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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
  ディケイド ~士の仲間否定~


この世界に着いて、まず士の衣装がいつも通り変わった。

頭にはちまき、指の出たグローブ、Tシャツに、肩から先のないGジャン。
まさに「昭和!!」といった格好だ。

「レトロな昭和感溢れる格好だな」

「・・・ふん!・・・こんな恰好でも、着こなしちまう自分が恐ろしいぜ」

「士、無理するなよ」

「だな。どうせ後で着替えられるんだからさ」

「そんなことよりなんで蒔風さんはあえてその服を選んできたんですか?」

夏海が蒔風を指摘している服装はこうだ。


短パン、Tシャツ、麦わら帽子に虫取り網だ。
それはまさに「夏休み少年」の恰好だった。

「だって最近暑いし。あ!!アブラゼミ!!!」

「え?おい、待てよ舜!!」

蒔風が駆けだし、ユウスケが追う。
その後をやれやれと言った風に士と夏海がついていく。

その背後に白き兵たちが蠢いていた・・・・





「おお!!なんてことだ・・・見ろ!!ツクツクホウシだ!!!」

「すごいな!!ってかいつの間にそんなに捕まえたんだ!?」

ユウスケと蒔風が昆虫を見て興奮している。

「なんでそんな虫で楽しめるんだか・・・・」

「ほら!そんなつまらんこと言わずに、お前も見てみろよ!!」


蒔風が士に籠を突き出す。

そこにいたのはさまざまな虫?だ。

バッタ、トンボ、カブトムシ、などなど・・・
さらには

「おい・・・トカゲがいるぞ?」

「いいんだよ。漢字なら虫偏だから」

「舜!!スズメバチいんぞ!!」

「ビクビクすんなよ・・・夏海さんも、ほら!!」

蒔風が夏海にも見せようとするが

「い、いえ。虫はちょっと・・・」

といって下がってしまう。

「なんだナツミカン。ライダーは大丈夫で、虫はだめなのか?」

「それとこれとは違います!!」

「♪~~~~・・・・・なんだ?」


そんな蒔風たちの周りに、わらわらと白い兵隊が集まってきた。


「どうやら、この世界の雑兵達みたいだな」

「ち・・・逃げるぞ!!」


士達がそこから離れようと走る。
が、走り出して三分とたたないうちに目の前に何者かが現れ、行く手を阻む。


「オレはクライシス最強の戦士、怪魔ロボット・シュバリアン!!霞のジョーを始末しに来た!!」

そう言って士を指すシュバリアン。
先ほどの白い兵、チャップと呼ばれる雑兵が周りを囲む。


「霞のジョー」というのがどうやらこの世界での士の役割らしいが・・・


(霞のジョー?そいつは別人のはずだ・・・だが、ということはこの世界は・・・!?)


「トオッ!!フン!!!」

バキッ、ドカァ!

そこに一人の男が入り込み、チャップ達を殴り飛ばし、士達とシュバリアンの間に立つ。
こちらに背を向けているせいで、顔は見えない。



「クライシス!!霞のジョーはこのオレが守る!!!!」

バッ、バッ!!ギィューン・・・・

「変、身!!」

ブオッ、キュガッ!!!

キィーーーイン!!!!



「オレは太陽の子!!!!」

その男が変身を完了し、シュバリアンに対し声高々に名乗りあげた。

「仮面ライダーBlack!!R、X!!」


その姿を確認し、士と蒔風が同時につぶやいた。

「「RXの世界か・・・・」」






ドドォ!!!

「ギィイイイイイイ!!!!!」

何名ものチャップが吹き飛ばされて地面に転がり、姿を消していく。
次々とチャップをなぎ倒すRXにシュバリアンが迫る。

「RX!!!今日こそ貴様を地獄に送ってやるわ!!」

「そうはさせん!オレは必ず貴様らクライシスの野望を砕く!!!」

「戯言を!!!(ガォンガォンガォン!!!!)」

シュバリアンの爪の上部の砲門から拳ほどもあるエネルギー弾を撃つ
それをかわしながら接近するRXはベルトから一本の剣を抜き放ち、シュバリアンを斬る

ライトセイバーのように光るその剣(本当は杖)、リボルケインが切り裂いた部分から火花が散る。
しかし、散りはしたもののその装甲は想像以上に硬く、ダメージは通っていない。

「その程度の攻撃、オレには効かん!!」

ドンドンドンドン!!


