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花火の下で

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3部分:第三章


第三章

「その二つを食べないと長野に行く意味ないわよ」
「スキーよりもそっちか?」
「同じ位ね」
 やはりスキーも楽しみだというのだ。
「楽しみにしてるからね」
「そうか。それじゃあな」
「楽しみましょう。スキーもお蕎麦も林檎も」
「それに花火もな」
「どれもね」
 そんな話をしながらだ。長野に向かう彼等だった。そして長野に着くとだ。
 すぐにスキーウェアに着替えスキーの道具を全部出してだ。二人で滑りだした。滑っては昇りを繰り返しだ。その日は夕方まで滑った。
 そしてそれが終わりだ。夜はだ。
 二人で蕎麦を食べる。それはかけ蕎麦だ。それを旅館の近くにある店の中ですすりながらだ。京は幸に対してこう言うのだった。
「何ていうかな」
「美味しくないとか?」
「いや、これは美味いだろ」
 その蕎麦を実際に食べて味わいながら言う京だった。
 しかしだ。彼はこう言うのだった。
「ただ。何か違うよな」
「静岡のとはよね」
「ああ、静岡の蕎麦と本当に違うな」
 二人のいるだ。その静岡の蕎麦とは違うことをだ。京は言うのだった。
「味が何かな」
「こっちはこっちで美味しいけれどね」
「違うよな」
「東京のお蕎麦ともまた違うわね」
「あっちの蕎麦はつゆが辛いんだよな」
 京はそれを言うのだった。
「どうもな」
「そうそう、それで長野のお蕎麦は」
「風味がはっきりしてるか?蕎麦の」
「そっちが強い感じよね」
「だからあれか。蕎麦の方を味わうんだな」
 つゆやだしよりもだというのだ。
「そうい感じなんだな」
「そうみたいね。じゃあ」
「ああ、蕎麦の風味をな」
「味わいましょう」
 こうして蕎麦を食べ林檎と林檎菓子も食べる。そうして食事も楽しんでだった。
 花火も楽しむ。そうして数日間楽しんだ。無論長野名物の温泉もだ。
 とにかく旅を満喫した。昼も夜もだ。そして最終日だ。
 明日には帰るという日の夜だ。やはり蕎麦を食べながらだ。
 
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