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英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)

作者:sorano
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第38話

その後ロイド達はジオフロントB区画のヨナがいた端末室の近くに到着した



~夜・ジオフロントB区画~



(この曲は……)

部屋から流れて来る曲を聞いたロイドは驚いた後仲間達と共に部屋の前まで移動した。

(ヨナ君の部屋にかかっていた導力ステレオの曲……?)

(なんだ……?故障でもしてんのか。)

(何だか異音が混じっているよな……?)

曲を聞いたエリィは考え込み、ランディは目を細め、リィンは不思議そうな表情をした。

(罠かもしれん……念のため慎重に踏み込むぞ。バニングス、オルランド。まずは3人がかりで突入する。他の4人は後ろからフォローしつつ入って来い。)

(了解です。)

(アイサー。)

(承知しました!)

ダドリーの指示にロイドランディ、ノエルは頷いた後、それぞれの配置につき、中を伺ったダドリーが勢いよく扉を開けて入るとロイドとランディが部屋の中に飛び込んだ。



「誰もいない……」

部屋の中を見回したロイドは呟き

「隠れてる気配もねぇな……」

ランディは目を細めて呟き

「……逃げられたか。しかしここに来るまでの間、誰ともすれ違わなかったが……」

ダドリーは溜息を吐いた後考え込んだ。するとその時エリィ達が部屋に入って来た。

「に、逃げられたの?」

「ああ、どうやらそうらしい。この音楽は……そっちの装置みたいだな。」

「さすがにうるさいな……停止させられるか?」

「ああ……こいつがスイッチだな。」

ダドリーの言葉に頷いたランディはステレオのスイッチを押して、停止させた。

「何だか不気味ですね……」

「そ、そうね……音楽が鳴っていたのも不自然だし……」

「一体何の為に鳴らしていたんだ……?」

ノエルが呟いた言葉を聞いたエリィは不安そうな表情をし、リィンは考え込み

「フム、そこはかとなく悪意を感じるけど……とりあえず、奥のモニターに映っているのはなんだい?」

ワジは考え込んだ後端末のモニターに映っている画面を見て言った。

「図面……こ、これは……!」

画面に映っている図面を見たロイドは仲間達と共に端末に近づいて図面を見ると驚き

「こ、これって……まさかオルキスタワーの!?」

エリィは信じられない表情で呟き

「タワー内部の構成図が記されたデータみたいですけど……」

「クッ、どうしてそんなものがこんな場所に―――」

ノエルは真剣な表情で図面を見つめ、ダドリーは唇を噛みしめた。すると部屋中に警告音が鳴った!



「!?」

警告音を聞いたロイドは驚き

「しまった……!」

「まさか……!」

ワジとリィンが表情を厳しくして声を上げると背後の扉が勝手に閉まった!

「っ!」

「チッ、罠か!?」

そしてノエルとワジは走って扉に近づいて扉を調べた。

「だ、駄目です!ビクとも開きません!」

「どうやら導力的な機関でロックされたみたいだね。」

扉を調べたノエルとワジが報告をしたその時!

「アハハ!」

部屋中に聞き覚えのない笑い声が聞こえた!

「今のは……!」

「おい、誰だ……!?」

「ウフフ……初めまして、支援課の諸君。予想通り君達が遊びに来てくれたみたいだね。お近づきの印に置き土産を置いていくから愉しんでくれると嬉しいな♪」

「なっ……」

「クッ、端末から喋ってるのか?」

声を聞いたロイドとダドリーが驚いたその時、画面は変わった。

「こ、これは……」

「ロバーツ主任から渡された対戦パズルゲーム……!?」

画面を見たノエルとエリィが驚いたその時

「3本勝負で2本取ったら君達を解放してあげるよ。ただし、負けちゃった場合は丸焦げになってもらおうかな?」

「なに……!?」

声が聞こえ、声を聞いたロイドが表情を厳しくしたその時、周囲から炎が上がりはじめた!



「な……!」

「馬鹿な……!仕掛けの気配は無かったぞ!?」

「ウフフ、それじゃあ始めるとしようか。あまり時間はない……急がないと死んじゃうよ?」

「貴様……!」

声を聞いたダドリーは端末を睨み

「ロイド!とにかくやるしかない!」

「クッ……わかった!」

ワジの言葉にロイドは唇を噛みしめた後端末で対戦パズルゲームをし、1戦目に勝利した。

「よしっ!」

「ロイド、凄い!」

「やるじゃねえか!」

勝利を確認したロイドは頷き、エリィとランディは明るい表情で勝利を称えた。

「うーん。手を抜きすぎたかな?それじゃあ次は本気を―――」

そして声が考え込んだ後話を続けようとしたその時!

「―――いい加減にしてください。」

「!?」

ロイド達にとって聞き覚えのある少女の声が聞こえ、声を聞いた謎の声は驚き

「あ……!」

「この声は……!」

エリィとロイドも驚いた。

「ここから先はわたしがお相手します。―――覚悟してください。」

するとゲームは進み、ほぼ一瞬で相手に勝利した!

「や、やった……!」

それを見たロイドは明るい表情をし

「くっ……そろそろヤベエぞ!?」

ランディは周囲の状況を見て表情を厳しくした。

「ウフフ、お見事。一応、お仲間みたいだし約束どおり出してあげるよ。―――それじゃあ、またね♪」

そして声が聞こえた後背後の扉が開いた!

「開いた……!」

「急げ、爆発するぞ!」

「はいっ!」

それを見たロイド達は走って扉の外をで

「伏せろっ!」

部屋を出たダドリーの警告を聞いたロイド達全員はその場で伏せると、部屋中が爆発した!



