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杞憂

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第二章

「御前がそこまで言うんだったらな」
「よし、じゃあ近くの基地に行くか」
「そうするか」
「そうしたらかなりわかるからな」
「自衛隊からか」
「ああ、行くぞ」
 こうしてだった、昌也は徹と共に通っている大学と同じ県内にある自衛隊の基地、具体的には海上自衛隊の基地に向かった、その基地に行くとだ。
 護衛艦があり制服や作業服を着た自衛官達が行き来していた、しかし。
 その彼等を見てだ、昌也は徹に言った。
「穏やかだな」
「災害もないしな、今は」
「ああ、災害な」
「災害の時には自衛隊が出動するだろ」
「それはな」
 昌也もそのことは知っているので応えた。
「何だかんだ言ってな」
「そうした時は自衛隊だろ」
「本当にそうだよな」
「人もいるし組織力もあってヘリとか船もあってな」
「食料も物資もあってな」
「いざっていう時はだな」
 徹は自分の隣にいて共に基地の港の中を歩く昌也に言った。
「御前もそれはわかってるからな」
「ここに連れて来たんだな」
「その現実を見ないで自衛隊廃止とか言う馬鹿だとな」
「馬鹿か」
「そこまで言う奴は馬鹿だ」
 それこそという口調での言葉だった。
「災害の時の自衛隊を見ているか見ていないか知らないがな」
「俺だって災害見てるからな」 
「それも間近でな」
「ああ、隣の県であったりしてな」
「ならわかるだろ」
「ああ、自衛隊は必要だな」
「そうだよ、それで普段はこうだよ」 
 至って穏やかだというのだ、基地の中も。そしてだった。
 徹は歩きながら昌也にあるものを手渡した、それはというと。
「本か」
「自衛隊の資料な」
「何だこれ、求人倍率か」
「それと自衛官の数な」
 そうしたものが載っている本だというのだ。
「読んでみろよ」
「何だ、自衛隊案外少ないな」
「それで求人倍率どうだ」
「随分高いな」
 実際の求人倍率を見てだ、昌也は言った。
「こんなにあるのか」
「そうだよ」
 徹は昌也にこう答えた。
「これでわかったな」
「これだけ入りたいって人がいるとな」
「徴兵制の必要あるか?」
「ないな」
 昌也も言った。
「どう考えても」
「ああ、それでな」
 徹は昌也にさらに言った。
「戦争に巻き込まれるか」
「そのこともか」
「勉強してみるか?」
 こう言うのだった。
「一回」
「そうだな、それじゃあな」
「ああ、何なら協力するからな」
 こうしてだ、昌也は戦争のこともそして自衛隊のことだけでなく日本のことも勉強した。そしてだった。
 暫く勉強してだ、昌也は学校で徹に言った。
「俺は馬鹿だった」
「自分で言うか」
「ああ、俺はな」
 とてもというのだった。 
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