話しているうちに
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第一章
話しているうちに
室留美は浜崎大輝からだ、突然言われた。
「俺実は御前のお姉さんのこと好きなんだよ」
「それお姉ちゃんに直接言わないの?」
留美は大輔に告白の後ですぐにこう返した。
「そこで」
「そんな勇気があったらな」
大輔はその白い細面で蜂の様な鼻に穏やかな目の顔で言った。細い髪質の黒髪をショートにしていている。背は一六五位だ。
「もうとっくに本人に言ってるさ」
「そういうことね」
留美は少し呆れた顔で頷いた。身長は一五〇程で細い眉に蒲鉾を思わせる二重の目にで口は薄い紅の唇を持っていて大きめだ。白い顔で黒髪を背中の半ばまで伸ばしている。
二人共高校の制服姿でありマクドナルドでそれぞれのメニューを食べながら話をしている。傍から見るとカップルだが。
大輝は留美にだ、こう言ったのだ。
「そういうことだよ」
「呆れたわ」
これが留美の返事だった、フライドポテトをかじりながらの返事だ。
「正直言ってね」
「そう言うのかよ」
「だからそういうことはね」
「本人にか」
「言えばいいでしょ」
「だからさっき言っただろ」
大輝はまた留美に言った。
「そんな勇気はな」
「ないのね」
「それで幼馴染みの御前にな」
「相談したいのね」
「だから今日もな」
部活の後の下校の時にというのだ。
「御前にこうしてマクドに来てもらったわけだよ」
「何で急にって思ったら」
「ああ、コーヒーおごってな」
「フライドポテトは私持ちだけれどね」
冷めた目で言い返す留美だった、目もそんな風になっている。
「そこまで出せばいいのに」
「そこまで金ないよ」
「貧乏なのね」
「お小遣い貰う前だからな、とにかくな」
「お姉ちゃんへの告白ね」
「そうだよ」
まさにという返事だった。
「それをしたいんだけれどな」
「そうね、まあね」
呆れながらもだ、留美は。
大輝とのこれまでの付き合いや彼の人間性のことを考えてだ、ここは温情を出すことにして彼にこう言った。
「いいわ」
「相談に乗ってくれるのか」
「要するにお姉ちゃんに好きになってもらいたいのよね」
「俺のことをな」
「それで相思相愛になって」
「めでたくだよ、後な」
さらに言う大輝だった。
「出来れば杏美さんのことをな」
「もっと知りたいのね」
「彼氏いるのか?」
このことはだ、大輝はかなりダイレクトに尋ねた。
「いたらやっぱりな」
「全然よ」
これが留美の返事だった。
「そんな気配ないわよ」
「本当か?」
「私の見たところね」
「だといいけれどな」
「じゃあそのこと調べておくわね」
留美はまた大輝に助け舟を出した。
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