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第二幕その十

「シェフも喜ぶのならな」
「王様もですね」
「さらに嬉しいぞ、美味いものを作ってもらって食って」
「そしてシェフも喜んで」
「いいことばかりじゃ」 
 まさにというのです。
「わしも楽しいぞ」
「ポッピコーンってそんなに美味しいの?」
 エリカはその王様の横で首を傾げさせています。
「見ていたら前足を出したくなるけれど」
「それでもよね」
 ガラスの猫も言います、エリカと一緒にいて。
「特にね」
「美味しいとは思わないわね」
「そもそもあたし何も食べないし」
 ガラスの身体なので一切食べる必要がないのです。
「あんたもね」
「そうしたものは食べてもね」
「お口に合わないのね」
「そうなのよ」
 エリカもというのです。
「だからね」
「美味しいかって思うのね」
「どうもね」
「ただ、それでもよね」
「見ているとね」
 それでというのです。
「触りたくなるわね」
「妙にね」
「小さくて触ったらすぐに動くから」
「自然によね」
「前足が出るわね」
「それはあたしもよ」
 ガラスの猫もというのです。
「ああしたのはね」
「あんたは何も食べなくてもね」
「前足は出るわ」
「猫だからね」
「猫はそうしたものに前足が出るのよ」
 それこそ無意識のうちにです。
「それで触るのよ」
「そうするわね」
「食べることに興味はなくても」
 それでもなのです。
「自然とよ」
「そうよね」
「御前さん達にとってはそうでもじゃ」
 そのポップコーンを食べている王様のお言葉です。
「わしにとっては美味しいのじゃよ」
「王様にとっては」
「そうなのね」
「うむ、だからな」
「そうしてなのね」
「食べてるのね」
「楽しんでな」
 こう言ってさらに食べる王様でした、そして。 
 エリカにです、干した鳥肉を出したのでした。
「御前さんはこっちじゃな」
「あら、有り難う」
「好きなだけ食べるがいい」
「これはいいプレゼントね」
「楽しくなるな」
「だって大好物なのよ」
 それを貰うからというのです。
「嬉しくなることもね」
「当然じゃな」
「ええ、そうよ」
 こう王様に言うのでした。 
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