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魔女に乾杯!

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33部分:第三十二話


第三十二話

                 第三十ニ話   風の勉強
 信也を寝かした後で美樹の勉強ははじまる。まずは魔法の法衣に着替えて家の庭に出る。使い魔であるジュウシマツのビルガー、インコのファルケンも一緒である。二羽の名前は信也が名付けたものである。
「センスのない名前だよね」
「うん」
 二羽は自分達の名前を気に入ってはいなかった。だが主人の弟が名付けたから迂闊には言えない。彼女は弟のこととなるとむきになるからである。
「それじゃはじめるわよ」
「うん」
 二羽は美樹の側にいた。そして主の魔法を見守る。綺麗に風の魔法を出した。そして撃っていた。
「どうかしら」
「そうだねえ」
 主の魔法を見てビルガーが首を傾げさせた。
「もう少し速くてもいいんじゃないかな」
「速く」
「うん、風の魔法だろ」
 ビルガーは言った。
「だったらさ、もうちょっと速い方がいいと思うよ」
「そうかしら」
「いえ、それは違うわ」
 だがここでファルケンが反論した。
「確実に一発ずつ撃つべきよ。それはちゃんとしないと」
「けれどスピードも大事だぜ」
 ビルガーも引かなかった。
「御主人は撃つのはしっかりしてるからさ」
「そういう意味じゃなくてね。狙いなのよ」
「狙い!?」
 ビルガーではなく美樹がそれに尋ねてきた。
「ええ、はい」
 ファルケンは主に答えた。
「狙いです。確実にね」
「けれどビルガーは速さが大事だって言うわね」
「まああたしの考えはそうですけれどね」
 彼はそれに頷いた。
「御主人はどう思われますか?」
「そうねえ」
 美樹は考えながらそれに答えた。
「私はとりあえずは速さかな」
「ほら」
 ビルガーはそれを聞いてファルケンに得意な顔を見せた。
「見たろ、スピードだってな」
「けれど狙いも大事よね。ファルケンの言うことも一理あるわ」
「流石御主人」
 ファルケンはそれを聞いてビルガーに逆襲の笑みを返した。
「わかってらっしゃる」
「けれどどっちにするかは問題があるわね」
 彼女は考えていた。
「どっちも一理あるし。どうしようかしら」
「どうしようって言われても」
「あの竜巻で充分じゃないとしたら」
「考えるわよね」
「ええ」
 美樹と二羽はそう言って考え合っていた。だが結論は出なかった。あれこれやっているうちに時間だけが過ぎようとしていた。結論は容易に出そうにはなかった。


第三十ニ話   完


              2005・8・15



 
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