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戦姫絶唱シンフォギア~海神の槍~

作者:紡ぐ風
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EPISODE7.正義とは誰にとって正しき義なのか

『キョウヤ君、ネフシュタンの鎧の反応が出た!至急、響君と共に向かってくれ。』
「はいよ。今すぐ向かいまぁす。」
キョウヤは響と共に公園に向かった。

「さて、そろそろあいつ等がやって来るはずだ。」
鎧の少女はそう言いながら移動している。
「響ちゃん、見つけたぞ!ほら!」
キョウヤは跳びながら移動をしている鎧の少女を発見する。そして、
「やって来たか!」
鎧の少女は無防備なキョウヤ達にNIRVANA GEDONを放つ。しかし、
「響~、どこ行っていたのぉ?」
響の友達である小日向未来がやって来る。
「未来ッ!危ない!」
響は歌おうとする。しかし、
(ダメだ!今歌えば、未来にバレる。)
そう考えてしまい、思い止まってしまう。
「-♪I have needful Trident to now-」
動けない響を前にキョウヤはシンフォギアを纏い鎧の少女に向かって行く。
「未来、大丈夫!?」
「響、私は大丈夫だよ。それよりも─」
未来が指を指す先には鎧の少女にスターダストモノケロスを放つキョウヤがいた。
「未来は先に逃げて。私も後から合流するから。」
「無理だよ。私、響を一人になんて出来ないよ!」
響は、使命感と友人の言葉との間で葛藤していた。

「今回はあのガキじゃなくてあんたがターゲットだ!気にせず戦えるってもんだ!」
鎧の少女はネフシュタンに装備されている鞭でキョウヤを圧倒する。
「俺や響ちゃんを捕まえて、何が目的だ!」
「あんたには関係ねえ!私はフィーネの言うことに従うだけだ!」
「フィーネだと!」
「それがどうした!」
鎧の少女が伸ばした鞭をキョウヤはミスティセクタムで弾こうとするが絡め取られ、鎧の少女は引っ張るが、それに合わせてキョウヤは反動を利用して下腹に蹴りを決めて鎧の少女を怯ませる。
「やるじゃねえか!」
鎧の少女はNIRVANA GEDONを二発放つ。一つはキョウヤへ、もう一つは響に向けて。
「くっ、ありぁひとたまりもない!」
キョウヤはスクラッチコロカロで相殺するが、響に向かう攻撃は響に近づく。
「響ぃッ!」
近くで隠れて見ていた未来は響を心配する。
「未来が近くに居るけど、仕方ない!-♪Balwisyall nescell Gungnir tron-」
響は自分を、そして未来を護る為にシンフォギアを纏う。その衝撃で攻撃を相殺する。
「響、それって一体何!?」
未来は驚く。
「ゴメンね、未来。話せるようになったら話そうと思っていたけど、話せなくてゴメン!でも今は、すぐ逃げて!」
「う、うん!」
未来は戸惑いながら逃げて行く。
「私は、あなたと戦う気はない!私は立花響!私立リディアン音楽院に通う15歳!誕生日は9月の13日で、身長は、この間の測定で157センチ!体重は、もう少し仲良くなったら教えてあげる!趣味は人助けで、好きなものはご飯&ご飯!」
響は、鎧の少女に唐突な自己紹介をした。
「は?こいついきなり何言っているんだ?」
鎧の少女は突然の事に唖然とする。
「ねえ、私達は人間なんだよ!話しあえるんだよ!話そうよ!そうすれば─」
「そんな方に意味はねえ!あんた等は戦いの火種をばらまく!だから私はそれを潰す!ただそれだけだ!」
響の力説を鎧の少女は否定する。
「それから、私の名前は雪音クリス!覚えておけ!」
鎧の少女はクリスと名乗る。
「今日の所はこの位で引いてやる!」
クリスはソロモンの杖から大量のノイズを召喚し、去って行く。
「あいつッ!」
クリスが逃げた後の森林地帯で、キョウヤと響は召喚されたノイズを撃破し、リディアンに戻る。

