μ's+αの叶える物語〜どんなときもずっと〜
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第21話 いざ!合宿へ! 出発編
夏休みに入って俺はすぐに宿題に手を付ける
出来れば8月に入る前には終わらせておきたいところだ。
既に現代文はおわっているがまたまだ先は長そうだ....
朝起きてからずっと机に向かっているが今やってる化学.....1番苦手なので苦戦を強いられている。
μ'sのみんなは練習をやっているらしいが、俺は最近は行ってない。
アイドル研究部の一員ではあるが、あくまでマネージャー。
お願いされたときと暇な時しか行ってない。
俺が踊るわけでもないし.....
うぶ毛の小鳥たちも〜♪いつか空に羽ばたく〜♪
いきなり着信音が部屋に鳴り響き、うるさいなと思いつつスマホを手にする。ちなみに着メロは《START:DASH!!》である。
相手は絢瀬絵里と表示されていた
「はい....絵里先輩すか?なんのよう--『こら大地くん!どうして最近練習に来ないの!』
通話早々怒られてしまい、耳を塞ぐ
『あなたもμ‘sの一員なのだからちゃんと練習に来なさいよ!』
耳を疑うような一言に思わず聞き返す
「は?絵里先輩今なんて言いました?」
『え?だから練習に来なさいって--「いやそこじゃなくてその前です」
『あなたもμ‘sの一員なのだから?』
どうやら聞き間違いじゃなかったようだ
「俺が?あくまでマネージャーですよね?確かにアイドル研究部には所属してますがμ‘sに所属してるつもりはないのですが.......」
『......はぁ〜』
正論を言った筈なのに何故か盛大にため息をつかれてしまった
『とにかく今すぐ神社に来なさい。いいわね?』
「いやちょっとまって--『ブチッ』
プーップーップーッ
ええ〜〜〜マジですか。
取り残された俺は部屋で呆然としていた。
「どうしてあなたは最近サボるのですか!!」
着いてすぐに海未から説教をくらう。みんなから囲まれているため逃げたくても逃げられない。
あのことりや花陽にまでジト目で囲まれているわけですから....
「いやあのさ....だって俺がここにいなくても練習できるでしょ?そりゃ頼み事とかされたら来るけど、なにも言われてないからいいかな〜って」
海未に刺激を与えないようにやんわりと言い訳をする
「なにも言われないから来ないって....あなたって人は!」
どうやら今日の海未はかなりご機嫌斜めのようだ
「大くん.....穂乃果達は大くんに来て欲しいんだよ?」
「指導者のことならもう問題ないだろ?絵里先輩がいるし海未だってある程度は指導できるようになったじゃないか」
「そうじゃないんです!!!」
叫んで俺の言葉を否定したのは......まさかの花陽だった
「私達には大地先輩が必要なんです。側で見てくれるだけでいいんです!」
勇気を振り絞って言ってくれたのだろう。花陽の震えた声が俺の心を揺さぶった
「大地先輩に見てもらう、それだけで私達は元気がもらえるんです!今日も頑張ろうって思えるんです!先輩がいないと.....寂しいです....」
「花陽......」
「花陽の気持ちわかったでしょ?大地.....先輩は来ないといけないの。わかった?」
若干真姫に呼び捨てにされそうになった。そこをぐっと堪えてスルー
「.....わかったよ。極力サボらないようにする」
「極力じゃなくて絶対です」
海未に念を押されたので「わかったわかった、これからはちゃんと来るよ」
と適当に答える
「ふふ、これで決まりね」
絵里先輩が不明なことを言い出した
「え?なにが決まったんですか?」
「大くん!穂乃果達は3日後に真姫ちゃんの別荘で三泊四日の合宿に行くの!だから付いてきて!」
絵里先輩の代わりに穂乃果が告げたのは合宿参加の要望.....
は?合宿?三泊四日?
それってつまり.......
