デュエル・マスターズ～龍を使役する少年の物語～

　タイトル考えるの難しかった……。
　今回は前回の二人の対決の続きです。
　と言っても中編です。
　理由としては話が長くなりそうだったので前、中、後の三部構成に分けます。
　それでは第4話どうぞ！ 

　先攻モルトの5ターン目が開始される前。
　モルトの手札は0、マナは4、バトルゾーンにはマッカラン1体、シールドは無傷の5枚。
　対する龍牙の手札は4、マナは4、バトルゾーンにはザビ・バレル、ホネンビーの2体、シールドは3枚。
　はだから見れば龍牙が不利だが、何故か余裕の表情でありモルトの方が焦っている。
　理由は前のターン、ホネンビーの能力で龍牙の切り札《ヘルボロフ》が墓地に置かれたからだ。

「オレの……ターン！ドロー！」

　勢いよくカードを引くが、微妙な表情になるモルト。

「どうやら良いカードを引けなかったようだな」
「ッ、マナに置いてターンエンド…」

　良いカードを引けなかったことを龍牙に見破られ、モルトは引いたカードをマナに置いてターンを終える。

「俺のターン！」

　龍牙の5ターン目。
　龍牙はカードを引き、素早く手札を1枚、マナに貯めて5枚にし、その5枚をタップ。

「呪文、《インフェルノ・サイン》ッ！」

「あれは殿堂カード！？」

　龍牙の唱えた呪文に一人の男子生徒が驚く。
　何故なら龍牙が唱えた呪文はあまりにも強すぎる為、デッキに1枚しか入れられない殿堂カードの1枚《インフェルノ・サイン》だからだ。
　その能力はコスト7以下の進化ではないクリーチャーを1体、自分の墓地からバトルゾーンに出す能力。

　前方の通りこのカード1枚で強力なクリーチャーを最大7マナまで墓地からただで出せるリアメイト呪文。
　つまり……―――

「その能力で墓地からコスト7以下のクリーチャーを1体、ただで蘇らせる！
　地獄より蘇れ、《極・龍覇 ヘルボロフ》ッ！」

　―――ホネンビーの能力で墓地に置かれていた龍牙の切り札《ヘルボロフ》が突如墓地からバトルゾーンに現れた。

「っしゃ！俺の出番だな！」

　現れた《ヘルボロフ》は突然喋りだし龍牙は気にせずターンを進める。

「《ヘルボロフ》の登場時効果！俺の山札の上から2枚を墓地に！」
「ッ！（ヤバイ！この展開は…！）」

　龍牙の山札の上から2枚のカードが墓地に置かれ、それを見たモルトは次に龍牙が何をするのか、わかってしまった。

「更に！超次元ゾーンから、コスト5以下の闇のドラグハートを1枚バトルゾーンに！
　現れよ！魔壊の王の城！《極魔王殿 ウェルカム・ヘル》ッ！」

　墓地の隣にある超次元ゾーンから横向きのカード―――“ドラグハート・フォートレス”をバトルゾーンに出す。

「また、殿堂カード！？」

　バトルゾーンに現れたドラグハート・フォートレスを見て男子生徒は再び驚く。
　何故ならバトルゾーンに現れたドラグハート・フォートレスは《インフェルノ・サイン》同様、デッキに1枚しか入れられない殿堂カード《極魔王殿 ウェルカム・ヘル》。
　その能力はバトルゾーンに出た時、または自分のドラグナーが攻撃する時、闇のコスト5以下のクリーチャーを1体、自分の墓地からバトルゾーンに出す能力。

　つまり、《インフェルノ・サイン》同様リアメイト能力を持ち、ホネンビーとヘルボロフの能力で龍牙の墓地には《デーモン・ハンド》と《インフェルノ・サイン》の二つを除いたクリーチャーは4枚。
　その内、コスト5以下の闇のクリーチャーは《爆弾魔 タイガマイト》、《特攻人形ジェニー》、《爆霊魔 タイガニトロ》の3枚。
　よって、この3枚のどれかが墓地からバトルゾーンに現れる。

