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Three Roses

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第四話 新王の即位その十

「私も何時どうなるかわからない」
「大公は頑健ですが」
「それでもですか」
「お身体はですか」
「何時何があるかわからないと」
「そうだ、だからだ」
 それ故にというのだ。
「後のことも考えておきたい」
「先の先まで考える」
「王位のことも」
「そちらのこともですね」
「むしろ王位のことはだ」
 他の政治のこと以上にというのだ。
「考えていなけばならない」
「そうですね、確かに」
「そのことは事実です」
「では、ですね」
「このことは」
「そうだ、決めておこう」
 絶対にというのだ。
「今のうちにな」
「では大公の次はですか」
「マリー様ですか」
「そしてマリア様」
「そのうえで、ですね」
「マイラ様だ。だが」
 大公はあらためて言った。
「男子が欲しいな」
「はい、北の国の王子も血縁者ですが」
「それによりあの国との連合王国も可能ですが」
「しかしあの国は我が国以上に旧教が強いです」
「王子は新教ですが」
「そこが難しい、しかも王子はまだ幼少だ」
 北の国の王子はというのだ。
「生まれたばかり、どうなるかはな」
「まだわかりませんね」
「どうなられるか」
「無事に成長されればいいですが」
 赤子、幼子が昨日元気だったのに急に死んでしまう。よくあることだ。だからこそ側近達も大公に言うのである。
「しかしですね」
「それは神のみぞ知ること」
「王子がどうなられるかは」
「そのことは」
「わからない、しかし北の国も他の周辺諸国もだ」
 そうした国々についてもだ、大公は言った。
「一つロートリンゲン家にならうか」
「婚姻政策ですか」
「それにより結びつきを強め」
「そして運がよければですね」
「その国々をですね」
「武力や謀略を使わずにな」
 そうしたものを使わずにというのだ。
「手に入れることも出来る」
「そうですね、確かに」
「あの家は婚姻政策で大きくなった家ですね」
「戦いではなく婚姻で」
「では」
「北の国とは縁戚があるしな」
 それにというのだ。
「西の半島も王家ともな」
「婚姻を結ぶのですね」
「そして西の島国とも」
「両国ともですか」
「婚姻政策を進めますか」
「王家につながる者達を嫁がせてだ」
 そうしてとだ、大公は側近達に目を光らせて言った。
「結びつきを強めていこう」
「少なくともそれで攻められる心配はなくなりますね」
「そうした国々からは」
「王国の工作も弱められます」
「いいことばかりですね」
「では婚姻政策を進めていく」
 大公はここで断を下した。
「そうしていく」
「はい、では」
「そうしていきましょう」
「そして北の王国ともですね」
「あの国とは」
「王子を王位継承権に加えることをあの国に伝えよう」
 北の国への政策はこれだった。 
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