上半身に光弾を食らい、RXが煙をあげて転がる。
だが、すぐに立ち上がりながらその姿を変容させる。

「RX!ロボライダー!!」

「ヌウ!?」

「ボルティックシューター!!!!」


RXの姿がロボライダーのものへと変わり、その手には専用武器ボルティックシューターが握られる。
ボルティックシューターの形状は銃だ。


お互いが放つ光弾は火花を散らしながら交差し、そのうち何発がかお互いに命中するかと思われたが



「いきなり介入!呼ばれてないけどジャジャジャジャーーーン!!!!!」



ドギンギンギャンギャンギャン!!!!

蒔風がRXに迫る弾丸だけを蹴り飛ばす。
それに驚いたのはRXだ。

「君は・・・一体!?」

「気になさんな。ほれ、つかさん。行きまっせ!!!」

「オレに命令すんな!!だが・・・まあいいだろう。変身!!!」

[Kamen Ride---DECADE!]

士が変身し、蒔風とディケイドが並ぶ。

「貴様はディケイド!!!」

「霞のジョーがなぜディケイドに!?」


シュバリアンとRXがディケイドの姿に驚愕する。

「ああ、彼ね?霞のジョーじゃないんですよ」

「なんだと!?」

RXがさらに驚く。

「ま、その説明はあとで・・・」

そう言ってから振り返り、蒔風がシュバリアンに言った。

「おい、シュバリアンとやら!思いっきり昭和チックな台詞をありがとう。だけど一つ訂正させろ。この人いい人だからさ、死んだら行くの天国じゃね?」

「そういえばそうだ。何でいつも「地獄に落ちろ」なんだ?」

「なぁ?仮面ライダーは大抵正義の味方なんだから、死んでも行くのは天国じゃね?」

「貴様ら・・・つまらんことを言うなぁ!!!」


そうシュバリアンが叫びこちらに攻撃を仕掛けようとすると、その背後に灰色のオーロラが現れ、そこから怪人が二体出現した。



「なんだ貴様ら!?」

シュバリアンも驚いている。
ということは彼らは協力関係ではないのか?

一体何者なのか。
その答えはユウスケが叫んでくれた。

「ファンガイアにイマジン!?なんでこの世界に!?」

そこに現れたのはユウスケの叫び通りファンガイアにイマジンだ。
二体が武器を持って蒔風とディケイドに襲いかかる。


「おいなんだその名前!!オレぁ知らんぞ!!!」

「オレたちの回ってきた他のライダーの世界の敵だ!!!」

「オレの知らないライダー世界かよ・・・厄介だ、な!!!」

そういいながらも、蒔風とディケイドは二体を確実に追い詰めていく。

「今日はこいつだ(ヴォン、ガシュウ!!)」

[Kamen Ride---AGITO!]

ディケイドライバーに装填したしたカードで、一瞬光を放ってディケイドの姿が変わる。
アギトにカメンライドしたディケイドが、拳を握ってシュバリアンへと向かっていった。


「お!!アギトじゃねえか!!じゃあオレは!!」

と、いうが一番、蒔風も他の戦士の力を借りる。
いったいどこから展開されているのか、蒔風の背面からひっくり返ってきたかのようにアーマーが次々に装着されていき、現れたのは青い装甲の

「仮面ライダーG3!!の、Xだぁ!!」


蒔風がG3-Xになり、Dアギトが相手をしていた片方、ファンガイアの方を追い詰めていく。



「これで終わりでしょう!!!」

G3-Xの装備、超高周波振動ソード・デストロイヤーをファンガイアの胸に突き刺し、股にかけて裂く。

しかし、ファンガイアは倒れない。
しかも見る見るうちにその裂け目が戻っていくではないか。

「なんでだ!?」

「ファンガイアにはよほどのエネルギーを込めないと斬撃じゃ倒せねえぞ!!」

「先に言え!!じゃあこっち!!」

G3-Xがどっから出したのか、ロケット弾頭の装填されたガトリング銃を取り出し標準を合わせる。


[Final Attack Ride---A A A AGITO!]


それに合わせてDアギトもファイナルアタックライドを発動させる。

「フッ!!!」
「ハァ!!」

「「グギィアアアアアアアアアア!!!!!」」


ゴッ!!ドォン!!!!