「泊まり...ってこと?」
「そうだけど....はっ、まさか大くん、穂乃果達になにかするつもりなの?」
「ちげぇ!ちょっと考えたけどちげぇ!」
「ちょっと考えたんだ.....」
にこ先輩に引かれてしまったがこの際どうでもいい
「待ってくれ。確かに練習に参加するとは言った、でも三泊四日は勘弁して欲しい....」
「ええ〜っ!どうしてどうして?」
そりゃ.....おかしいだろ。
「考えてみろ、女9人に対して男1人ってマズイに決まってるだろ。なにかするってワケじゃないけど君たちの親がそれを許さないだろ」
だって彼女の両親の中には音乃木坂の理事長やってる方だっているわけだし......
「穂乃果のお母さんはいいよって言ってくれたよ」
「なにぃ!?」
「大くんだから大丈夫だって」
あの人は俺の何を知ってるんだ?
普通娘をあまりよく知らない男の子と一緒にいさせることはしないぞ?
「私のお母さんもいいよって」
理事長........どうしてあなたまで...
「もしかして.....他のみなさんも?」
みんなこくこくと頷き、俺は頭を抱えて考え込む
どうしよう...このままではほんとに合宿参加させられてしまう
「ウチは一人暮らしやからなんも問題ないで?」
「え!希先輩一人暮らしだったんですか!?」
「そや、言ってなかったから」
これで退路は断たれた.....
いやもう一つネタがある。よかった、バックの中に入れっぱなしにしておいて.....
俺はショルダーバックから1枚の封筒を取り出す
「それは?」
「これはみんながオープンキャンパスでライブしてる時に受けた模試の結果です」
「どれどれ」
あろうことに真姫にぶんどられた。
みんな真姫に集まって直後、歓喜の声だったり驚きの声だったり聞こえたが俺はそんなことはどうでもいいと参加しない言い訳をする
「実は2桁なの初めてなんだ」
「え?それってどういう意味?」
「2月に行われた模試の順位は6位だった」
呆気にとられた彼女たちは「大地ってそんなに頭良かったの?」とか、「私もこんな順位はとったことないわ」など興味津々な会話をしている。
「それに....」
ふと、言いかけたが止めた。
先日言われた理事長との会話は言ってはいけないんだと思い出したので口を閉じる
そうだったな、この話はしてダメなんだった
「心配は無用です。ちゃんと部屋は別室ですし、真姫に頼めば勉強の道具だって準備できます」
「ここまで頭いいんだったら少しぐらい勉強しなくても大丈夫にゃー」
「べ、別にあんたが来るのはどっちでもいいけどみんなが来て欲しいって言ってるんだし、来なさいよ」
「もし男1人が嫌なら友達誘ってもいいわよ。ただし、信頼できる子で」
見ず知らずの奴を誘ってもいいとかどんだけ俺をこれに参加させたいんだよ。
これが彼女たちが必死に懇願しているのに悪いけどやっぱりここはきっちりさせなくてはダメだな
俺はため息をついて顔をあげた
「ごめん、やっぱり参加できない」
「ええっ!?」
「どうしてよ!こんなに可愛い女の子たちにお願いされてるのに!?少しくらい頷きなさいよ!」
「わるい、どうしてもダメなんだ」
「なにか....理由があるのですか?」
「実は俺の家族に父さんはいないんだ。生まれた時に事故で亡くなったらしくてね...それ以来母さん1人で俺のとこを育ててくれたんだ。幼稚園に入ってから朝から晩までずっと働き続けてさ....。これ以上母さんを苦しめたくなくて、いい大学に入ってからいい会社に入社して.....今度は俺が母さんを助けてあげたいんだ。今まで俺の事を大切に育ててくれた分」
はっきりと言った。
確かに彼女たちにとってμ‘sの活動の方が大事。
でも俺にとってはやっぱりどこか別世界のことで遠くから眺める....そんな立場だ。協力はしてきた。部員になって前に出て踊って歌って、そんなことはしなくても日程を組んだりライブの証明やPV撮影、それをネットにアップしてみんなに見てもらう....いわば雑用をこなしてきた
少しは指導してきたけど、今は絵里先輩もいるし必要なくなった
「ごめんな...本当にこれ以上成績落としたくないんだ」
俺は頭を下げて参加を拒否する
「君達にとって俺の用事はどうでもいいことだってのはわかってる。だけど!三泊四日も息抜きして時間を費やすなんて俺にはできそうにもない」
みな困惑した表情になる。そりゃそうだよな、わかってた
「大くんは何も変わってないね」
1人だけ困惑せず、俺に微笑みかけて前に出る
「大くんはお母さんの事大事にしてるって知ってたよ?多分参加を拒否するかもって思ってた」
「だったら--「でもね、それでも大くんに来て欲しいの」
「どうしてだ?」
あそこまで言ったのにそれでも合宿に参加させる意味はなんなんだ?