「はあはあ……」

「ったく、危機一髪だな……」

「し、死ぬかと思いました……」

「ああ……本当に危なかった……」

爆発が収まるとロイドとランディ、ノエルとリィンは安堵の溜息を吐き

「クッ……一体何者だ………!?」

ダドリーは唇を噛みしめた。すると

「―――よかった。ご無事みたいですね。」

なんとティオがロイド達に近づいてきた!

「ティオ!」

「や、やっぱりティオちゃんだったの!」

「おいおい!一体どうなってんだ!?」

「なっ……!つ、翼……!?……(っと、そうか……確かリウイ陛下からもらった支援課のメンバーの資料にあったな……………彼女が”教団”の”儀式”によって翼を……)」

ティオを見たロイド、エリィ、ランディは嬉しそうな表情で声を上げ、リィンはティオの背中にある漆黒の翼を見て驚いた後すぐに察した。

「――実は今日の午後、クロスベル行きの国際定期船に乗ったんです。色々、大変そうだったので何とか帰国を早めてもらいました。」

「そうだったのか……」

「ハハ……まさにドンピシャじゃねえか。」

「じゃあ、課長さんから話を聞いてここに来たんだ?」

「ええ、エニグマで連絡したらこちらに向かったと聞いたので。それで空港から直接来ました。」

「ふふ……本当に助かっちゃったわ。」

「ありがとう、ティオちゃん!」

「ハハ……まさか初対面時に助けられるなんてな。……ありがとう。」

「いえ、間に合ってよかったです。……それとリィンさん、これからは同じ支援課の仲間としてよろしくお願いします。…………それにしても厄介な相手だったみたいですね。何とか割り込みをかけて撃退することができましたが……」

「割り込みって―――ああ、それか。」

ティオの話を聞いたロイドは出入口の近くに置かれてある端末に気付いた。

「ええ、ロイドさんたちが閉じ込められたとわかったので予備回線から介入しました。どうやら相当な腕前のハッカーだったようですね。」

「ああ、そうみたいだな。」

「フン、どうやらとっくに離脱されてしまったようだが……そういえば、プラトー。一人でジオフロントをここまで追ってきたのか?」

「あ、いえ。……ラグタスと共に追うつもりだったのですが、”あの人”とたまたま居合わせたのでここまで同行してもらいました。」

そしてダドリーの質問にティオが答え

「へ……」

ティオの答えを聞いたロイドが呆けたその時!



「―――とんだ場面に居合わせたようだな。」

なんと銀が出入口から現れた!

「あんたは……!」

「あ、あの時の……!」

「”(イン)”……!」

「……取り逃がしたか。どこのネズミか知らんが相当、抜け目がないようだな。」

「ちょ、ちょっと待ってくれ!ここにいたハッカーは”黒月”の関係者なのか!?」

銀が呟いた言葉を聞いたロイドは驚いた後尋ねた。

「いや、縁もゆかりも無い者だ。おそらく”赤い星座”とも関係があるわけではないだろう。」

「なに……!?」

「なんでアンタにそんなことがわかるってんだ?」

銀の推測を聞いたロイドは驚き、ランディは目を細めて尋ねた。

「フフ、”黒月”と”赤い星座”、”ラギール商会”は既にそれぞれ監視体制に入っている。少なくとも、そのハッカーとやらはそれぞれに属していないはずだ。―――どうやら通商会議に何か思惑がある者のようだが。」

「……!」

「端末に残っていたオルキスタワーの図面……」

「なるほど……まさに明日の会議の場所だね。」

銀の話を聞いたロイドは表情を厳しくし、エリィは呟き、ワジは納得した様子で頷いた。

「………………―――会うのはこれが初めてか。クロスベル警察、捜査一課、アレックス・ダドリーだ。」

一方ダドリーは考え込んだ後名乗った。

「フフ……噂はかねがね。通商会議の警備と新たな上層部となった”六銃士”達には色々苦労しているようだな?」

「フン、どこぞの組織を始め、怪しげな連中が跋扈しているのでな。それと局長達には手を焼かされるが、前局長達と比べれば天と地の差だ。どうやらこちらの知らない動きに色々と通じているようだし……ここは一つ、警察までご同行願って話を聞かせてもらおうか?」

銀に尋ねられたダドリーは鼻を鳴らして答えた後武器を構えて銀を睨んだ。

「ダドリーさん……」

「おいおい……マジかよ?」

ダドリーの言葉を聞いたロイドとランディは驚き

「フフ、何の容疑で?クロスベルの刑事法に接触した覚えは無いのだが。」

銀は静かな笑みを浮かべて尋ねた。



「なに、任意の事情聴衆だ。後ろめでたい事がないならぜひ来ていただこうか―――!」

そしてダドリーが銀に向かって突撃したその時、銀の姿は消え、銀がいた場所には符が残っていた!

「フン……」

銀が消えた事にダドリーは鼻を鳴らし

「……いつの間に。」

「へえ、符術を使った分け身ってやつか。」

「………さすがは”東方の魔人”と恐れられているだけはあるな……」

ティオとワジは驚き、リィンは真剣な表情で呟いた。

「フフ……今宵はこれでさらばだ。また近いうちに会えそうな気もするがな。」

そして銀の声が聞こえた後、銀の気配は完全に消えた。

「……ロイドさん。付近をサーチしますか?」

「いや……その必要はないだろう。とりあえず支援課に戻って話し合う必要がありそうですね。」

「ああ……不本意だが仕方あるまい。」

その後ロイド達は支援課のビルに戻って行った…………… 
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