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魔法少女まどか☆マギカ ラタトスクの騎士

作者:如月ユウ
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3話 二つの記憶

 
前書き
マルタとの旅を思い出したエミルは戸惑いを隠せなかった
テネブラエの提案で一緒に自分の家に向かうことにした 

 
家に帰宅して部屋にいる。
両親は共働きで家を空けているので一人暮らしをしているといってもいい。

「テネブラエ」

「なんでしょうか?」

「僕の記憶には確かにマルタ、リヒターさん、ロイド…他の仲間と一緒に旅をした記憶がある。けどここで過ごした記憶もあるんだ」

「おそらくこの世界に来た瞬間、記憶喪失をしたのでしょう。しかし私に触れたことによって思い出したのですよ」

エミルは混乱している。
両親がいて家族と過ごした記憶があって、まどか達と過ごした記憶がある。
しかしマルタ達と一緒に旅をした記憶もある。

「エミル様、とりあえずこういう事にしましょう。エミル様は転生によってこの世界に産まれて、我々の世界の記憶を引き継いている。そういうことにすれば辻褄が合うと思います。」

「転生?」

「はい。前世の記憶を覚えたまま転生して産まれるという事例も少なくありません」

混乱しているエミルを気遣うようにテネブラエは話す。

「しかしこの世界はすごいですね。メルトキオよりも発達していて、レアバードよりも大きな乗り物が沢山飛んでいたり」

「そっか…僕達の世界からみればこの世界は異常に発展してるんだった」

「しかし森が少なく空気は汚い。しかも戦争は未だに続いている」

「自分のために他人を傷付けることはこの世界も変わらないんだね…」

「どの世界でも争うことは変わらないことですね」

「うん…」

テネブラエのお陰でなんとか落ち着いたがこれからどうすればいいかわからなかった。

「聞きたいことがあるけどいいかな?」

「もちろんかまいません」

「ラタトスク…もう一人の僕はどうなったの?」

「リヒターを解放させたあとはラタトスク様がギンヌンガ・ガップでニブルヘイムに続く扉を護っております。しかしラタトスク様のもう一人の人格、エミル様がこの世界に飲み込まれてラタトスク様の力がなくなりました。」