「大くんは......μ‘sのメンバーだからだよ!」
μ‘sの......メンバー?
「バカねあんたも。当たり前じゃない」
「大地くんは雑用をこなしてきた....それだけじゃないで?大地くんはウチらに勇気を与えてくれた」
「勇気....だと?」
「大地くんは覚えているかな?穂乃果ちゃんがアイドルを始めるって言ったときのこと」
「ごめん、全然覚えてない」
「ふふっ、覚えてなくても大丈夫です。でも大地があの時私達を後ろから押してくれなかったら、今頃スクールアイドルなんてやってませんから」
「私も.....大地先輩のおかげでμ‘sに入る勇気が湧いてきたんです」
「大地先輩がかよちんを助けてくれ嬉しかったんだにゃ〜」
「私も諦めてた音楽のことを大地...先輩は褒めてくれた。それだけは、感謝しているわ」
「大地くんは知らず知らずのうちにみんなを助けていたのよ?気づいてた?もちろん、私もその中に含まれるわ。」
「みんな......」
どうしてだろう....俺は言葉が出せなかった
みんな俺の事を必要としてくれている。
陰で支えるってだけじゃなく、みんなの事を引っ張って道しるべをしてくれたって...
「大くん......今まであやふやにしていてごめんね。でも、大くんはμ‘sの10人目のメンバーだよ!」
嬉しかった。
どこかで彼女たちと距離を置いていた、それが壊された感じ。
「大地.....もう一度言います。合宿に参加してくれませんか?」
海未は再度頭を下げると、みんなも一斉に頭を下げる
ここまでされたら断る理由考えられないじゃないか
俺はみんなに背を向けて答える
「穂乃果、日程決まったら教えて」
まったく....仕方ない奴らだな
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穂乃果side
「よかったね大くん参加してくれるって」
「穂乃果先輩さすがです」
「花陽ちゃんがあそこで必死になってくれたから大くんも考えてくれたんだよ」
「そんなことないですよ」
練習後、大くんはすぐに家に帰っていった。
きっと宿題全部終わらせるためにこれから徹夜するんだろうな...あはは
穂乃果たちは現在、みんなで練習後のストレッチをしていた。
「そうね、花陽が先導を切ってくれたからみんなも説得してくれたのよ」
そこに絵里先輩がやってきた。まさか話しかけられるとは思わなかったのか花陽ちゃんは顔を真っ赤にして俯いてしまう
「い、いえ...私はただ、大地先輩に来て欲しかっただけですから」
花陽ちゃんは目を逸らしながら指と指を合わせる
「あ〜!かよちんまた嘘ついた!!」
「ふぇぇっ!?」
嘘だったの?穂乃果にはわからなかったよ
「凛はどうして花陽が嘘ついたってわかったの?」
「絵里先輩も穂乃果先輩も覚えててくださいね!かよちんは嘘つく時必ず指を合わせるんだにゃ!ず〜っと一緒だったからわかるんにゃ!」
「ほぇ〜、そうだったんだ。でもなんで嘘ついたの?」
「そ、それは....///」
花陽ちゃんが真っ赤の顔をして口篭る
まさか......とは思った。
いや花陽ちゃんに限らずこの中の何人かは......
