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Three Roses

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第二話 幼きよき日々その十一

「こうした時はな」
「するしかありませんね」
「だからこそですね」
「そうした不心得者には容赦はしない」
「そうしなくてはなりませんね」
「そうだ、旧教と新教のバランスは取るが」
 しかしというのだ。
「どちらの暴走も許してはいけない」
「どちらも均衡すべきですね」
「旧教と新教は」
「新教の勢力、王権は拡げていくが」
 王は玉座から真剣な面持ちで話していった。
「旧教もないがしろにしてはいけないからな」
「彼等の信仰は守る」
「これまで通りですね」
「そしてロートリンゲン家からも人を迎える」
「そうされるのですね」
「そういうことだ、アントワープ家にも対する為にもな」
 重臣達にもだ、王はこのことを話した。
「この婚姻はあるのだ、だが謀反は許さない」
「では貴族達への監視と強めます」
「旧教の彼等の」
「そうしていきます」
「その様にな。あと異端審問だが」
 この問題についてもだ、王は言及した。
「これまで通りだ」
「はい、彼等についてはです」
「あまり国内に入れるべきではありません」
「我が国にも多く入っていますが」
「あの者達は狂犬です」
「しかも狡猾で貪欲で残忍な」
「そうだ、異端審問と言って異端を裁いているが」
 その実態についてだ、王は言うのだった。
「その実はだ」
「冤罪を作り出し財産を巻き上げているだけです」
「彼等が異端とした者達から」
「惨たらしい拷問で自白させ」
「そして処刑してです」
「そうしたことを繰り返しています」
「まさに害です」
 重臣達は王にだ、口々に強い口調で言った。
「ですからあの者達は」
「何をしてでも抑えましょう」
「民を無闇に害するだけです」
「力を持たせてはいけません」
「わかっている、あの者達こそだ」
 異端審問、彼等がというのだ。
「国の害だ、旧教以上にな」
「では、です」
「あらゆる手段を講じてですね」
「あの者達は遠ざける」
「これまで通りですね」
「そうしていくとしよう、詭弁を講じてでもだ」
 王はこうも言った。
「あの者達を遠ざける、この国からな」
「わかりました」
「ではその様に」
「彼等については」
「若し彼等の言う魔女がいるとする」
 王は異端審問官達が言う魔女、即ち異端についても話した。異端と魔女が同じものになっているのである。
「だとすればだ」
「魔女が彼等の言う様な悪を行っていれば」
「世の中はこんなものではありません」
「乱れに乱れています」
「あらゆる災厄が起こっています」
「その通りだ、魔女はいてもだ」
 それでもというのだ。
「彼等が捉えている老婆やその辺りの農婦であるものか」
「その様なことがある筈がありません」
「どう考えましても」
「だからですね」
「あの者達を動けない様にしましょう」
 こう話すのだった、異端審問官達については。
「是非」
「そうしなければな」
 王はまた言った。 
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