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俺が愛した幻想郷

作者:茅島裕
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俺は愛せる? 幻想郷...
吸血鬼ってこんなん?
  第二十八話 同じようで違うこと

 
前書き
期末テストが終わったものの、そもそも勉強はしないし、気の持ちようも変わらない私にとってはなんの気の抜けもない、どうも、うp主妹紅です。

久しぶりの俺愛投稿。こちらもやはり書き方を忘れてしまったというか、博麗ちゃんの性格ってこんなんだっけ状態のうp主妹紅ですが、イメチェンとまではいかないでちょっと雰囲気が変わった俺愛をどうぞお楽しみください。

最低でも、一週間に一回投稿は欠かさないよう努力しようと思います。(これからバイトやらあるので許してください)

とは言え、ストーリーはもう考えてあるので、書く気力と道具さえあればどこででも書けるんですよ(笑)
ではでは、また今度の投稿でお会いしましょう。


本編、どぞ 

 
『俺はさ、物語の主人公なんかじゃないから... なんでもわかったり、感情に鈍感だったり...』

『そんなことはないんだ。だから、俺は君を傷つけてしまったんじゃないかって。そう思って逃げ出してしまった』

『あんな調子ののったことを言ったけど、本当は謝らなければならない』

『君の気持ちを考えないで逃げ出してしまって... ごめん』




もさんっ...

やく......んっ!

「八雲さんっ!」

「え、あ... うん?」

気が飛んでしまっていたらしい。目の前に俺を呼ぶ博麗ちゃんが見えた、そう言えば博麗ちゃんとお話をしている最中であった。
最近多いな、気が何処かに飛んでしまうことが。

「まだ霧雨さんのことで頭一杯ですか?」

「あぁ〜... いや、そうじゃないんだ」

「うわの空でしたよ。全く...」

「魔理沙はあのときなんて言ったんだろう。そう思ってさ」

「やっぱり霧雨さんのことじゃないですか! その感情を食べてあげたいくらいですよ」

「面白い表現をするんだね」

当の本人である魔理沙は、用事があると言って帰った。霊夢が言うには、本当に用事があるらしい、疑っていたわけではないが、いつも遊んでるようなイメージがあったからそう思っただけだ。
どうやら彼女は、自分のお店を経営しているらしい。両親の跡継ぎなのか、霧雨魔法店という店だ。今度行ってみるとしよう。少々、魔法に興味があるのだ。

「さて、今日は何をして遊ぶ?」

「もう! さっきもそう言って考えてたのにっ!」

人肌に触れられたハリセンボンの様に頬を膨らまして腕をぶんぶんと振る博麗ちゃんはさぞ可愛かった。いやいや、そうではない、さぞ可愛らしかった。いやだからそれじゃ同じだから、そうだ、んと...... 可愛いです、はい。

「——話は三百六十度一回転変わりますけど」

「変わってないね、それ」

「八雲さんは、"吸血鬼"って信じますか?」

吸血鬼... か。いきなりなんでまたそんな… それもまたこの子の言う吸血鬼はどういう類のだろうか。
一般的な、死人が血を栄養にするようになった実態のない化け物なのか、変な仮面を被ってなる吸血鬼なのか... それとも怪異最強のなんとかショットなんとかオリオンなんとかブレードさんなのか...... もしくは何処かで闘ってる虫歯持ちのダンディーなのか...... それもまた何処かで闘ってる傘持ってる金髪幼女なのか...... いろんな類があり過ぎてわからないな。

「完全に信じてないわけじゃないけど、増してや幻想郷ならその辺に居そうだけど、言うほど信じてないよ」

「案外、近くにいるかもしれませんよ」

思い当たる節がないと言うわけでもないのだが... あまりに偶然過ぎた問いだな。
いろいろあり過ぎてあまり覚えちゃいないが、昨日の朝だったか、舌に穴が空いてたんだよな。それも口の中には血の味が残っていた。吸血鬼に吸われた、というのも馬鹿な話だから、寝てるときに自分で噛んだのだろうという考えに至ったのだが...

「んま、そう言うわけだが。いきなりなんでそんなこと聞いたんだ?」

「吸血鬼って普通の物は食べれるのかな、と思いまして」

「食べると思うぞ? そうだな、飴とか好むんじゃないかな」

「なんでそんな的確なんですか」

なんとなく、一昨日の夜にいた女の子のことを思い出して言っただけなのだが... っていうか、あの子何者なんだろう。藍さん曰く、式神みたいだけど。まぁ、それも曰くというより俺の憶測でしかないけど。

如何にも、まぁ、なんとなくね、という顔をして苦笑いして途切れていた返事を返す。すると。はぁ、とため息を吐いて台所へ消えて行った博麗ちゃんの背中が見えた。

「飲み物取ってきます」

ふむ... 吸血鬼かぁ... 妖怪だとか、そんなもの俺に縁はないと思っていたけど。能力に続き、今に至り、予想外な展開だらけだな。
まぁ、それを狙ってここに来たと言っても過言ではないが。

