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第二幕その六

「どうもね」
「そうだね、確かにね」
「貴方もそう思うわね」
「どうもね」
 馬も同じ意見でした。
「ここはね」
「お掃除はされてるけれど」
「妙に散らかってる感じがして」
 そしてです。
「色々なものがあって」
「それも遊ぶ為のものがね」
「色もカラフルでね」
「本当におもちゃ箱の中みたいだね」
「そうよね」
「リンキティンク王の趣味だね」
 この宮殿の主であるその人のです。
「だからね」
「こうした造りなのね」
「中もね」
「そうなのね」
「いや、本当にね」
 馬はこうも言うのでした。
「僕も何度かこの宮殿に来てるけれど」
「おもちゃ箱の中みたいって」
「いつも思うよ」
「私ははじめてだけれど」
 普段は王宮の中で勤めているからです、ジュリアは冒険に出ることは稀です。王宮のことは誰よりも詳しいですが。
「正直驚いてるわ」
「何度見てもね」
「ここはそうなのね」
「ええ、驚くから」
「そうした場所なのね」
「そうなんだ」
「あの人はね」
 オズマも言います。
「お掃除はしても散らかってる感じが好きだから」
「それでなんですね」
「そう、こうしてね」
「いつも宮殿をこうした感じにしてるんですか」
「そうなの」
 こうお話してでした、そして。
 皆で王様の間に行きます。リンキティンク王の部屋に。
 王様のお部屋なのにです、そこは子供部屋みたいでした。おもちゃがあちこちにあってそして賑やかな音楽が奏でられていて。
 そしてです、小柄で禿げた光る頭の上に金色の王冠を被った王様の服を着た白い口髭の人がつきはぎ娘達と一緒に遊んでいました。
 その人は踊るつぎはぎ娘を見てです、玉座で拍手をして笑っています。
「ホッホッホ、面白い面白い」
「そんなにあたいの踊りがいいのね」
「最高じゃよ」
 こうつぎはぎ娘に言うのでした。
「あんたの踊りは上手でじゃ」
「愉快っていうね」
「愉快、愉快じゃ」
 本当にというのです。
「しかも幾らでも踊れるな」
「あたいは疲れることがないしね」
「寝ることもなくじゃな」
「そうよ、あたしは食べることも寝ることもね」
「一切不要じゃな」
「好きな時に好きなことが出来るのよ」
 決して疲れることがないからというのです。
「今もこれからもね」
「だからじゃな」
「そうよ、どんな踊りでもね」
 それこそというのです。
「好きなだけ踊れるよ」
「そしてわしも楽しませてくれる」
「そういうことよ」
「何か王様を見てるとね」
「そうよね」
 ガラスの猫とエリカはそれぞれ丸いボールを弄っています、触れば触る程動くので二匹は夢中になっています。 
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