「その登場時効果で《爆霊魔 タイガニトロ》をバトルゾーンに！」

　選んだのは自分のターンの終わりに相手の手札を1枚残して、残りを墓地に置くクリーチャー、《タイガニトロ》。
　と言っても、今のモルトの手札は0なので何の意味もないが。

「これで俺はターンエンド！ターン終了時、《ウェルカム・ヘル》の能力発動ッ！自分のクリーチャーを4体破壊ッ…！」

　《タイガニトロ》、《ヘルボロフ》、《ホネンビー》、《ザビ・バレル》の4体を墓地に置き、《ウェルカム・ヘル》の真の能力を発動させる。

「龍解！全てを破壊し、全てを繋げッ！《極・魔壊王 デスゴロス》ッ…！」

　横向きの《ウェルカム・ヘル》を縦向きに裏返す。
　先程の悪魔の城とは裏腹に悪魔の鎌と龍の顔を合わせた悪魔龍《極・魔壊王 デスゴロス》。

「《デスゴロス》の龍解時効果発動！お前の《マッカラン》を破壊！」
「《マッカラン》ッ！」

　龍解した《デスゴロス》の能力を使い未だにバトルゾーンに存在しているモルトの《マッカラン》を破壊し、墓地に置く。

「クソッ…！」

　破壊された《マッカラン》を見てモルトは毒舌を吐き出すも諦めずカードを引く。

「ッ！？ターンエンド…」

　引いたカードを見て一瞬モルトは驚くも素早くターンを終える。

「俺のターン！」

　龍牙の6ターン目。
　龍牙はカードを引き、手札を1枚、マナに貯めて6枚にし、その内3枚をタップ。

「呪文、《ボーンおどり・チャージャー》！山札の上から2枚を墓地に！」

　また龍牙の山札の上から2枚のカードが墓地に置き、《ボーンおどり・チャージャー》を墓地ではなく、マナに置く。
　本来呪文は唱えた後、墓地に置かれるが一部のカードは墓地ではなく、別のゾーンに置かれる。
　特にこの《ボーンおどり・チャージャー》は“チャージャー”と言う能力を持ち、墓地に置くかわりにマナゾーンに置かれる。

「続けて、《ザビ・バレル》を召喚！その能力で最後の1枚を捨てろッ！」
（かかったッ…！）

　またまた《ザビ・バレル》が現れ、モルトの最後の1枚を捨てさせるが、モルトはその捨てるカードを龍牙に見てる。

「《永久(とわ)のリュウセイ・カイザー》の能力発動！コイツは相手のクリーチャーの効果、または呪文の効果で手札から捨てられる時、墓地に置くかわりにバトルゾーンに出せるッ！」
「チッ…！」

　最後の1枚を捨てさせるつもりが逆に利用されたことに、龍牙は舌打ちし、モルトは《リュウセイ・カイザー》をバトルゾーンに出す。

「こっちだって、やられてばかりじゃないッ！」
「そうかい！だが、以前有利なのはこっちだ！《デスゴロス》で攻撃！
　コイツが攻撃する時、山札の上から1枚を墓地に置くことで墓地から進化ではないクリーチャーを1体何でもただで場に出せるッ！
　墓地に眠る悪魔の龍よ、悪魔龍王の力で蘇りやがれ！《呪英雄 ウラミハデス》をバトルゾーンに！」

　墓地から現れたのは先程、《ボーンおどり・チャージャー》で墓地に置かれたクリーチャー、《呪英雄 ウラミハデス》。
　その能力はマナゾーンに闇のカードが7枚以上あれば、《呪英雄 ウラミハデス》以外の進化ではない闇のクリーチャーを1体、墓地からバトルゾーンに出せる能力。

