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Three Roses

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第三話 幸福と孤独その一

                  第三話  幸福と孤独
 マリーとマリア、セーラは幸せな時を過ごし続けていた。三人は常に共にいてそうして学び遊んでいた。
 書を読むのも礼拝をするのも一緒だった、それで。
 マリーは共に学んでからだ、マリアとセーラに言った。
「太子が王様になられたら」
「ええ、その時はね」
「マリー様はですね」
「太子をお助けして」
 そのうえでというのだ。
「この国をもっとよくしていきたいわ」
「はい、父上が仰っていましたが」
 セーラがマリーに応えた。二人は今は王宮の中にいる。厚い石の壁に囲まれた急では絨毯と絵画、それに甲冑で飾られている。王の好みらしく質素なものだ。
「我が国は大変な状況にあります」
「ええ、島の他の二国とは対立していて」
「隣の島の国ともです」
「対立しているわね」
「そして大陸にはあの国があります」
「アントワープ家ね」
「あの国は我が国の数百年来の宿敵です」 
 セーラ達は共にそうしたことがわかりだしている歳になっている、それでこうしたことも話しているのだ。
「あの国が周辺の国々も煽っています」
「対立をね」
「はい、しかもです」
 セーラはマリーにさらに話した、マリアは二人のその話を横で聞いている。
「我が国は新教になりましたが」
「他の国は旧教ね」
「そうです、勿論王国もです」
 アントワープ家が主であるこの国もというのだ。
「そしてです」
「信仰のこともあって」
「我が国は周囲を敵に囲まれています」
「しかも」
 マリーも言う、深く考える顔になり。
「国内もね」
「はい、新教徒は増えてきていていますが」
「旧教徒はかなり多いわね」
「諸侯の間にも」
「そうね」
「旧教、特に法皇庁からの束縛を避ける為に改宗しましたが」 
 新教にだ、セーラはこのことも話した。その質素な王宮の廊下を三人で進みながら。
「しかし」
「それでもなのね」
「はい、他の国々とのそうした関係にも影響しています」
「そして国内でも」
「旧教徒、特に旧教のままの諸侯がです」
「おかしな動きをしかねない」
「そうした状況です」
 こうマリーに話す、そして。
 ここでだ、今まで黙っていたマリアが言って来た。
「セーラ、昔から我が国は島の他の二国そして隣の島の国とは」
「はい、関係はよくなかったです」
「旧教だった頃から」
「そうでした、しかし」
「信仰が変わったから」
「そのことが大義名分にもなったのです」
「我が国に攻め込む」
「その理由にです」
 まさにというのだ。
「そうもなったのです」
「法皇庁の介入を防ぐことも大事だったけれど」
「そうした状況にもなっています」
「難しいことね」
「そうです、ただ我が国は周辺諸国に比べてかなり強いです」
 このこともだ、セーラは言った。 
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