Blue Rose
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第十三話 人間だからその三
「ないと思いますが」
「学園の裏サイト等でも」
「チェックはしていませんが」
「それでもですね」
「はい、おそらくは」
「だといいです、この病院でも知っているのは」
「院長と私と」
そしてだった。
「レントゲン科の科長さんだけですね」
「三人だけです、ただ」
「診察のレントゲン写真はですね」
「観た人がいます」
「では」
「それに弟さんご自身を見て」
優花、その彼女を見てもというのだ。
「女の子の様になっていっているとです」
「誰かが言えば」
「そこで、です」
まさにそれだけでというのだ。
「そこから出ます」
「噂として」
「それがネットにふと誰かが何気なく書き込む」
「それで、ですね」
「ならず者が見れば」
その悪質なジャーナリスト達がだ。
「調べに来るかも知れません」
「そのことに注意しなければなりませんね」
「そうです、くれぐれもです」
「気をつけないといけませんね」
「私も科長さんもそうしますが」
「私は特に」
「保護者ですから」
それだけにというのだ。
「お気をつけ下さい」
「わかっています」
これが優子の返事だった。
「そのことは」
「では」
「優花は、弟は私が守ります」
誓って言った、誰よりも自分自身に。
「そうします」
「そうされますね」
「絶対に」
「その意気です、先生がそう思ってこそです」
「弟はですね」
「進んで行くことが出来ます」
こう優子に言うのだった。
「それが出来ます」
「その通りですね」
「では頑張って下さい」
院長はここまで話して優子に優しい笑顔で告げた。
「お二人で」
「そうしていきます」
「苦難はあれば光があります」
「そしてその光がですね」
「先生と弟さんを照らしてくれていますから」
「前を進んでいけばいいですね」
「そう思います、ですからお願いします」
苦難があり不安はあれどというのだ。
「頑張って下さい」
「わかっています」
毅然とした声でだ、優子は答えた。
「何があっても誰が来ても」
「弟さんを守られますね」
「そう決めましたから」
「いい決意です」
院長は優子の決意を聞いて微笑んで返した。
ページ上へ戻る