「まぁだ魔理沙で悩んでたりするの?」

博麗ちゃんとは違う、一切の鋭さのないトーンで話しかけてきた博麗ちゃんの姉——霊夢はそう言うと、俺の隣に腰をかけた。

「それなりに」

特に深く考えず、思っていたことを口にした。

「仕方ないと言えば仕方ないのよね。言ってしまえば、珍しいモノなのよ、あなたは」

俺のなんの考えもない浅い言葉に対し、深くも突拍子のない言葉で返事を返してくる霊夢は、俺の返事がないとみて話を続けた。

「珍しいモノに近づきたくなるのは仕方ないってこと。変な意味じゃないけど、常に私もあなたに近づいていろいろなことを聞いてみたいし、言ってみたいと思ってるもの」

にへらと優しく苦笑いをして次は俺の返事を待っていた。なので俺はそれに答える。それこそ、何にも考えていない空っぽの頭でだ。

「俺のいた世界は、もっと胸糞悪いものだったよ。そんな珍しいモノを見つけたら、馬鹿にする、侮辱する、相手になんかしない。もっとも、近寄ろうなんてしないさ」

困った、悲しそうな表情で、俺よりも幾つか小さい手を俺の頭にポンと乗せてきた。

「まるでこの世界で言う妖怪みたいなものね」

「向こうの世界ではむしろ、妖怪とか幽霊とか、好かれてたぞ。本当にいるのかも知らず、みんな馬鹿みたいに騒いでた。幻想郷(こんなところ)想像してた俺も大概だけど」

「同じようで違うのね」

ふふっと小さく笑みを零し、頭に乗せていた手を動かしてきた。それが幾分心地良くて、返事を忘れていると、

「だからね、心配しなくてもいいのよ。魔理沙のことだから、今日はちょっと用事が重なって直ぐ帰っちゃったけど、明日にはケロッとここに遊びに来るわ」

そう言って、霊夢は腰を上げた。

「さ、私の分まで霊と遊んであげてね」

にこにこと気分良さそうに家の奥へと消えて行った霊夢。そして、入れ替わるように博麗ちゃんが戻ってくる。
俺は家の主じゃない為、気が利くなんて失礼なことは言えないが、俺の分まで飲み物を持ってきてくれる良い子だ。

「はい、どうぞ」

ウーロン茶だろうか、黒めな飲み物の入った、冷たいグラスを俺に渡してくる。丁度俺も喉が渇いていたところなので、お先にと、ぐいっと一気に口に含み——

「殺す気か!?」

「やーい引っかかった引っかかった〜♪」

そうだった、優しくも捻くれた子だった。こいつは決して素直な子ではなかった! くそ...やられた。ちょっと黒めな飲み物だと判断したときにその可能性も考えておけよ。
醤油が入っているという可能性をっ!

「元気づける為ですよ。八雲さん」

捻くれ者でもやはり優しい子だった。あとでジュースでも奢ってやろう。

「ちょろいっすね、八雲さん」

ダメだったこいつ。しかも俺の心情を読みやがった。奢るジュースはめんつゆで決定だな。

「まぁ、いいや」

「え、醤油飲むんですか?」

「いやちげぇよ! 流石にねぇよ!」

「よかった、やっと元気にツッコミを入れてくれた」

そう言って、今度はちゃんとした、可愛らしい微笑みを見せて後ろからもう一つのグラスを手にし、俺に渡してきた。

「私は向こうで飲んだので、どうぞ」

「お、おう。ありがとう」

「何照れてるんですか気持ち悪い」

「台無しダァ...」

くすくすっと手で口を隠して笑う博麗ちゃんを見ながら本物のウーロン茶で喉を潤した。そして霊夢が言っていたことを思い出し、グラスの中身を空にしてから話をふった。

「じゃあ今日はそこの森でも探索するか!」

俺がそう言うと、博麗ちゃんは表情をパァっと明るくし、

「はいっ!」

と大きな返事をした。 
 

 
後書き
「は、博麗ちゃん?」

「なんでしょう?」

「な、なんだその大荷物」

ヘタしたら自分の身体よりも大きいサイズのリュックサックを肩にかけている博麗ちゃんはキョトンと俺を見る。

「だって、探検ですもの」

「い、いや、散歩程度だよ?」

「え、狩りしたり、家作ったりしないんですか!?」

「しないよっ!? なんでそんなサバイバーなこと考えてるのぉ!?」

足の内や胸ポケットからいろいろなナイフや工具を取り出して振り回す博麗ちゃん。

「えぇ! 全部持ってきたのにぃ!」

「考えることが大規模すぎてお兄さんついていけないです! そして危ないからそれ振り回すなっ!」


この後、博麗ちゃんがちょっと不機嫌だったのは言うまでもないだろう。 
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