| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

魔女に乾杯!

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

16部分:第十五話


第十五話

                 第十五話  頂上へ
 華奈子達はそのまま歩いていった。春奈をフォローしながら上へ上へと進んでいく。
「もうちょっとだからね」
 華奈子が春奈を励ます。
「だから頑張ろうね、春奈ちゃん」
「うん」
 春奈は微笑んで頷く。汗をタオルで拭く。
「もう少しなんだね」
「そうだよ、もう少し」
 また励ます。
「だから歩こう。歩けばそれだけ頂上に近づけるよ」
「そうだね」
「頂上に行ったらいいことがあるからね」
 美樹も言う。
「いいこと!?」
 春奈は美樹に尋ねた。
「そうよ、お弁当。私が今日の為に頑張って作ったお弁当があるのよ」
「美樹ちゃんの!?」
 春奈だけではなかった。華奈子達もそれを聞いて目を輝かせた。美樹は学校で一番の料理の名人と言われているのだ。その腕は家庭科の先生よりも上であった。
「うん。それもサンドイッチ」
「サンドイッチ」
 聞いただけで涎が出そうであった。
「そうよ。ハムサンドにタマゴサンド、カツサンドにハンバーグサンドもあるわよ。あと野菜サンドも」
「凄い・・・・・・」
「そんなに」
「豪勢ね」
「だから言ったじゃない。腕を振るったって。早く食べたいでしょ」
「勿論」
 四人は美樹にかぶりつくようにして頷いた。
「ここじゃ駄目よね」
「華奈子ちゃん」
 美樹は本当に涎を垂らす華奈子に対して呆れた声を向けた。
「駄目に決まってるでしょ。全部頂上で」
「そうなの」
 それを聞いて少しガッカリしたような顔になった。
「けれど頂上に行ったら絶対にあるから。頑張ろうよ」
「そうね」
 赤音が頷く。
「こけてもね。それにくじけず行きましょ」
「こけるのは赤音ちゃんだけよ」
「大丈夫だって・・・・・・あっ」
 言っている傍から転んでこけてしまった。
「あたたたたたた・・・・・・」
「言わんこっちゃない」
 それを見て他の四人は呆れてしまっていた。けれどそれで春奈はさらにリラックスできた。華奈子の励ましの言葉、美樹のサンドイッチ、そして今の赤音を見て心も元気さを取り戻したのだ。
「じゃあ行こうか」
「うん!」
 最後に梨花が声をかけて皆頷く。そして頂上へ向けて最後の足を進めた。
 遂に頂上が手に届くところまで辿り着いた。そして五人はそこに足を踏み入れたのであった。

第十五話   完


                 2005・6・10

 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