気になって
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2部分:第二章
第二章
「そんなの特に」
「気にすることはないっていうの?」
「うん、僕だってさ」
どうかというのだ。健はだ。
特に悩んでいない感じでだ。こう言ったのである。
「それはわかってるし」
「わかってるとかそういうのじゃなくて」
「そういうのじゃなくて?」
「二つも年上で」
このことをだ。健本人にも言ったのだ。
「それでいいの?」
「いいも何も」
「いいじゃない。特に」
「だから。私はね」
違うというのだ。智秋はだ。
その話をしてだ。どうしてもだと言うのだ。
「年上の女でも。いいのね」
「だから何でそういうのにこだわるの?」
「普通カップルってあれじゃない。同じ歳同士か」
「男の方が年上だから」
「そう。女の子の方が年上って」
それがだ。どうしてもだというのだ。その話をしてだった。
智秋は困った顔になっていた。この悩みは健にはわからなかった。
だがそれでもだ。智秋は悩んでいく。その中でだ。
健と二人でだ。デートをした。この日もだった。
彼女は浮かない顔をしている。そのあだっぽい顔にどうしても似合わない表情だ。しかしそれでもだった。
彼女はその表情を消せずにだ。デートをしていた。その彼女にだ。
健はだ。こう提案してきたのだった。
「それじゃあこれからね」
「これから?」
「これからっていうと?」
「パスタが凄く美味しいお店知ってるから」
こう智秋に言ってきたのだ。
「そこに行かない?」
「パスタ?」
「そう、商店街の中にあるけれど」
「商店街のね」
「そこに行かない?今から」
悩み続けている智秋をだ。リラックスさせる為の提案だった。
「どうかな、それで」
「そうね」
考える顔になってだ。智秋はだ。
健に対してだ。こう言ったのである。
「そこに案内して」
「うん、わかったよ」
こうしてだ。二人はその店に向かうことにした。そこはだ。
木造でカウンターの席しかない横に狭い店だった。そのカウンターの席も十あるかないかだ。カウンターの向こうが厨房になっている。
その店の中に智秋を案内してからだ。健は言うのだった。
「この店だけれど」
「ここがパスタが」
「とても美味しいんだ」
にこりと笑ってだ。智秋にまた言った。
「だから。一緒に食べよう」
「ええ、じゃあ」
幾分気を晴れさせてだった。そのうえでだ。
智秋はカウンターに健と共に座った。
そのうえで健が頼んだパスタを食べる。それはフェットチーネのペペロンチーノだった。
それを食べつつだ。カウンターのシェフ達を見た。見ればだ。
男女二人だ。その女の方はだ。
ラテン系を思わせる艶やかな、何処か智秋に似た美人だった。そしてだ。
もう一人の男の方は若い。彼女よりも若い背の高い青年だ。その二人を見てだ。
智秋はふと思った。だがそれより前にだ。
彼女と同じフェットチーネのパパロンチーノを食べている健が彼女に言って来た。席は隣だ。
「この店って実はね」
「実は?」
「夫婦でやってるんだ」
その二人のシェフを見ての話だった。
「そうなんだよ」
「夫婦で?」
「そう、夫婦でね」
笑顔で智秋に言うのだった。
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