魔女に乾杯!
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
22部分:第二十一話
第二十一話
第二十一話 攻略開始
「あれね」
「ええ」
五人は魔女を見てヒソヒソと話をしている。
「あれをやればいける筈よ。わかったわね」
梨花が中心になり話をする。そして五人は赤音を扇の要として散った。
「また何かするつもりかしら」
「その通りよ」
赤音が魔女を見上げて答える。
「紫の魔女、覚悟しなさい」
「ええ、わかったわ」
魔女は悠然と微笑んで頷いた。
「私が勝つのをね。違うのかしら」
「そう言ってられるのも今のうちよ」
「そうそう」
華奈子の言葉に美樹が頷く。
「紫の魔女、今度こそやっつけてやるんだから。見てなさいよ」
「一体どうやって私を倒すつもりなのかわからないけれど」
魔女はまだ余裕のある態度であった。
「ゴーレムをやっつけることができるのかしら、貴女達に」
「ゴーレムをやっつける必要はないのよ」
「あら」
「貴女さえ何とかしたらね。行くわよ」
まずは美樹が攻撃を仕掛けてきた。風で魔女を襲う。
しかしそれは魔女が起こした風で相殺された。魔女は笛を奏でて風を作り出したのだ。
春奈の水も。シャボンもまた中和された。
「さっきのと変わらないじゃない。これで私を倒すつもりなの?」
「そうね。確かにこれじゃ貴女を倒せないわ」
「わかってるじゃない」
華奈子の言葉に応える。
「じゃあ大人しくやっつけられなさい。痛くはしないから」
「ところがね」
ここで赤音が笑った。
「私がいるのよ!」
「えっ!」
「えーーーーーい!」
赤音は光を放ってきた。それで魔女を狙う。
「皆、今よ!」
「うん」
他の四人もそれに合わせる。そして攻撃を一斉に放った。
「クッ!」
さしもの魔女もそれをかわすことはできなかった。光の魔法を受け笛を落してしまった。
「あっ!」
だが魔女はその笛を何とか受け取った。しかしその際バランスを崩し地面に落ちてしまった。
「やった!?」
五人はそれを見て勝ったかと思った。だがそう判断するにはまだ早かった。
魔女は地面すれすれのところで笛を手にした。そして笛を吹いて宙に浮いた。
「危ないところだったわ」
「何てしぶとい」
だがゴーレムの動きは止まった。そのまま人形になってしまったかのようであった。
「動かなくなっちゃったね」
「うん」
ゴーレムは術者の精神のコントロールで動く。それが一旦途切れるとそれで動かなくなってしまうのである。だからこそ扱いが難しいのだ。
「どうやらゴーレムはもう駄目みたいね」
それは魔女もわかっていた。
「今回も貴女達の勝ちみたいね、残念だけど」
「えっへん」
赤音が胸を張って威張る。
「どう、私の光の魔法は」
「大したものよ。どうやら今度は光の魔法も覚えなくちゃいけないみたいね」
「あら」
ヤブヘビだった。赤音はかえって傷口を広げてしまった。
「もう赤音ちゃんたら」
春奈がそれを聞いて困った顔をする。
「しっかりしてよ」
「御免なさい」
「けれどこの戦いは貴女達の勝ちよ」
「潔いじゃない」
「今度があるからね。それじゃ」
魔女はそう言い残すとそのまま何処かへと消えた。こうして五人と紫の魔女の戦いはまたしても五人の勝ちに終わった。しかしそれでも戦いは終わったわけではなかった。ライバルとはそういうものであるから。
第二十一話 完
2005・6・27
ページ上へ戻る