「未来になんて話そう……」
響は自室に向かいながらそう呟き、
「ただいま。」
響は未来と一緒の学生寮に入る。
「お帰りなさい。」
響の挨拶に未来は冷たく返す。
「ゴメン─前、座っていい?」
「いいんじゃない。響の部屋でもあるんだし。」
「……未来、あのねッ!」
「今更何。私、あの人達から全部聞かせてもらったわ。──嘘つき。私に隠し事をしないでって言った時、隠し事なんてしないって言ったのに!」
「それはッ!」
「話しかけて来ないで!私、響を信用出来ない!」
未来は一人、ベッドに入ってしまう。
「ちょっと、外の空気吸って来る。」
響はそう言って外に出る。そして、泣きながら走って行く。
「ごめんなさい、私が、私が私自身で、自分のひだまりを壊したんだ!」
響は泣きながら二課に入る。
「その様子だと、友達から拒絶されたんだな。」
響は入ってそうそう、キョウヤにそう言われた。
「……なんで、解るんですか─」
「そういう顔をしているからだ。俺は最初に、人助けと救済は違うって言った筈だ。」
「……はい。」
「あれをどういう意味だと思った?」
「シンフォギアの力を使うなら、覚悟を決めろって意味だと思いました。」
「それじゃあ0点だ。あれはな、シンフォギアの力は神では無い。助けられない人や命、救えない心もある。人助けは出来ても、人を救う事は出来ないって意味だ。」
「そんな──」
「俺は最初に、ここに連れて来られる時にまるで危険人物であるかのように扱われた。理由は一つ。ここの中にある救済処置に文句を言ったからだ。」
「えっ!?」
「予想外だろ。」
「はい。」
「俺は、この世界のシンフォギアの力は人を救う為にあると聞いていた。だが実際はそんなことは全然なかった。だから怒ったんだ。」
キョウヤは、地球に来てから今日までの事を話す。
「─解ったかな響ちゃん、シンフォギアは人の命は守れる。でも、それ以上の事は出来ないんだ。」
「少し、考えさせてもらえませんか?」
「自由にしろ。これは俺が考える事じゃない。」
キョウヤは、あえて響を突き放し、響は自分の部屋に戻る。
「キョウヤ、あれで良かったの?」
「聞いていたのか、美冷。」
「うん。確かに、キョウヤの言うとおり危なっかしいね。」
「だろう。まあ、だからこそ話し甲斐があるんだけど。」
「ほどほどにね。」
「解っているよ。ところで美冷、正義って何だ?」
「またその質問?そんなの、みんなバラバラだから答えられないよ。」
「解っている。だから美冷の正義を聞きたいんだ。」
「私は、キョウヤの信じる道を明確にする。それが私の正義で、私の大義。」
「そうか。美冷、今から天羽々斬の装者の所に行くぞ。」
キョウヤは美冷の手を引っ張って動く。
「翼さん、だっけ?」
「ああ。あいつに興味を持ってな。」
「解った。一緒に行くよ。」
二人は、翼の入院している病院に向かった。

「風鳴翼、入っても大丈夫か?」
キョウヤは扉の外から話しかける。
「何の用だ。」
「お前に合わせたい人が居る。」
「緒川さんから話は聞いている。お前の婚約者だろう。」
「そうだ。話すだけならいいだろう。俺も、お前に話したい事があるんだ。」
「そうか。今は緒川さんもいる。入って大丈夫だ。」
「失礼するよ。」
キョウヤと美冷は翼の病室に入って行く。
「そこに居るのが、お前の婚約者で、青龍偃月刀の装者か?」
「はじめまして、かな?鈴 美冷です。キョウヤからは話を聞いています。キョウヤが御迷惑をお掛けしました!」
美冷は深々と頭を下げる。
「どうした、急に!」
翼は突然の事で驚く。
「話では、翼さんの考えを否定して侮辱した挙げ句、戦闘訓練で一方的な攻撃で傷つけたなんて!本当はキョウヤに謝らせたいけど、今キョウヤに謝らせてもいい結果になりません。ですから、今は私が代わりに謝らせて下さい。」
美冷は再び頭を下げる。
「そんな、私も困る。」
「美冷さん、そんなに思いつめないで下さい。本当は、別の用事があったのでしょう。」
そんな美冷に緒川は落ち着かせる。
「はい。キョウヤが、翼さんにお話があるみたいで。」
「私に?なんの話だ?」
「風鳴翼、お前の中の正義ってなんだ?言っておくが、一般倫理における正義の事は話に出さないでくれ。俺は人間、風鳴翼の中にある正義を知りたいんだ。」
「私の正義……私は、自分というものを考えた事なんてなかったな。私は、常に風鳴家の顔を汚さないように自分を殺して防人として戦い、生きて来た。だから、自分というものが解らないんだ。」
「果たして、本当にそうかなぁ。」
「どういう意味だ。」
「今更だと思うが、お前の歌、暖かかったぞ。心を捨てた歌とは、思えなかったぜ。」
「本当か?」
「多分、キョウヤさんは本心から言っていると思いますよ。僕も、キョウヤさんの意見には賛成です。もし心を捨てていたら、歌なんて歌えませんよ。」
キョウヤの言葉に戸惑う翼に、緒川はアドバイスをした。
「そうですか。私の正義、それをこれから見つけ出すのも、歌に繋がるのかもな。」
「それと、衣服くらいは自分でなんとかしろよ。異性に自分の下着を触られて平気なのか?俺だって、自分の明日履くパンツを誰かに触られるのは死んでもお断りってもんだ。」
「そ……それは─///」
キョウヤにそんなことを言われ、翼は顔を赤くする。
「キョウヤ、翼さんをからかい過ぎ!」
「ご~めん~なさ~い。」
キョウヤは美冷に怒られる。その様子を見て、翼は少し口が笑った。

その頃─
「クリス、なんであの戦況で逃げたの?」
「それはっ!?」
クリスは、際どい下着を着けた状態で謎の装置にくくりつけられていた。
「あなたに、私の愛は届いていないの?」
全裸にハイソックスとハイヒールという奇抜な衣装の女性、フィーネはそう言い、装置を起動させる。すると、高圧電流がクリスを襲う。
「ぅあああああ!」
クリスは悲鳴あげる。
「いい、クリス?あいつ等は今日、完全聖遺物のデュランダルを運ぶわ。それを襲撃して奪いなさい。」
「解ったよ、フィーネ。」
クリスは、そう呟いた。


戦姫絶唱シンフォギア~海神の槍~
つづく 
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