「《ウラミハデス》の登場時効果発動！マナ武装7！俺のマナゾーンに闇のカードが7枚以上あるので、《狼虚 サンダー・ブレード》を墓地からバトルゾーンへ！」

　現れたのは相手のクリーチャーを1体破壊する悪魔のクリーチャー、《狼虚 サンダー・ブレード》。

「その登場時効果で、お前の《リュウセイ》を破壊ッ！」
「《リュウセイ》ッ！」

　出したばかりの《リュウセイ・カイザー》を破壊し、自分のクリーチャーを増やす龍牙の得意戦法がモルトに炸裂。

「断念だったな！ハハハッ！」
「だが、《リュウセイ》の効果で《ウラミハデス》と《サンダー・ブレード》の2体をタップ！」
「それがどうしたッ！《デスゴロス》でT(トリプル)・ブレイクッ！」
「ッ、シールドチェック！」

　追い打ちと言わんばかりに《デスゴロス》のT・ブレイクがモルトのシールドに襲い掛かり、1枚ずつシールドの中を確認するモルト。

　1枚目……トリガーなし。

　2枚目……トリガーなし。

（頼む！来てくれ…！）

　3枚目を恐る恐る手に置きそれを表向きに裏返す。
　結果―――

（来たッ！）

　―――トリガーだった。

「S・トリガー！呪文、《天守閣 龍王武陣》！その能力で山札の上から5枚を見て、その中から火のクリーチャーを1体選んで、相手に見てる！その後、そのクリーチャーよりパワーの低い相手のクリーチャーを1体破壊できるッ！」

　モルトは自身の山札の上から5枚のカードを見て、その中から1枚のカードを手に取りそれを龍牙に見てる。

「《デュアルショック・ドラゴン》！コイツよりパワーが低い、《サンダー・ブレード》を破壊ッ…！」
「チッ！ターンエンド…！」

　モルトの7ターン目。
　モルトは今の自分の手札を確認する。
　先程、《デスゴロス》の攻撃で加えた《ドキラゴン・エントリー》とデッキに2枚積んでいた《永久のリュウセイ・カイザー》の2枚、《龍王武陣》の効果で手札に加えた《デュアルショック・ドラゴン》の1枚、合計3枚。シールドは2枚。マナは5枚。
　そして、龍牙のバトルゾーン。
　タップ状態の《デスゴロス》と《ウラミハデス》、アンタップ状態の《ザビ・バレル》の3体。手札は1枚。シールドは2枚のまま。マナは7枚。

　状況から見れば、モルトの方が不利だが、この状況で逆転するカードをモルトは知っている。
　しかも、たったの1枚。問題なのは、そのカードがデッキに1枚しか入っていない。殿堂カードと言う訳ではないが、如何せんモルトは、そのカードを1枚しか持っていない。
　そもそも、このデッキはそのカード1枚で組んだデッキだ。が、如何せん1枚しか持っていないモルトは、その代わりの枠で《永久のリュウセイ・カイザー》等の強力なカードを数枚デッキに入れている。

　んで、問題なのは、モルトはそのカードを引けるかどうかなんだが……。

（引ける気がしねぇ～！）

　全くもって、モルトはそのカードを引ける気がしなかった。

「……この状況を打開しないと、お前は次のターン、俺に負けるぞ」

　モルトの思考を察したのか、龍牙はモルトに軽く挑発を入れる。
　それを聞いたモルトは言い返そうにも、今の状況で打開する策がなく、何も言えなくなる。

（チクショウ、どうすれば良いんだぁ～……ん？）

　フッと、モルトは龍牙から視点を外し観客にいる一人の少年に視点を向ける。

　―――そこには日伍 勝がいた。


 

　はい。今回はここまで。
　今回はオールデュエマ回でした(笑)。
　そして早くも龍牙の切り札が登場&デッキ構成が判明！
　いわゆる黒単ヘルボロフです。
　次回は今のモルトのデッキの切り札が登場します！
　楽しみにして下さい！

　誤字脱字、ご意見、ご感想、表現のミス等よろしくお願いします！