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Blue Rose

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第十六話 神戸を後にしてその九

「そうした人でもないから」
「それはよかったわ」
「本当にね」
 それこそだ、優子も言う。
「おかしな人だったら」
「困るよね」
「学校の先生は特にね」
「僕もそう思うよ」
「だからね」
 それでというのだ。
「安心してその学校に入ってね」
「わかったわ」
「そう、それとね」
「それと?」
「編入は施設の中で女の子になってからだから」
「それから」
「そう、女子になって」
 そしてというのだ。
「それからだからね」
「完全に女の子になって」
「それからだから」
「じゃあ編入しても誰も」
「女の子と思っているから」
 学校の生徒達はというのだ、編入する。
「先生も理事長さん以外はね」
「女の子だって思ってるんだね、僕を」
「最初からね」
 男だったとは思っていないというのだ。
「だから安心してね」
「僕が言わなかったら」
「誰も知らないことだから」
「そうなのね」
「こうしたことは多分」
「多分?」
「優花以外にもあるわね」
 ごく稀、それもまず有り得ないと思われていることでもというのだ。
「こうしたことは」
「考えてみたら」
「そうも思えてきたわ」
 今はというのだ。
「少しだけれど」
「僕以外にもこうした人いるんだね」
「ええ、過去にもね」
「歴史でも?人の」
「そうよ、いるのよ」
 これまでの人類の歴史の中でもというのだ。
「本当に稀でも」
「そういえば男の人でも子供を生んだとか」
「そんなお話あるでしょ」
「性転換したとか」
「今じゃ手術でそうなる人もいるけれど」
「昔から僕にみたいになる人もだね」
「いたのよ」 
 このことをだ、優花に話すのだった。
「やっぱりね」
「そうなのね」
「ええ、そのことも考えて理解したら」
 そして受け入れればというのだ。
「私もね」
「僕のことで」
「有り得るってわかると」
 それで、というのだ。
「どうして優花が、っていう気持ちがまだあったけれど」
「その気持ちもなくなったんだ」
「そうなったわ」
 実際にというのだ。 
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