っ直ぐに加速する。
「敵は…見えた‼︎」
ほんの微かな光がモニターに煌めく。
「ドリー、モニカ。仕掛ける‼︎」
散開した機体が縫う様に駆け、敵機に迫る。
「墜ちろ‼︎」
右のフィンガーランチャーから射出されたマイクロミサイルが敵機に目掛け突っ込んでいく。
しかし敵機は目前でそれを避け、ライフルを前面に押し出した。
「速い⁉︎」
薄い光軸が機体を貫き、弾き飛ばした。
被弾した右腕をパージしたガルスが一旦距離をとる。
「隊長!奴らは新型の様です!」
モニターに揺れるunknownの文字。
「構うものか!」
機体を前進させ、奔る光軸を翻弄し距離を詰めるザクIII。
相対的に距離を置ろうと敵機に目掛け、ライフルから光弾を射出する。
「う、うわぁぁああ‼︎」
コックピットを貫き焼き払われた機体はゆっくりと溶解し一瞬で四肢を吹き飛ばし爆散した。
「ジェガンが‼︎あんな旧式に‼︎」
シールドから小型のミサイルが放たれるも、あっさりとビームライフルの光がそれをかき消した。
「落ち着け‼︎編隊を乱すな」
弧を描くように後方のズサに迫るジェガン。
「くっ‼︎」
コックピットにライフルを突きつけ、トリガーの指先に力を入れる。
「死ねぇ‼︎」
直後、圧縮された粒子が真空に出るより早くサーベルの刃がジェガンのコックピットを焼いた。
「あと二機‼︎」
まるで動きが鈍い敵機に止めを刺そうとしたそのとき。

一機のMSの反応をレーダーが捕捉した。
「⁉︎」
刹那、全身を貫く電流の様なプレッシャーが体を巡った。
「なんだ⁉︎」
咄嗟に機体を後退させた瞬間、メイソンは目の前を通り過ぎる極太のビーム光を見た。

モニカのガルスが爆散し、激しい揺れがコックピットを襲った。
「狙撃された⁉︎まさか‼︎」
この距離を狙撃したのか?
「ひとつ…」
白い機体に記された赤いAの文字。
それは紛れもないエースの証。 
 

 
後書き
次回に続きます。 
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