「凛は知ってるよ〜♪かよちんは大地先輩の事好きなんだよね〜?」
「ふぇぇっ!!!凛ちゃ〜ん!なんでそんなこというの〜!」
花陽ちゃんは泣きながら弁明を図るも凛ちゃんは「いいな〜かよちん好きな人できたんだにゃ〜」と遊んでる
「ほら、花陽、凛、ちゃんとストレッチしなさい」
と絵里先輩になだめられてようやく落ち着く
「穂乃果」
後ろから声を掛けてきたのは海未ちゃんだ。
「海未ちゃん、どうしたの?」
「あんなに大地を説得したのに言うのもなんですが...勉強大丈夫でしょうか」
「大くんなら大丈夫だよ」
「そうでしょうか.....」
「だって大くんは頭いいもん。この前の期末試験も満点だったし、さっき見せてくれた模試の結果もすごかったし」
「しかし....本人はなっとくしてなかったようですが....」
確かにあの順位は納得しないもんね
小学2年生の時に受けた全国模試なんかに比べたら...ね
「でも大くんはちょっとの間勉強しなくても平気!それは穂乃果が1番良く知ってるもん」
自信満々に威張る。穂乃果のことではないけどやっぱり嬉しいから
大くんのことを1番理解しているってことが何より彼を近くで感じてるって思うから
「ふふ....そうですか」
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合宿当日の朝
「忘れ物ないよな....」
「とりあえず着替えと洗面用具があれば大丈夫だよ!」
「そ、そうだな...あと単語帳とテキストと....」
「それもさっきカバンに詰めてたよ」
「あ、水着水着〜」
「それもさっき入ってた、も〜大くん心配しすぎだよ」
「はは...そうだな」
一呼吸
「つか....なんで朝っぱらから穂乃果が俺の枕元で待機してたんだ?」
説明しよう
今朝、目を覚ましたら枕元に誰かの気配を感じたんだ
で、目を擦ってはっきりさせると穂乃果が「おはよう」って言っていた
まだ意識はぼ〜っとしていたので「おはよう」ってだけ返して
朝食をとって荷物を再確認して現在に至るわけだ
「いやぁ〜大くん寝坊しそうだな〜と思ってたから」
「舌をぺろって出して可愛く言ってもだめだ。」
まさか穂乃果に起こされるとは思わなかった
「えへへ〜。早く行こ?集合時間に間に合わなくなるよ」
「待て待て!押すなって!」
「じゃあはい!手を繋ご?」
「はぁ?手を繋ごって...お前」
「も〜!よし!しゅっぱ〜つ!!」
「だから待てって!!うわぁぁぁぁっ!!」
穂乃果は俺の手を握って走り出す
今日はやけにスキンシップ多いな、合宿がそんなに楽しみなんだな
駅には俺と穂乃果以外全員集まっていた
「大地、穂乃果!遅いです。10分遅刻ですよ」
「家から...ここまで走って....来たんだ...はぁ...少しは....褒めろ」
俺は息を整えてハンカチで汗を拭う
「ふへぇ〜疲れた〜」
「というか、どうして穂乃果先輩と大地先輩は手を繋いでいるにゃ?」
「あ?....やべ!」
凛に指摘されて気づいた頃にはもう遅かった
「大地!言っておくけどアイドルに恋愛は不要だからね!」
「まてにこ先輩!俺と穂乃果はそんな関係じゃない!」
「懲りないわね〜大地くんは....」
「絵里先輩、誤解されるようなこと言わないでくれませんか?俺が女たらしみたいな言い方じゃないですか」
「え?違うん?」
希先輩はそう思ってたんですか....酷い言いがかりだ
「ほら、そんなことより電車間に合わなくなりますよ」
「それもそうね。それではまず合宿に行く前に私から提案があるの」
絵里先輩はみんなの視線を集めてから話を切り出す
「先輩後輩って関係、無くした方がいいと思うの」
そして、みんなの反応を伺う
「それは.....つまり?」
最初に口を開いたのは俺
「つまり、先輩禁止ってことよ」
「えぇぇっ!?先輩禁止!?」
穂乃果が大声で叫ぶ
ふむふむ....絵里先輩が言いたいことはなんとなくわかった
希先輩やことり、真姫は彼女が何を言いたいのか察しはついたのか頷いている。他のメンバーは驚いたり戸惑ったり、様々な反応をみせる
「前からちょっと気になっていたのよ。先輩後輩はもちろん大事だけど踊っている時にそういうの気にしちゃダメだから」
「そうですね、私も3年生に合わせてしまうこともありますし」
海未も納得して同意する
「そんな気遣いまったく感じないんだけど」
「それはにこ先輩は上級生って感じがしないからにゃ」
海未の言葉に不服の声を洩らすにこ先輩だが、凛に躊躇いなくバッサリ切り捨てられた
「上級生じゃなきゃなによ!」
「う〜ん...後輩?」
「ていうか子供?」
「マスコットかと思ってたけど」
「幼女?」
凛、穂乃果、希先輩に続いて俺も畳みかける
やべぇ...前の3人おもしろい
「どういう扱いよ!それと大地、後で覚えておきなさいよ、目潰すわ」
にこ先輩は顔の前でチョキをつくり、俺を脅してくる
ふん、にこ先輩に脅されたって怖くないぜ。なんたって幼女だからな
というかどうして絵里先輩はこんな時に《先輩禁止令》を出したんだ?