「なくなった!?」

「ご安心ください。なくなったといっても半分です。つまりエミル様の体内にラタトスク様の力が眠っておられるのです。」

「僕のなかにもう一人の僕が…」

エミルは自分の身体に触れる。

「再び契約することによってラタトスク様の力がよみがえります」

「契約しないといけないの?」

「私はそう望みます」

エミルは考える。
もし契約をすれば今までの生活が出来なくなるかもしれない。

「少し考える時間がほしい。いいかな?」

「もちろんです。記憶を思い出して戸惑うことが多いでしょう。私はいつまでもお待ちしてます」

「そういえばテネブラエがここにいて大丈夫なの?センチュリオンがいないと災害が起きるんじゃないの?」

「ラタトスク様が代わりのセンチュリオン・コアを精製して代用しています。私程の力はありませんが災害を防ぐ程度の力はあります。」

「それにラタトスク様がエミル様を探してほしいと私に頼んだのです」

「もう一人の僕が?」

「はい。ラタトスク様が私にエミル様の捜索を命じたのです。まあ…アクアとの喧嘩が嫌気をさして私を追い出したと私は思っています。」

「二人とも仲悪いからね。」

苦笑いをする。
テネブラエと会話をしていると心が軽くなった。

「これからどうするのです?」

「明日も学校があるからもう休むよ」

「エミル様が学校に通っているとは…」

「旅していたときは通う余裕なかったし、あのときはリフィルさんに勉強を教えてもったらけど…」

「なかなかのスパルタでしたね…」

旅していた途中リフィル達と一緒に旅をしてるときもあり勉強を教わるときもあった。
しかしスパルタ式の勉強だったので肉体と精神共々疲れた。

「今、通っている学校は優しい先生だから大丈夫だよ」

「リフィルさんがこの世界で教師になったら…」

「歴史の授業が大変だね…」

遺跡を見ると『遺跡モード』に豹変し、ときには暴力を振るうこともある。
もしこの世界で教師になったら大変なことになるだろう。

「今日はもう休むから」

「わかりました」

日本語の勉強をする時間だが今は勉強する気分じゃない。
明日に備えて寝ることにする。

「テネブラエは明日どうするの?」

「エミル様について行きますよ?」

「見つかったら不味いんじゃないかな」

「見つかればの話です。ちゃんと姿を消しますよ」

「わかった。おやすみテネブラエ」

「はい、おやすみなさいませ」

エミルはベットにはいって眠りついた。







昼休み
まどかとさやかはエミルと一緒に昼食をとっていた。

「二人は願いこと決まったの?」

「ううん全然、さやかちゃんはどう?」

「私もかな~、いくらでも思いつくかと思ったんだけど…あたし達が馬鹿だからじゃないからかな」

「ば、馬鹿って…」

「だって命をかけてでも願いたい人って沢山いると思うよ?」

食べ終わったお弁当を仕舞ってフェンスに手を触れる。

「それが見付からないあたし達はそれぐらいの不幸しか知らないんだよ」

フェンスを握るように力を込めるとカシャンと音が響く。

「なんであたし達なんだろうね…不公平だと思わない?こういうチャンスって本当に欲しい人に与えられるものだよね?」

「どうして美樹さん達だけ魔法少女の素質があるのか僕には分からない。だけど、チャンスっては形がどうであれ平等だと思うんだ」

「平等?」

エミルの言葉でフェンスから手を離す。

「チャンスがあったとしても自分から手を出さないとそれを掴むことが出来ないと僕は思う」

「自分から…」

下へと続く階段から誰かが来た。

「何?昨日の続き?」

まどかを守るようにさやかが前に出る。

「いいえ、そのつもりはないわ」

「鹿目まどかと接触する前にけりをつけたかったけれど…今更それも手遅れだし。貴方も魔法少女になるつもり?」

ほむらは睨む。

「それは…」

「僕からしては二人には魔法少女にはなってないかな」

エミルの言葉にほむらは少し驚いた表情をする。

「願いを叶えたとしてもそれから戦い続けないといけない。それって大変なことだと思うんだ」

戦いがどれだけ悲しいことなのはエミル自身一番知っている。
まどかとさやかには戦いを知らないで普通に暮らしてほしいとエミルは思った。

「そう…」

教室に戻ろうと屋上から離れようとする。

「ほむらちゃん!ほむらちゃんはどんな願い事 をして魔法少女になったの?」

ほむらはなにも言わず階段を降りた。

















放課後になるとまどかとさやかは魔法少女見学コースに参加するのでマミと一緒に学校を出るようだ。

「エミル様はどうするのです?」

姿を消したテネブラエがエミルに聞く。

「僕はいいかな。魔法少女の素質ないし」

「しかし彼女達は危険な目に遭うのですよ?」

「わかってるけど…けど今の僕は力のないただの人間。なのに危険な場所に行ってどうするの?」

「それはそうですが…」

「契約するときはちゃんと鹿目さん達を守る」

「あなたが決めたのなら私は従います」

「ごめん…テネブラエ…」

「いえ、私も焦っていました。危険な場所にいけばエミル様も契約せざる負えなくなるかもしれません。しかし今のエミル様は人間。その状態で亡くならればラタトスク様は永遠に半分の力を失います。そのときニブルヘイムを防ぐ扉を守れるどうか…」










エミルは寄り道をせずまっすぐ家に帰る。

「ただいま」

「お帰りなさいませ」

「テネブラエも一緒に帰ったでしょ」

「ですが、ただいまと言ったらお帰りと言うべきでしょう」

「ならテネブラエも言って」

「は、はあ…ただいま戻りました」

「うん、おかえりテネブラエ」

エミルは笑顔になる。
私服に着替えてエプロンをして夕食を作る。

「いつも拝見していますがなかなか手際がいいですね」

「旅をしていたときは僕が料理担当だったからね」

鍋にパスタの麺を茹でて
フライパンにひき肉と人参、玉ねぎを炒めている。
トマトのホール缶を開けてフライパンに投入。
茹であがったパスタをフライパンにいれて混ぜる。
完成したミートソースパスタを皿に盛る。

「できた!」

「とても美味しそうですね」

「テネブラエの分もあるけど食べる?」

「私はマナを体内に摂取してますので必要ないのですが、エミル様が私のために作ったものです。もちろんいただきます」

二人分の食事をする音がする。

「旅をしていた頃はマルタ達と一緒に食べてたね」

「えぇ、あのときは楽しかったですね」

テネブラエは席について尻尾を使い、フォークを器用に使って食べる。






食事が終わり洗い物をしたあと風呂にはいり部屋にはいる。

「エミル様。今はなにをするのです?」

「日本語を覚えるために勉強する」

「勉強熱心になられたのですか」

「この世界はいろんな国があって様々な言語があるんだ」

「確かエミル様を探しているとき場所によって話す言葉が違ってましたね」

エミルはテーブルに参考書を開いてノートに書く。
テネブラエはエミルの勉強する姿をただ見つめていた。
時計が12時を過ぎ、エミルは勉強を終了する。

「もうおやすみになられらのですか?」

「うん。明日も学校」

「それでは、おやすみなさいませ」

「おやすみ」

エミルはベットにはいって眠りについた。 
 

 
後書き
戦いを嫌うエミル

自分がいた世界では戦うことが当たり前だったがこの世界では戦いをしなくても平和に暮らせる

しかしあの魔女が現れ、エミルはかつて自分を救ってくれたあの言葉を思い出し戦う覚悟を決める 
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