八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第七十八話 赤い海と紫の道その十四
「こうして飲んでね」
「一気に飲んだね」
「美味しいからね」
そのお酒がというのだ。
「こうして飲んでるよ」
「そうだね、確かにここのお酒美味しいよね」
「広島ってお酒有名だけれどね」
その地酒がだ。
「このホテルのお酒はまた別格だよね」
「けれどその前に中西君って」
「僕って?」
「うん、日本酒好きだよね」
「そうだね、お酒の中ではね」
中西君自身こう僕に答えた。
「日本酒が一番飲みやすいね」
「それでなんだね」
「うん、こうしてね」
「ここでもなんだね」
「日本酒飲むよ」
それも楽しくというのだ。
「好きなだけね」
「おい、酔い潰れるなよ」
「飲んでもいいけれどな」
宮脇君と中島君はその中西君に心配する顔で言った。
「明日も練習あるしな」
「朝も走るぞ」
「だからな」
「二日酔いにはなるなよ」
「うん、わかってるよ」
こう言うけれどだ、それでもだった。
中西君はどんどん飲んでいく、何か僕も観ていて心配になってきた。
そしてあっという間に一升空けてだ、こう言ったのだった。
「これで止めるよ」
「ああ、そうしろ」
「一升完全に空けたぞ」
宮脇君と中島君はまた中西君に言った。
「だからもうな」
「今日は飲むなよ」
「そうするよ、じゃあ少しお風呂に入ろうかな」
「今すぐは止めた方がいいよ」
僕は立ち上がろうとした中西君を止めた。
「サウナは特にね」
「お酒飲んでるからだね」
「それもかなりね」
「じゃあ時間置いて」
「お水を飲んで」
そうしてとだ、僕は中西君にこうも言った。
「それからね」
「お風呂に入るべきだね」
「お酒飲んですぐの入浴は」
「危ないから」
冗談抜きで命に関わりかねないからだ。
「だからね」
「じゃあちょっと飲むよ」
「お水をね」
「それで落ち着いてからお風呂に入るよ」
「サウナは駄目だよ」
くれぐれもとだ、僕は中西君にまたこのことを話した。
「何としてもね」
「それじゃあね」
中西君も頷いてくれた、そしてだった。
中西君はお水を飲みはじめた、それからだった。
僕はあらためて合唱部と軽音楽部の飲み比べを見守った。まだ時間になっていないけれど勝負はそろそろ終わりそうだった。
それでだ、六十分経ってだった。
「これまで」
審判役の人が応えてだった、それから。
双方飲むのを止めて判定を待った、判定は。
「ああ、軽音楽部か」
「あっちが勝ったな」
「あそこは伝統だからな」
「酒についてもな」
皆納得していた、その判定に。
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