二体の怪人が爆発し、二人がシュバリアンに向きなおす。
ちなみにすでにDアギトはディケイドに戻っている。


「まだやるか?」
「相手には・・・まあ、なってやってもいい」

「ぐ・・・覚えていろ・・・・」

その場からシュバリアンが姿を消す。

「じゃーなー!!」
「ふ、やはりオレは強い」

その二人の背後にRXが立つ。


「世界の破壊者ディケイド!!この世界を貴様の好きにはさせん!!!」

そう言い放ってRXがリボルケインを構えディケイドに突進してくる。
その言い草に夏海が弁解しようとするが

「G3ラリアットゥ!!!!」

G3-Xの二の腕がカウンターでRXの喉に減り込む。
RXの体が空中で五、六回転してから地面に落ちる。

「くぁwせdrftgyふじこlp;@!!???」

RXが地面でバタバタともがきながら喉を押さえる。
そんなRXに装甲を解除した蒔風が言った(服装は普通の物に変わっている)

「落ち付きなさい!!ほら、夏海さんも言っ(スッパァン!!!)ごめんなさい、大丈夫ですか?」

変身の解けた男性に手を差し伸べる蒔風。
男性がその手を掴んで起き上がると、開口一番訊いてきた。

「君たちは一体・・・それにいきなりこんなことするなんて・・・」

そんな男性に蒔風が言う。

「「世界の破壊者」とか言って問答無用で襲いかかる奴はみんなこうなるの!!っていうか、たぶん話すよりこっちのほうが早そう・・・・・あれ?ユウスケさん?どうしたのそれ?」

そういって、向き合いながらジリジリと下がっていき、遠ざかる蒔風と迫るユウスケ。
二人の姿が柱の向こうに消え、声だけが聞こえる。


(舜・・・いきなり何やっとンじゃおどりゃぁ!!!)

(わあ!?なんで変身してないのに鉄パイプがソードに!?斬れる斬れる!!!)

(オレはもうキレとるわ!!)

(うまいこと言わないで!!黒い、黒いよ!?なんか背後に黒い眼をしたクウガが見え・・・・アッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!)



「あれは?」

「気にするな」
「気にしないでください」

「そ、そうか・・・・」

「とにかく、士君は世界の破壊者じゃありませんから。いくつもの世界を救ってきたんです」

「・・・・・・そうか・・では君のその純粋な目を、信じよう」

「どこまでも昭和!!!あ!!待てユウスケそれ以上は!!!!・・・・・・・」

途中蒔風の声が聞こえたが、皆聞こえないことにした。



「オレは南光太郎。RXとして、この世界を征服しようとしているクライシス帝国と戦っているんだ」

「でもなぜイマジンとファンガイアが出てきたんだ?」

ユウスケが蒔風を引きずりながら訊いてきた。

「オレにもわからない。ある日突然、現れたんだ。それと同時期に霞のジョーも・・・」

「その霞のジョーってぇのは、一体誰なんでぇ?」

蒔風が荒縄でグルグル巻き状態で訊いた。


「霞のジョーは俺と一緒にクライシスと戦ってきた仲間だ」

「じゃあ今回士君がこの世界ですべきことはその謎を解くことですね!」

「はぁ・・・・・」

そこで士が盛大にため息をつく。
なんかめんどくさいなぁ・・・、といった感じだ。

「どうしたんだ士」

「・・・別に世界のために戦っても、オレの世界が見つかるわけじゃないしな」

「士ぁ、拗ねたのか?」

「いくら自分の世界が見つからないからって、それはいけねえよ。「ない」訳じゃないんだから」

「それに、士君には帰るべき家はあります!」

そんな会話を聞いて、光太郎が士に訊く。


「君も、仲間のためにだったら戦えるんじゃないか?それをも理由にすればいいじゃないか」

その言葉に士はさらにつまらなそうなため息をつく。

「で、お前はその仲間ってのを探してるのか?」

「そうだ」

「そんなことのために、一勝戦い続けるのか?」

「そんなこと?」

「オレはごめんだね。「仲間」なんてチンケな理由でいつ終わるかわからない戦いなんか続けられるか。じゃあな」

そう言って士が立ち去る。

「おい・・・士!!待てよおい!!!」

その後を蒔風がイラついた声を出しながら追う。
ユウスケと夏海は光太郎に謝罪してから、二人を追うつもりだったが、その時にはもう二人を見失ってしまっていた。






蒔風の追う先を、士がどんどん先に進んでいく。

仲間なんかいらない、オレは一人で歩いていける。
オレはいつだって通りすがりだから。

無言でそう語る背中を、蒔風が追う。
そんなことはないと、伝えるために。


「仲間」というものは、そんな言葉の羅列ではない。




to be continued


 
 

 
後書き

アリス
「次回、悪の巨大組織」

ではまた次回






言っておくけど!僕は君よりもずっと前から、通りすがりの仮面ライダーだ!!
・・・覚えておけ
 
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