そりゃさっき言った通りのことなんだろうけど.....
あ、そうかわかった。よくよく考えてみれば花陽と真姫の為なんじゃないか?花陽はあの性格上絵里先輩の前だと小さくなっちゃうし、真姫はツンデレだからみんなと仲良くしたくてもできない。だからこの措置をとったのか
うむうむ....納得納得
「それじゃあさっそく始めるわよ、いい?『穂乃果』」
「は、はい......いいと思います。えと...えっと....え...『絵里ちゃん』」
いきなりふられて言葉に詰まる穂乃果
そういえばこいつ意外にも上下関係気にするやつだったな....
「うんっ」
笑顔で頷く絵里先輩
「ふぁぁ、緊張するね〜」
「それじゃあ凛も!えっと....『ことりちゃん』?」
次は凛は立候補してことりの名前を呼ぶ
「うんっ、よろしくね!『凛ちゃん』、『真姫ちゃん』も」
「ゔぇえっ!?」
ことりの天使の笑顔で真姫に矛先を向ける。
じぃ〜っと一点に視線が集中する。
「べ、別にわざわざ呼んだりするものじゃないでしょうっ!!」
「おいこら、ちゃんと返事してやれ!」
こいつ、逃げるつもりだったぞ
「あの..そういえば大地先輩はどうするんですか?」
「ん?俺?」
花陽に言われて「あ、俺もいたな」と自分もいた事を思い出す
「そうねぇ、私は今までどおり『大地くん』って呼ぶつもりだけど、大地くんはどうする?」
ん〜
ふと考え込む。俺は別にタメ口されてもそんなに気にしないし、むしろあまり気を遣われても接しにくいだけだし....
まぁダンス部時代はもちろん先輩後輩関係はあったからそれでも別に構わないし。結局のところ彼女たちの問題だろう
「俺は別にどっちでもいいですよ。敬語使われなくても気にしないので、でもやっぱり俺を呼び捨てにするのかなり抵抗あるんじゃないですか?」
特に花陽とか花陽とか花陽とか
実際音乃木坂学院の生徒って音乃木坂中学から流れてきた生徒が多いんだろ?あそこも女子高だって話だから異性を呼び捨てって気が引けるんじゃないか?
でも待てよ....考えてみれば1人だけずっと呼び捨ての奴いるじゃないか
まさか....男慣れしているんじゃないのか?
にこ先輩は最近呼び捨てになったわけだし
「それもそうねぇ」
「だから、俺についてはみんなに任せます。ただし!真姫!お前は絶対敬語で接すること。わかったか?ツンデレ姫」
「わ、わかったわよ...てか、誰がツンデレ姫よ!」
「わかりました。大地兄さん、だろ?」
「なっ!!誰が兄さんよ!イミワカンナイッ!」
「はいはい静かに!」
真姫で遊んでいると絵里先輩が視線を集める
「それではこれより合宿に行きます。部長の矢澤さんから一言」
「ええっ!?......う、しゅ、しゅっぱーつ!!」
いきなり指名されたにこ先輩は考えるも、みんなの視線を浴びてしまい、在り来たりなセリフを叫んだ。
「......それだけ?」
「思いつかなかったのよ!」
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電車に乗り込みふと、海未が呟いた
「あの...席順はどうするのですか?」
「適当でいいんじゃないか?」
「じゃあ穂乃果は大くんと座る〜、大くんどうかな?」
と、俺の腕に絡みついて穂乃果は目をウルウルさせて上目遣いをしてくる
「どうかなって言われても....」
「穂乃果先輩ずるいにゃ!凛も大地先輩と座りたいにゃ〜!」
「凛、《先輩禁止》」
「あ...そうだったにゃ」
さっき決めたのに意味ねぇ〜
「俺は誰とでもいいよ」
そう言い切って勝手に座る
「あ、私いいもの持ってるよ〜」
リュックからガサゴソと取り出したのは....あみだくじ?
「おお〜ことりちゃんすごいの持ってるね」
「えへへ〜」
と、いうことで
「........///」
俺の隣にやってきたのは顔を少し赤らめて窓を眺める生徒会長だった
「いいな〜絵里ちゃん大くんの隣ー」
「穂乃果、危ないから大人しく座りなさい」
ちなみに席順はこうなった
穂乃果 凛 | | ことり にこ
真姫 花陽 | | 希 海未
大地 絵里 | |
これから楽しい楽しい合宿のスタート.......かな?
「ねぇ大地くん」
「なんすか?絵里先輩」
「私としては《先輩》は無い方がいいわ。」
「.....じゃあ絵里....さん?」
「......それでいいわ」
窓をずっと眺めているのでどんな顔をしているのかわからないが、少し嬉しそうな声だった
「にしても絵里さんとこうやって話すのは廊下で絵里さんが泣いていた時以来ですかね」
「そうね....あの時は大地くんに抱きしめられたんだっけ......懐かしいわ」
まるで弱みを握った時のような微笑みで嫌味っぽく言う
「まぁ....なんていいますか、あの時は絵里さんを救うのに手一杯でしたからね......気がついていたら俺は絵里さんを抱きしめていました」
「ふ〜ん......?大地くんの事だからその時いやらしいことでも考えているものかと思ったわ」
「ははは...そ、そんなことないですよ....」
すいません絵里さん...ちょこっとだけ邪なことを考えていました
やべぇ体柔らかいとか、いい匂いがするとか考えていました
「でもね....あの大地くんのひと押しで私は何もかもすっきりしたの。μ'sに入ることなんて迷わなかったわ。自分は何がしたいのか....ね?」
俺は......絵里さん救うことができたみたいだ
絵里さんの笑顔に俺も笑顔で返す
「大地くん、ありがとう。私はμ‘sに入れてよかったわ。みんなのあの笑顔を間近で見て、一緒にアイドルとして学校のために活動できて......本当にありがとう」
「お礼をしてもらうようなことはしてないですよ。でももし、お礼がしたいってのなら、廃校阻止が確定してからにしてくださいね。まだまだ俺達には課題があるのですから.....」
「っ!?そ、そう....大地くんはわかっているのね?」
「まぁ....カンは鋭い方ですから」
「そう.....課題は2つ。1つは廃校阻止確定まで私達はなにをするか。あくまで現状は延期となっているけどまたまだ油断はできないから。2つ目は--」
「真姫......ですね」
俺は絵里さんの言葉を遮って呟く
「....ええそうよ、あの子は輪の中に入りたいのに素直になれなくて.....これはなんとかしなくちゃいけないわ。μ‘sをこれから成長させるためにも」
絵里さんはそう言って前の席の真姫の様子を伺う
花陽が真姫に話しかけるも反応がイマイチで、逆に花陽の前の凛や穂乃果が後ろを向いて花陽にきゃいきゃいと話しかけている
花陽は真姫のことを気にかけているようだ.....
そう.....未だにμ‘s全員仲がいいってわけではないのだ
俺だって海未とか海未とか海未にいじめられているし.....
絵里さんは課題は2つと言った
でも絵里さんは見落としていることがある
それはμ‘sそのものの『在り方』だ。
結成当時の目標は廃校阻止
それはほとんど達成したと言っても過言ではない。
だからこそ、1度見直すべきだと思う.....
絶対この先なにか大きな問題が起こるだろうと予感した
その予感は見事に......合宿終わってから的中するのは俺はまだ知らない
それだけじゃない.....俺自身にもう一つ課題があった
『音乃木坂学院存続になる。つまり、共学化にする意味がなくなる......ということになります』
そう。俺は.......音乃木坂学院から去るかもしれないという課題
どうしても避けることのできない大きな壁
.....さて、どうしたらいいんだろうな.......
今はまずこのことは忘れて合宿、がんばろう!
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